prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「チェルノブイリ」

2020年01月21日 | 海外ドラマ
旧ソ連の話だが、首をすくめたくなるくらいいちいち日本にも思い当たる。

事故など起きないという根拠のない思い込み、建前が独り歩きして正当な批判が通らなくなる組織の硬直、技術力への過信。
目の前の経済性にとらわれかえって途方もなく高いものについてしまう本末転倒。
上層部の無責任に対して、現場の作業員たちの踏ん張りと犠牲。

ドラマとすると、事故の対処にあたる科学者と共産党中堅幹部とのバディものとして、最終的に生命の重みに対しては政治的権威だの見栄などは屁みたいなものだと実感させる。
初め傲慢だった党幹部が自分を含む命に対する感覚を取り戻すのを一匹の尺取り虫に見せる眼差しにこめる脚本と演出と演技の見事さ。

ソ連からロシアに変わっても地元では作れないであろうドラマで、外国からの目や批判というのは必要なのだと思わせる。
多量の放射線を浴びた作業員の体が見るも無残に溶解していくのを真っ向から見せるところで、前に日本で臨界事故を起こした時の作業員の実際の写真(テレビや新聞では取り上げず、週刊誌にしか載らなかった)を思い起こさずにはいられなかった。自分を含め、どうしてあれを等閑視できたのか。

ひるがえって考えると日本はある意味、もっと悪質かもしれない。
直接の検閲がなくてもメディアが“自主的”に事実上官製になり、オリンピックのバカ騒ぎで原発事故を上っ面だけ糊塗しようとしているのだから。

映画フクシマ50の公開が控えているが、原作者からして不安は大きい。

HBO製作、Amazon prime経由のスターチャンネルにて。


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