北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

道州制特区に注目しなくてはなりませぬ

2006-03-09 23:06:37 | Weblog
 道州制特区に関する国の基本的な考え方が出てきました。素案とはいえ、北海道にとってはなんともつらい提案です。
 道民の皆さんはこのことをどれくらい深刻に受け止めているのでしょうか
 
【北海道『道州制特区』について】
 内閣府から北海道道州制特区の推進についての「基本的な考え方」と法案の「検討素案」が示されました。

 北海道道州制特区推進の目的としては、「地域の特性に応じた事務処理等の特例措置を講ずる事により、地方分権を推進し、行政運営の効率化を図り、もって北海道の自立的発展に資する」とあります。

 道州制特区を推進すると北海道が自動的に自立的発展をするかのような書きぶりですが、目的の中心が『行政運営の効率化を図り』というところにあるとも読めます。役人の文章は上手です。

 北海道は兼ねてから権限移譲を国に提案していたのですが、北海道に移譲する事務の項目としてはそのうち13項目を取り上げて「可能なものを移譲」と絞った上に不可能性をまだ残しています。
 その上で同時に『道路、河川の(他府県並みの)管理については内閣から発する法案としては最低限盛り込まなくてはならない事項である』と絶対に引かない線を明言しています。

 そしてそれらに対する財政措置としては、移譲する道路、河川等の公共事業に関してはそれらに要していた国費を原則交付金として道に交付するとしています。

 しかし、その財政措置も「北海道の自立を促進するものであることから、5年後から段階的に縮小することとし、最終的には他の都府県のレベルを検討する」とされていて、道州制を導入した場合は5年後には他の都府県と比較して掛かりが多いことから手厚くされていたはずの特例を無くすという方針を打ち出しています。


 職員に関しては、国及び北海道においてスリム化を徹底させるものとされ、国から道に職員が移る場合の退職金は道の負担に配慮するということになっていて、もう国の職員が道職員に移る事が既定路線化されているようです。

 このままこれが実現したときは道内経済が劇的に落ち込むことでしょう。北海道の歴史性や地理的特殊性を「他県並み(じゃないとずるいじゃないか)」という、議論のない結論に至っている点は民主的なやり方ではありません。

    *   *   *   * 

 これまで道州制を特区でよいからモデル的にやらせて欲しい、と言い続けてきた北海道も、さすがにこの案には耐えかねたと見えて道の考え方を公表しています。

 そしてこの検討素案を「地方分権を推進する観点が乏しく、また、『北海道特例を含めて財源措置が確実に法律上担保されなければ受け入れられない』という道の主張に沿ったものとなっていない。このままでは到底受け入れられないことから、再考を強く要請する」としています。

 このやりとりを見ていると、方や権限を移譲して欲しい道と財源を奪いたい現政権との間で、どちらが先に「うちが不利でもやらせてほしい」と言い出すかという我慢比べであったのに、先に「やらせてほしい」と道側から言ってしまったようなもので、手持ちのカードをこちらは見せてしまい、向こうは高くつり上げるという関係になってしまったようです。

 この言い方が現状をただしくつかめていないということは、確かに内地の府県では道路の管理を(12号線などの)二桁国道までは国が直轄で行い、(274号線などの)三桁の国道は県管理とするのが一般的です。そこで、北海道でも内地並みに三桁国道は道に譲りなさい、という発想になるのでしょうが、北海道では二桁国道は全体の25%程度で、三桁国道でも日勝峠のように道内の枢要な路線になっている箇所が多いのです。

 逆に道内の三桁国道の総延長は道内国道の約74%(4761キロ)に上っていて、これらが全て北海道の管理になりおまけにその管理のための財源も5年間限りという事では道路の除雪や維持もままならない状態になる事は明らかです。

 一体何のための道州制の議論だったのか分からなくなっています。ただ単に北海道に与えられていた財政的特例を剥がすための方便だという人も多いはずです。

 地方分権の考え方に特権を廃止して条件を同じにするという事が原則であるかのように伺えますが、同じ地理的条件などないの地方にあって「条件が同じ」という事の定義から明らかにしなくてはいけないでしょう。

 条件が不利なところに手厚くということは、決して条件が違うという事にはならないはずです。

 道民としては、道州制特区の話から目が離せませんね。
コメント
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