prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ロープ 戦場の生命線」

2018年02月22日 | 映画
最近は特に洋画では、映画本編が始まる前に製作会社のロゴがいくつもいくつも出て、それがいちいちデザインが本格的に凝っているものだから本編が始まったかと思うと違うものだから肩透かしをくわされる、ということが多い。
いくつも会社が相乗りしているからだろうけれど、会社について知らないで見る観客としてはあまりありがたくない。

この映画もいくつも相乗りしているのには違いないが、その会社のロゴをいちいち見せるのではなくまとめて、水滴が水面に広がるのと合わせて浮かんでは消える、というデザインにしているのがしゃれていて、さらにそれに続くキャスト、スタッフが出るタイトルデザインもさりげなく凝っていて引き込まれる。このしゃれっ気が映画全体のトーンにもなる。

1995年、停戦直後のバルカン半島のある村の井戸に死体が投げ込まれ、このままでは水が汚染されるとロープで引き上げようとしたらボロボロで切れてしまい、仕方なく国際活動家「国境なき水と衛生管理団」が代わりのロープをあちこち探して回る。

国際活動家といっても人間で、かなりずっこけ気味だったり色模様があったりで、活動を続ける方便として策略やウソも使う、というのを描くのがひとつの狙いだったのだろう。役者としても見せどころで豪華キャストが集まったのもそのせいかと思う。

なんで人間の死体を放り込むんだ、動物ではいけないのかというと、動物は食べるからだよというセリフなどブラックジョークがかっている。

杓子定規で官僚的なルールが優先してバカみたいな理由で活動にストップがかかったり、まったく思いがけない形で救いがきたり、また牛の死骸と地雷を使ったロシアンルーレットまがいのトラップの描き方など、紛争地の悲惨さや不条理をマナジリを決して告発するといった風情より皮肉やユーモアが前面に出ている。
ただ、その代わりちょっと緩くなりすぎた感はある。
(☆☆☆★)

「ロープ 戦場の生命線」 公式ホームページ

「ロープ 戦場の生命線」 - 映画.com



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