prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「空気人形」

2009年11月22日 | 映画
文字通り「息を吹き込む」ことが命を吹き込むことにダイレクトにつながっている表現が印象的。ラストも、命の息吹きを画にしている。前者はアナログ的表現、後者のCGという違いはあっても。

ペ・ドゥナの細くて手足の長い体型が人間離れした感じによく合った。この人、韓国版「リング」で貞子にあたる役をやっているらしい。

最近読んだ「南極1号伝説ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史」で、日本のダッチワイフ(最近では「ラブドール」というらしい)のユーザーの注文のうるささ、それに応える作り手の技術についていくらか知っていたので、単純にラブドールが人間とは「違うもの」とは言い切れないと思って見たし、映画の描き方もその線に沿っている。
昔風に口をぽかっと開けたダッチワイフだったら、この話自体成り立たないものね。

話が飛躍するようだがロボット技術とかサル学の発達とか、日本は人間に似て非なるものに対する抵抗が少ないのではないか、などと考えた。

フェチに走っていたりとか、生身の人間を相手にできなくてさみしいといった型にはまった描き方ではない。

人物の整理や書き込みができていなくて、「この人誰?」と思うところがかなり多い。見ているうちにだいたいわかってくるけれど。
人間たちも中身が空っぽであることに耐えられなくて抵抗しているのだろう。
(☆☆☆★★)


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