prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

アジアの逆襲 +THE MASTER OF SHIATSU 指圧王者

2010年03月26日 | 映画

石井聰亙監督の短編二本立て。

「アジアの逆襲」は1983年に一度撮ったものを音響をリミックスした再生バージョン。元のを見ていないので、どれほど変わったか比較はできないが、これほど強烈な音響処理はなかなか聞けない。空気が音で変質して、ビロードみたいに手で触れそうな実在感がある。
「THX1138」ばりの、実在の地下世界を近未来に見立てて一つの別世界にまで仕立てる作り。ラストだけ外に出るのも似てはいる。もっとも、ずっと地下にこもっていたら普通外に出たくなりますが。

「指圧王者」は、浪越徳治郎(「指圧の心は母心」の本物です)が白人女性を指圧していると、そのツボから全身に生命感のようなものが広がっていき、それだけでとどまらず街中を走る車まで宇宙の中の血流みたいに見えてくる妄想にまで至る。

ともに妄想のぶっとび具合を見る映画。
動と静の両極端だけれど、どっちも行くところまで突っ走らないと済まない感じ。