prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「酔画仙」

2006年12月03日 | 映画
李王朝末期の朝鮮に実在した出身の放浪の天才画家チャン・スンオプの半生を描く。
ごひいきチェ・ミンシクの演技はいつもほどオクターブを高くせず、監督(これでカンヌで監督賞を得た巨匠イム・グォンテク)の体質のせいかいつも酒と女をそばに置いていた割に放蕩無頼という感じは薄いが、狂気がかったデモニッシュな迫力は相変わらず。

80分に及ぶメイキングがついていて、困ったことにこれが本編より面白い。
本編は、19世紀後半の李王朝末期の社会がどんなものなのか予備知識がこちらにないせいもあって、正直かなりわかりにくい。
韓国の四季の風景を追った画作りなど完全主義的に重厚な分、ただ拝見する感じになってしまってそこに至るプロセスを見る方が興味深かったりする。

20億ウォンを投じた巨大オープンセットをはじめ、当時の風俗・風景を再現するのに大変な手間がかかっている。若い俳優には当時の立ち居振る舞いがまったくわからず、日本で着物の生活を再現するような手間がかかるみたい。

朝鮮の山水画というのが中国のとどう違うのか言葉にしずらいが、日本のとも微妙に違う。
面白いのは日本の連歌のように何人もの画家が集まってそれぞれが描いた絵をつなげて大きな一つの絵を描く習慣があったということ。

日本に併合される少し前なので、スンオプを敬愛する日本人などが出てきたり、使われている文字がハングルではなく漢字だったりする。


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