先日友人と話をしていて、面白い出来事を教えてもらいました。
それはある資材管理の話で、あるとき定められた時にその資材が足りないことが分かり、社内で問題になったのだそうです。
そこで同じ失敗をしないようにと改善策を講じて、資材量が皆に分かるように帳票をサーバーで管理して足りなくなればすぐに分かるようにといったことが行われました。
次の定められた日程の前には、本社から支社に対して、「今度は足りなくなるようなことはないだろうね」という連絡までして、支社の注意を促し、もう大丈夫だろうと考えました。
そして迎えた次の締めのときに、今度はその資材がある支社でたくさん余ってしまったのだそう。
実はこの資材、鮮度の問題があって余るのもよろしくなくて、締めのときにはぎりぎりまで少なくしておくのが一番美しい経理処理の仕方なのです。
「前回あまりにも不足したことで注意を促したものだから、ある支社のいくつかの部所で余裕をみすぎたらしくて…」とその友人は渋い顔。
本社に勤める友人は、「僕自身がその余らせてしまった支社の担当者に直接『今度は足りなくならないだろうね』と電話したんですよ。電話口の向こうでは『大丈夫です』という回答だったので、安心してしまいました」とちょっと悔しそうです。
「支社の担当者の反省の弁は?」と訊いてみると、「それが、その担当者も支社の中で足りなくなることはないと確信を持っていたそうなんですが、心の中で(まさか余ることはないよね…)という部下に対するセリフがのど元まできたんだそうですが、最後のところでその一言が出なかった。担当者も悔やんでいましたけどね」
よく「報告・連絡・相談」の頭を取って「ホウ・レン・ソウ」と言い、このことを部下から上司に対する情報伝達のあり方だと思っている人は多いのですが、決してそうではないという事例だと思いました。
◆
「ホウ・レン・ソウ」は部下から上司だけではなく、上司から部下にだってあるべき話なのです。
上司がさらに上司から受けた指示を正しく部下に連絡して、「いついつまでにできるかな」と相談するということは当たり前の話。
上記の場合も、部下にたった一言「余ったりしていないようね」という一言を相談や連絡の形でしておくべきでした。
(おかしいな…)とか(まさかこんなことはないよね)という気が付いたり思ったりする人は多いはずですが、それを最後に言葉にしない。
その一言を口に出させなかった理由があるとすればそこに組織の課題がありそうです。
◆
そしてもう一つ。
ともすると上司と部下の関係を持つ組織は「指揮命令」で組織の意志を形にしてゆきますが、その場合の指示は決して無慈悲で意地悪な命令ではいけません。
そうではなく、一丸となったチームがパフォーマンスを上げて答えを出す目標だと考えると全く違った形に見えてきます。
組織を活性化させるコツはそうした小さなことの積み重ねの上にあるのではないでしょうか。
友人の失敗談はとても参考になりました。
失敗を互いに共有することで成長していきましょう。