prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ションヤンの酒家(みせ)」

2004年03月11日 | 映画
下町の淡々とした日常を描くタッチはいやでも昔の成瀬巳喜男作品あたりを思いださせるが、比べてしまうと描写にあれほどのコクはない。「山の郵便配達」みたいに自然が舞台だと淡々とした調子でももつのだけれど、相当に汚い屋台(料理人であるヒロインがしょっちゅう煙草をふかし続けている)の集まりでやられると逆光を生かしてきれいに仕立てたカメラを通しても、なんでもない場面で引き付け続けるというのは難しい。それに考えてみると薬物中毒が出てきたり、結構設定が激しい。今の中国では不思議ないのかもしれないが。
(☆☆☆★)


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「シービスケット」

2004年03月11日 | 映画
人馬が両方ハンデを抱えてともに頑張るという設定の競馬映画は「チャンピオンズ」というのがあったが、作劇でやや違うのは、あれは一人と一頭中心で怪我や病気を抱えるのが割と早くて、変則の闘病ものになっていたのだが、こちらは長い時間にわたって大勢の大不況時代の人と馬がどう生きてきたかを大衆の描写と照らし合わせながら描いていること。

だからフォードの流れ作業による大量生産方式から始まり、ウィリアム・H・メイシー扮するTick Tock MagGlaughlinっていう実在のアナウンサーが効果音つきで大衆を煽る役として大きなウェイトを占めている。なんか「グラディエーター」で大衆を味方につけた者が勝つとオリバー・リードが伝授していた発想みたい。

結果、映画技術の充実やキャスティングの厚みや予算を含めて、色々な意味でアメリカの良さを見せる内容になっていて、それ自体は認めるものの、わずかにひっかかる。ラストで勝たないと格好がつかないからか(もっとも、ラスト勝つところは見せていない)。
(☆☆☆★★)


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