prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「明日なき追撃」

2022年12月04日 | 映画
カーク・ダグラスが主演を兼ねた監督した西部劇というのが興味で、当時の最近メディアだった新聞を利用して名を売り上院議員に立候補しようという保安官役。
出世作の「地獄の英雄」や「チャンピオン」の野心と出世のためなら手段を選ばない役につながっている。

ずっと前に日曜洋画劇場で放映されたとき淀川長治氏の解説だけ聞いていたのだが、たびたび挿入される乾板式のカメラに映る像が上下逆さになっているのが後の展開の逆転を暗示していますと解説していて、実際に見てなるほどと思う。
こういう解説って本当は必要なんですけれどね。

敵役のブルース·ダーンは「11人のカウボーイ」でジョン·ウェインを後ろから撃って殺す悪役で名を売ったあたりで、狡猾で仲間も平気で見捨てる強盗のボス役は、ダグラスと事実上表裏一体で、物語もそういう結末になる。

ダグラスが議員に出世した後の部下たちの身の振り方はどうなるのか部下たちに聞かれ、警備員の口があるといい加減な回答をするのだが、部下たちは収入が減るのが大不満で、ことにインディアン(と、BSPの字幕に出た)の部下は再就職などムリとあからさまに反発する。

西部劇のタテマエとしてのフロンティア·スピリットもへったくれもなく、アメリカ建国にあるのは暴力とカネと権力と売名だけという身も蓋もない価値観の世界だが、振り切ってユーモラスですらある。

ダグラスの役名がハワード·ナイチンゲールというのがなんだか可笑しい。
もっともナイチンゲール(小夜啼鳥)は啼き声がきれいな一方で夜に啼くので墓場鳥と呼ばれたりするらしい。ダグラスのええ格好しいとその裏の野心とに合わせているのだろう。

原題はposse。(保安官が犯人捜索・治安維持などのために召集する)警護団,民兵隊,一団,集団

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