prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years」

2016年10月09日 | 映画
デビューした1962年からツアー活動をやめてスタジオにこもった音楽作りに転換する66年までの足かけ5年に絞って構成していて、わずか5年なのだが、なんという激動期だろうと思わせる。

一方で63年のケネディ暗殺から65年の人種隔離されているオーディエンスの前では演奏しないと押し切った事件、66年来日時の右翼のデモ(警視庁提供による映像らしい、赤尾敏の姿と愛国党のビラが映っている)、ジョン・レノンの「キリストよりビートルズは有名」発言によるアメリカのファンダメンダリストの猛反発、などなど、実は今でも基本的には存続している問題ばかりであることに気付く。

デビューしてから間もないも男の子っぽい感じから、次第に大人っぽくなっていくのがありありとわかる。ラストでは全員ヒゲを生やしているのが典型。
初めはリンゴ以外全員がギターなのが、スタジオ作業が主になってからテープを含めてさまざまな楽器・表現を使うようになるのがわかる。

しばしば意地悪いインタビュアーの質問に当意即妙で切り返す頭の回転の速さと物おじしない態度が気持ちいい。
リチャード・レスター(1932年生まれなのだが、もともと若ハゲのせいかかえって若く見える)が、ビートルズの人気は長くは持たないからその前に大急ぎで作ってしまえという会社側の要求で「ハード・ディズ・ナイト」を得意の早撮り(といっても7週間)で仕上げたと言う。

ウーピー・ゴールドバーグやシガニー・ウィーヴァーが人種・生まれ関係なくミーハーに戻ってしまうのが可笑しい。
当時の十代二十代の熱烈なファンたちも、今ではいい歳だろうと思った。
本当に熱烈で警察に取り押さえられるのが一人二人ではない、危険を感じるくらいで、しまいには囚人の護送車に乗って退場するまでになって、嫌気がさしたというのもわかる。

社会のごたごたが入らないスタジオでじっくり音楽を作りたいという要求が高まったと思え、スターや社会現象という以上に、音楽家としてのビートルズ像をはっきり打ち出している。
家では望むべくもない高音質大音量のサウンドがお楽しみ。

シェイ・スタジアムの公演を30分にまとめた特別映像が併映される。撮影がアンドリュー・ラズロとあるのにちょっとびっくり。「ランボー」「ストリート・オブ・ファイアー」の撮影監督で、当時はテレビドラマを主に撮っていた時期。

ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years 公式ホームページ

映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years』 - シネマトゥデイ

ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years|映画情報のぴあ映画生活



本ホームページ






最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。