特別な訓練で特殊な技能を身につけたスパイがキューバ危機という世界が吹き飛びかねなかった危機を防ぐ極秘情報を盗んだのかと思うと、まったくの素人が情報を運んだというのが意外でもあり、いかに素人に化けるのがスパイの羊蹄だとしたら、初めから素人がやればいいということになる?のが皮肉で面白い。
本格的に亡命が現実味を帯びてくるとどこで盗聴されているかわからないからはっきり言葉を交わさなくなるのが、サイレント映画的な純化された映画表現に近づく。
一種の国も立場も越えた友情が(盗聴されているせいもあって)はっきり言葉にできないまま感じさせる。
バレエ「白鳥の湖」を見ながら万感の思いでいっぱいになる二人の表情もいい。
ソ連の監獄で排泄物を入れておく容器の蓋を開けてツーンと鼻をつくというか目に染みるような匂いがするような演技が本当に感じが出ていた。