宝塚大劇場、2014年4月22日マチネ、ソワレ(新人公演)。
東京宝塚劇場、5月18日ソワレ、6月3日ソワレ、8日ソワレ、13日ソワレ。
宝塚歌劇100周年記念公演となる3本立て。
日本絵草紙『宝塚をどり』は作・演出/植田紳爾。「100」の一文字は二階席から見るととても綺麗、チョンパの幕開きも歓声が沸きました。
初舞台生口上もけなげでいじらしくよかったですが、伝統文化といえど宝塚歌劇の舞台に男声が響くのは私は嫌いなので松本先生の場面はパス。三番叟はみんな武者人形みたいで美しい。
郷土芸能よさこい場面はセンターの三人の三者三様っぷりが素晴らしい。ダンスが一番上手いのは年ちゃんだと思うのだけれど、ちなっちゃんの涼やかな目力とシャープな動き、そしてたまきちの真ん中力、いなせな男らしさがたまらん!
獅子と牡丹、胡蝶も美しく、すみれのボレロも定番ですがよかったです。
総じて星組の和物ショーよりよかったけれど、やっぱり長いな、芝居と逆の尺でいいよね。私に日舞を見る素養がないこともありますが。
そりゃ伝統は大事です。でもだったら海外公演に『若き日の唄は忘れじ』とか『小さな花がひらいた』を持っていこうよ。
あと和物ショーなら酒井先生のものが見たいです。というか植田先生はいろいろな意味で本当に勇退あそばされた方がいいと思いますマジで。観音様じゃないよマリア様だよ、と言われなきゃわからないなんて意味がない。
プチ・ミュージカル・プレイ『明日への指針-センチュリー業の航海日誌-』は作・演出/石田昌也。
35分の中でなるべくたくさんのスターにキャラクターを与え、四日間の船旅のドラマを作り、一三、公平両先生へのオマージュも盛り込む…意欲は買いますがいかにもせわしなかったです。そして肝心のキャラクターが破綻しているしストーリーもコン・ゲームとしても機能していません。つらかった…
そもそもトップスターが演じる主人公ジェイク(龍真咲)が博打打ちの借金持ちってのはどうなんだ。ヒロインのレイラ(愛希れいか)に説教くさい台詞を言わせてはいますが、それで改心が期待できるのでしょうか?
それと通信士が理系で小説家が文系なの? 石田先生にとって科学って何?
アンジェラ(海乃美月)は「恋人は?」ってただその有無を聞いただけではないの? それに対するジェイクの台詞ってどういう意味? 会ったばかりなのにそんなプライベートなことを答える義理はない、ということ? 会ったばかりの君みたいな相手を恋人になんかできないよ、と言っているようにも聞こえ、なんなのこの自意識過剰男は?と思ってしまったんですけれど?
さらに言えばレイラはなんだってジェイクの声がけをナンパだと判断するわけ? どれだけ自意識過剰なの? 何故ジェイクの小説をストレートに褒めないの? 何故聞かれてもいない自分の結婚生活の話なんかするの? 会話の流れが不自然すぎるでしょう。
レイラの夫ドナルド(輝月ゆうま)は妻を誘惑するようジェイクに依頼したとき、写真だけ渡して名前も教えなかったの? おかしくない? ジェイクはどの時点でアンジェラを探して自分が声をかけた女性がターゲットだと気づき、誘惑に移ったの? 全然わからないんですけど?
ドナルドの逮捕劇に関してサイモン(沙央くらま)は船長に扮して何をしているの? 単なる度胸試し? ドナルドが本物の船長だと信じたら演技に自信が持てるとか、そういうこと? サイモンが船長だとだまされたドナルドが馬脚を表すとかの展開にならないとムダなんじゃないの?
ナイジェル(凪七瑠海)のトラウマは時効とは関係ないでしょう、犯罪とは違うんだから。女の子のふりをすることを「女装」と言いなおす意味がないしそのセンスが理解不能だわ。
役者は懸命にがんばっているだけに脚本の残念さがつらかったです。
グランド・レビュー『TAKARAZUKA花詩集100!!』は作・演出/藤井大介。
往年のレビュー『花詩集』のアレンジであり、衣装にアントワーヌ・クルックを招聘していることもあっていつもの劣化大介ショーではなくなっており、楽しかったです! これでもかこれでもか、という盛りだくさん感がたまりませんでした。
まず花詩集の紳士のまさおが素晴らしい。白か銀かというシルクハット、燕尾服にマント、大きな薔薇の飾り、あんなのなかなか着こなせません!
初舞台生ロケットのお衣装はちょっと裸エプロンみたいで露出が多すぎ生々しすぎたのが残念でしたが、斬新ではありました。振付もよかった!
プロローグに大階段ってのも華やかでいいですよね。みやちゃんがセンターで残っての「ラ・ロマンス」もいい。
続く「マーガレット」、白の王子のカチャが黒の王子のたまきちにマーガレットちゃぴを奪われて終わる展開が納得すぎる(^^;)。リフトよかったなー。鬘はカチャに合わせて長短2パターンあるそうでしたがどちらも好きでした。
「赤いケシ」ではマントの女コマもいいがタバコの女のみやちゃんの脚線美がたまらん! 脚が細すぎるのであれくらい飾りがあって適度に隠せた方がいいですよね。
中詰めの「青い蘭」はみんなが青と金のお衣装の中、紫の全身タイツでセリ上がるたまきちがたまらん! 素晴らしいモジモジくんだ!! 当初はテレもあったようですが、いいウィンクをするようになってくれておばちゃんは嬉しい…暗転際にパチン☆と決まるとホントにきゅんとしました。
まさおの吐息にちゃぴのパンチある掛け声もいいし、総踊りのあと月下美人センターでもう一押し残る感じもものすごく好きでした。
スミレの青年のコマはさわやかでリリカルで、「スミレ」のトップコンビのお衣装は砂糖菓子のようで、羽根扇の男たちがまた良くて、黒燕尾がまたカッコよくて、長いトレーンを引いたレディちゃぴが美しくて、100人ロケットが圧巻のフォーメーションで、だるまさきがいい太腿してて、「ブラックローズ」がとんでもなくて、詩人がまた素敵で立派に銀橋を渡れるようになっていてまたまたおばちゃん感涙。黒髪が素敵だけれど金髪も悪くないと思ったなー。
銀の花のデュエダンもいい。カチャのエトワールで番手をごまかしているのは難点ですがパレードも華やかで、さすがの人海戦術が圧倒的でした。楽しかった!
そして大劇場では新公も観られました。
お芝居のありちゃんはさすがにいっぱいいっぱいでしたが、まあ貴重な経験ができたのではないかな。あーさ、れんこん、まゆぽんにはーちゃんとタレントが揃っていますねー。
そしてショーの新公ときたら! 真ん中部分は各場面ごとに若手に譲ったたまきちがプロローグとフィナーレだけで完全に確変!! 『New Wave!!』での経験が生きたか、色気や男気を前面に出して「オレを見ろ!」「オレが主役だ、オレが引っ張る!!」感が完全に出ていました。こんなたまきち見たことなかった!!!
黒燕尾のセンターなんか本当にシビれました。前に誰かの背中を見ることができない位置に立ってやっと性根が座った感じがしました。そして後ろを気にすることなくひとりでガツンと踊ってみせていて、完全に場を引っ張っていたし他の組子とは段違いでした。スター誕生ってこういうことをいうんだなあ!と興奮しました。
各組とも2年に一回くらいはショーの新公をやった方がいいですよ。あと雪星宙でも『New Wave!!』やって! でないとスターは育ちません。
大柄で今どき珍しく男臭い持ち味があって、下級生時代から抜擢され続けてきたたまきちが、とまどいながらも懸命に応えようとしてきて、性格的にものんびりのんきにしてしまいそうなところをずっと突き上げられてきて、ついに覚悟が決まった、一皮剥けた、って感じがしました。もう大丈夫!みたいな。
今までの努力とその決意は決して裏切らないし、ファンも応えて応援していくと思うなあ。ああ、いいものを観ました。
東京宝塚劇場、5月18日ソワレ、6月3日ソワレ、8日ソワレ、13日ソワレ。
宝塚歌劇100周年記念公演となる3本立て。
日本絵草紙『宝塚をどり』は作・演出/植田紳爾。「100」の一文字は二階席から見るととても綺麗、チョンパの幕開きも歓声が沸きました。
初舞台生口上もけなげでいじらしくよかったですが、伝統文化といえど宝塚歌劇の舞台に男声が響くのは私は嫌いなので松本先生の場面はパス。三番叟はみんな武者人形みたいで美しい。
郷土芸能よさこい場面はセンターの三人の三者三様っぷりが素晴らしい。ダンスが一番上手いのは年ちゃんだと思うのだけれど、ちなっちゃんの涼やかな目力とシャープな動き、そしてたまきちの真ん中力、いなせな男らしさがたまらん!
獅子と牡丹、胡蝶も美しく、すみれのボレロも定番ですがよかったです。
総じて星組の和物ショーよりよかったけれど、やっぱり長いな、芝居と逆の尺でいいよね。私に日舞を見る素養がないこともありますが。
そりゃ伝統は大事です。でもだったら海外公演に『若き日の唄は忘れじ』とか『小さな花がひらいた』を持っていこうよ。
あと和物ショーなら酒井先生のものが見たいです。というか植田先生はいろいろな意味で本当に勇退あそばされた方がいいと思いますマジで。観音様じゃないよマリア様だよ、と言われなきゃわからないなんて意味がない。
プチ・ミュージカル・プレイ『明日への指針-センチュリー業の航海日誌-』は作・演出/石田昌也。
35分の中でなるべくたくさんのスターにキャラクターを与え、四日間の船旅のドラマを作り、一三、公平両先生へのオマージュも盛り込む…意欲は買いますがいかにもせわしなかったです。そして肝心のキャラクターが破綻しているしストーリーもコン・ゲームとしても機能していません。つらかった…
そもそもトップスターが演じる主人公ジェイク(龍真咲)が博打打ちの借金持ちってのはどうなんだ。ヒロインのレイラ(愛希れいか)に説教くさい台詞を言わせてはいますが、それで改心が期待できるのでしょうか?
それと通信士が理系で小説家が文系なの? 石田先生にとって科学って何?
アンジェラ(海乃美月)は「恋人は?」ってただその有無を聞いただけではないの? それに対するジェイクの台詞ってどういう意味? 会ったばかりなのにそんなプライベートなことを答える義理はない、ということ? 会ったばかりの君みたいな相手を恋人になんかできないよ、と言っているようにも聞こえ、なんなのこの自意識過剰男は?と思ってしまったんですけれど?
さらに言えばレイラはなんだってジェイクの声がけをナンパだと判断するわけ? どれだけ自意識過剰なの? 何故ジェイクの小説をストレートに褒めないの? 何故聞かれてもいない自分の結婚生活の話なんかするの? 会話の流れが不自然すぎるでしょう。
レイラの夫ドナルド(輝月ゆうま)は妻を誘惑するようジェイクに依頼したとき、写真だけ渡して名前も教えなかったの? おかしくない? ジェイクはどの時点でアンジェラを探して自分が声をかけた女性がターゲットだと気づき、誘惑に移ったの? 全然わからないんですけど?
ドナルドの逮捕劇に関してサイモン(沙央くらま)は船長に扮して何をしているの? 単なる度胸試し? ドナルドが本物の船長だと信じたら演技に自信が持てるとか、そういうこと? サイモンが船長だとだまされたドナルドが馬脚を表すとかの展開にならないとムダなんじゃないの?
ナイジェル(凪七瑠海)のトラウマは時効とは関係ないでしょう、犯罪とは違うんだから。女の子のふりをすることを「女装」と言いなおす意味がないしそのセンスが理解不能だわ。
役者は懸命にがんばっているだけに脚本の残念さがつらかったです。
グランド・レビュー『TAKARAZUKA花詩集100!!』は作・演出/藤井大介。
往年のレビュー『花詩集』のアレンジであり、衣装にアントワーヌ・クルックを招聘していることもあっていつもの劣化大介ショーではなくなっており、楽しかったです! これでもかこれでもか、という盛りだくさん感がたまりませんでした。
まず花詩集の紳士のまさおが素晴らしい。白か銀かというシルクハット、燕尾服にマント、大きな薔薇の飾り、あんなのなかなか着こなせません!
初舞台生ロケットのお衣装はちょっと裸エプロンみたいで露出が多すぎ生々しすぎたのが残念でしたが、斬新ではありました。振付もよかった!
プロローグに大階段ってのも華やかでいいですよね。みやちゃんがセンターで残っての「ラ・ロマンス」もいい。
続く「マーガレット」、白の王子のカチャが黒の王子のたまきちにマーガレットちゃぴを奪われて終わる展開が納得すぎる(^^;)。リフトよかったなー。鬘はカチャに合わせて長短2パターンあるそうでしたがどちらも好きでした。
「赤いケシ」ではマントの女コマもいいがタバコの女のみやちゃんの脚線美がたまらん! 脚が細すぎるのであれくらい飾りがあって適度に隠せた方がいいですよね。
中詰めの「青い蘭」はみんなが青と金のお衣装の中、紫の全身タイツでセリ上がるたまきちがたまらん! 素晴らしいモジモジくんだ!! 当初はテレもあったようですが、いいウィンクをするようになってくれておばちゃんは嬉しい…暗転際にパチン☆と決まるとホントにきゅんとしました。
まさおの吐息にちゃぴのパンチある掛け声もいいし、総踊りのあと月下美人センターでもう一押し残る感じもものすごく好きでした。
スミレの青年のコマはさわやかでリリカルで、「スミレ」のトップコンビのお衣装は砂糖菓子のようで、羽根扇の男たちがまた良くて、黒燕尾がまたカッコよくて、長いトレーンを引いたレディちゃぴが美しくて、100人ロケットが圧巻のフォーメーションで、だるまさきがいい太腿してて、「ブラックローズ」がとんでもなくて、詩人がまた素敵で立派に銀橋を渡れるようになっていてまたまたおばちゃん感涙。黒髪が素敵だけれど金髪も悪くないと思ったなー。
銀の花のデュエダンもいい。カチャのエトワールで番手をごまかしているのは難点ですがパレードも華やかで、さすがの人海戦術が圧倒的でした。楽しかった!
そして大劇場では新公も観られました。
お芝居のありちゃんはさすがにいっぱいいっぱいでしたが、まあ貴重な経験ができたのではないかな。あーさ、れんこん、まゆぽんにはーちゃんとタレントが揃っていますねー。
そしてショーの新公ときたら! 真ん中部分は各場面ごとに若手に譲ったたまきちがプロローグとフィナーレだけで完全に確変!! 『New Wave!!』での経験が生きたか、色気や男気を前面に出して「オレを見ろ!」「オレが主役だ、オレが引っ張る!!」感が完全に出ていました。こんなたまきち見たことなかった!!!
黒燕尾のセンターなんか本当にシビれました。前に誰かの背中を見ることができない位置に立ってやっと性根が座った感じがしました。そして後ろを気にすることなくひとりでガツンと踊ってみせていて、完全に場を引っ張っていたし他の組子とは段違いでした。スター誕生ってこういうことをいうんだなあ!と興奮しました。
各組とも2年に一回くらいはショーの新公をやった方がいいですよ。あと雪星宙でも『New Wave!!』やって! でないとスターは育ちません。
大柄で今どき珍しく男臭い持ち味があって、下級生時代から抜擢され続けてきたたまきちが、とまどいながらも懸命に応えようとしてきて、性格的にものんびりのんきにしてしまいそうなところをずっと突き上げられてきて、ついに覚悟が決まった、一皮剥けた、って感じがしました。もう大丈夫!みたいな。
今までの努力とその決意は決して裏切らないし、ファンも応えて応援していくと思うなあ。ああ、いいものを観ました。