prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

デヴィッド・リンチ・ショート・フィルムズ

2014年02月24日 | 映画
「SIX MEN GETTING SICK」(1967)「THE ALPHABET」(1968)「THE GRANDMOTHER」(1970)「THE AMPUTEE」(1973)「LUMIERE」(1975) ※リンチ本人による解説映像付き

デヴィッド・リンチの「イレイザーヘッド」以前の実験短編集。TSUTAYA TVで見る。48時間レンタルで300円。定額レンタルプランに加入要。ITunesでも購入可。

「SIX MEN GETTING SICK」は美術大学生だったリンチが絵に動きを取り入れてみたくなった、という動機から作ったとインタビューで語る。何度も心臓に血が注ぎ込まれては溢れ出すといった同じことの繰り返しで、映画というより、現代美術のひとつといったテイストが強い。サイレンの音が耳につく。

「THE ALPHABET」に見える文字=アルファベットに対する偏愛は、リンチの日本で一度目の絵画展で見た切り取った活字を油絵に貼り付けた作品や、二回目の絵画展で見られた自作に作品そのものに作品名を書き込んだりした趣向にも見られる。

「THE GRANDMOTHER」は短編とはいってもアメリカン・フィルム・インスティチュートの奨学金を受けて役者やセットを使った撮った34分の本格的な映画らしい作品だから一応ストーリー性のある作り。
とはいっても、地面から生えてきた少年が同じく地面から生えてきたその両親らしき男女(犬の吼え声しか発しない)に虐待され、ベッドに土を盛って栽培した木(のような針が生えた物体)から生まれた祖母らしき老女に甘える、とストーリーと言ったらいいのかどうかわからないもの。
ベッドの上のシーツに赤い染みがあるのが妙に猥雑。「SIX MEN GETTING SICK」で日の丸のようなものが見えるのだが、日本とは関係なさそう。
この作品からリンチはSound DesignあるいはSound EditingのAlan Splet(1939~1994)と組むようになる。リンチの「イレイザーヘッド」「エレファント・マン」などでもずっと音響を担当し、「少年の黒い馬」でアカデミー音響賞受賞。「いまを生きる」「存在の耐えられない軽さ」なども担当。
ここでリンチ作品らしい音の世界がほぼ完成している。
しばしばバックを黒、それも漆黒「ではない」黒に塗りつぶすのはペインティング作品にも見られる。

「THE AMPUTEE」はビデオ作品で、両脚を失った女性のインタビュー(というのか)がえんえんと続く。
リンチが一応商業ベースで発表している世界とそれほど違わない。



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ザ・ショートフィルム・オブ・デヴィッド・リンチ - eiga.com

デイヴィッド・リンチの処女短編 『病気になった6人の男』


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