prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ありがとう」

2006年12月19日 | 映画
阪神大震災で被災してからプロゴルファーを目指してプロテストに合格した男の実話。
冒頭、突然通りかかったゴルフ場の従業員にいきなり土下差して「ありがとう」というあたり、赤井英和のデビューの「どついたるねん」のまわりが見えない傍迷惑男に通じるのかと思わせ、まったくの正反対であることをだんだんわからせていく。

地震が来る前に空の雲が不気味に光るのだが、それと対応するようにプロテストを受ける前には雲が柔らかく光り、それからOBすれすれの場所から打ち出さなくてはいけない崖っ淵の時、木々の枝の間を抜けて空が見えると、震災の炎が再現されて火の粉があたりを舞い始める、といった映像的な対応と連想法とでもいった作りに才気が見える。

田中好子の夫をぶっきら棒に突き放すようでいて支えている昔風の愛情表現がいい。
大震災のシーンでは炎のまわってくる怖さがよく出ていた。
オバサンくさい眼鏡をかけてキャディ役でぼそっと出てくる薬師丸ひろ子が、だんだん生きてくるあたりもうまい。
(☆☆☆★)


本ホームページ

ありがとう - goo 映画