ガガーリン団地というのが実在したというのにまず驚く。
フランス共産党の「成果」としての公営住宅だそうだが、今やそこは「憎しみ」や「レ·ミゼラブル」のように荒廃と人種·民族間の断絶と対立の舞台になっているみたいなのが皮肉。
ここでの主役はアフリカ系の男の子とロマ(昔でいうジプシー)の女の子になるのが、典型的な民族間の差別と対立の構図になる。
団地からの排除の仕方がいかにも乱暴なのは国を問わないのがわかる。
それと人類初の宇宙飛行士であるガガーリンの名前をひっかけて、取り壊し中の団地に一人残り、外部から切り離された一個の小宇宙を作って生きているのがこの世界から離れて生きている象徴的な図になるリアリズムから飛躍した発想が優れている。
男の子が世界から孤立して生きている図であるとともに、地球が閉じた系であり他にありえないのとも重なる。
そういえば黒人の宇宙飛行士というのは誰がいたのかと思って調べたら、
60年代のジェミニ計画で選抜されたロバート·ヘンリー·ローレンスJR.が初だが、1967年12月8日に訓練中に事故死している。
1983年8月のスペースシャトル・チャレンジャーのSTS-8ミッションに搭乗した、ギオン・ブルーフォードが宇宙に行った初の黒人宇宙飛行士ということになる。
20年以上遅れた参加ということになる。