prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ファニーゲーム U.S.A.」

2009年11月07日 | 映画

人里はなれた別荘に若い二人の男がやってきて理解不能な乱暴の限りをつくして乗っ取るというパターンは、安部公房の「闖入者」から、ピーター・コリンソンの「密室」、昔の火曜洋画劇場の安手のサスペンスまで、大して目新しいものではない。むしろ陳腐に近い。

ただし、これくらいねちねち不愉快で一方的でカタルシスのない作りはあまりない。よくここまでやったというより、ここまで不愉快になると思わない人を驚かせてやろうという山っ気が鼻につく。ヤな映画とは聞いていたけれど、なるほどヤな映画。
オリジナルが貸し出し中なのでリメークにしたが、およそオリジナルも見て見比べようという気にならず。
(☆☆)


山中貞雄生誕100年「チトサビシイ 残された3本に輝く天才」

2009年11月07日 | 映画
山中の学生時代に使っていた辞書の隅に描かれていたパラパラマンガをアニメとして再現してみると、パンや俯瞰などのカメラワークが駆使されているのがわかる。

デビュー作「抱寝の長脇差」を、山本晋也が演出して再現してみせる。「カントク」が監督しているのを、初めて見た。散逸したはずの実物の「抱寝の長脇差」をフィルム・コレクターのところで見ているという。熊井啓が黒澤明の「白痴」の完全版を見たと主張していたけれど、フィルム・コレクターの世界というのは不思議なもの。

日本映画監督協会(どこかのビルの五階フロアにあるのね)設立時の20人あまりのメンバーの記念写真と署名が出てくる。全員、日本映画史上に名前を残している人たち。その中の最若年が山中。たぶん、その中で最も早く死んだのも山中。

新藤兼人(健在!)がインタビューで、「人情紙風船」のラストの紙風船を山中貞雄のタマシイに見えるという。仕官を望んで果たせない浪人の姿をサラリーマンとも。

オモチャフィルム用に着色された「鼠小僧次郎吉」の30秒程度の断片が見られる。

チャンネル :BS2
放送日 :2009年11月 3日(火)
放送時間 :午後2:00~午後3:00(60分)
ジャンル :ドキュメンタリー/教養>カルチャー・伝統文化
映画>その他
番組HP:-
番組内容
生誕100年の映画監督・山中貞雄。28歳で亡くなるまで26作品を撮ったが、今も残るのは3本。新藤兼人、山本晋也、青山真治の3監督が山中映画の独自性と魅力を語る。

出演者ほか
新藤 兼人, 山本 晋也, 青山 真治


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