駒子の備忘録

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『バロンヴィーテ!!』初日雑感

2021年11月21日 | 日記
 宝塚歌劇宙組全国ツアー『バロンの末裔/アクアヴィーテ!!』初日梅芸公演を観てきました。『GM』に続き、エモエモのエモでした。
 私のファン歴はヤンミハ、ユリヨシコから始まったわけですが、ミキジュンには特に萌えず、でもノンユウコは大好きで、プレお披露目の『ミーマイ』が是非とも観たくて初・中日劇場遠征をしたくらいでした。代替わりしても好き、の初体験だったわけで、それで沼没入が決定的になったんじゃないのかなあ、と思ったりもしています。
 というわけでそのノンちゃんのサヨナラ公演となった『バロンの末裔』、もちろん初演を観ていますし、最近もスカステで放送があったので久々に見ましたし、再演が発表されたときにはプログラムを引っ張り出してきて脚本を熟読しちゃいました(まだ「ル・サンク」はなくてプログラムに脚本が掲載されていた時代でした)。役が少ないのが難点だし地味と言えば地味なんだけど、優しい方というかハートフルな方のいかにもハリーな作品で、私は好きです…!と改めて感じ入りましたね。ゆりかちゃんはほややんとしたローレンスがいかにもハマるんじゃなかろうか、かのちゃんもキャサリンを決してカマトトなんかにならずにきっちりしっとり演じてくれるんじゃなかろうか…と期待して、ワクテカ出かけました。
 セットが簡素になった他は、台詞も歌もまんまだったのではないでしょうか。なので、もっと会話でキャラの名前を呼ばせ合った方がいいよとか台詞で関係性を明示した方がわかりやすいよ、と当時ヒヤヒヤしたところも全然改善されていなかったわけですが(^^;)、まあ芝居があったまってくればファンは勝手に補完するだろうし、そんなに心配しなくてもいいのか…と思いつつも、ハリーもっと仕事してくれてもいいのよ…?とも思いつつ観ました。でもとにかくもうプロローグの「I WISH」からもう萌え萌えでした。
 というかホント言えば、冒頭アバンの、双子の弟エドワードに手紙を書くゆりかちゃんローレンスがけっこう重めの発声で、あれっキャラ設定変えるの!?ってとまどったりはしたんですけどね。そのあとのゆりかちゃんエドワードとずんちゃんリチャードの会話も意外に客席から笑いが沸かなくて、最後にリチャードが変顔してローレンスの死を祈るくだりでやっと笑いが起きたくらいだったので、まあマミちゃん個人のおもろさに頼っちゃうのはよくないんだけどここって意外に難しいのかなこのユーモアが伝わっていないのかなこの先のコミカルパートも大丈夫かなとか心配しちゃったのですが、そこからのプロローグのあまりの懐かしさに、つい流されてしまった…というところです。ずんこウィリアムがさっと出てきて鮮やかに空気を変えて踊ってくれたのがよかったのかもしれません。
 以後、そんなに細かくすべてを覚えているつもりはなかったのに、ああぁそうだったこうだったわあぁこうだった懐かしい次はこう来るよ、の大洪水大渋滞でもう感情が大変でした。だってわあぁユウコの緑のドレス! アツのピンクのドレス! コモちゃんの別珍みたいな材質のデーハーな柄のドレス! ゆら姉のピンク! って出てくる端から全部記憶が蘇って、もちろんドレスはそのままのものではなくて似たものだったり似せて作り直したレプリカだったりしたかのもしれませんが、でも劇団の物持ちの良さを知っているだけにまさか現物…! と震えているうちにも物語は展開しているのでした。ホント脳内が忙しかったです(^^;)。
 かのちゃんキャサリンは、ユウコがまろやかな声で歌うように音楽的に台詞を発していたのをよく研究したようで、もともと自身もとてもええ声の娘役さんですが、本当にちょいちょい似ていてキュンとしました。でもただの物真似ではなくて、ちゃんとかのちゃん自身が血肉を通わせたキャサリンになっていたと思います。もっと、ユウコより情念のキャサリンにしていけると思う気もするので(だって自死まで考えるのってけっこう重い女だと思うんですよね…)、そのあたりは今後に期待したいです。さらりとして見えて実は重い、のがキモのお役だと思うので。好き!
 ただ、初見の観客は雉撃ちの丘場面はけっこうびっくりしちゃってトートツに感じたかも…とも思いました。キョロちゃんヘンリーの邪魔の入り方といい、そういう演出だしそれがハリーの創作意図なんだと思うんだけれど、でも「えっ、そうだったの!?」ってなっちゃってちょっとついていきづらいものを感じたり、ここでふたりが何をどう議論しているのかがよくわからない…となっちゃう人もいるんじゃないかなあ、とちょっと心配になっちゃったんですよね。キャサリンがエドワードに抱きつくときにけっこう距離があって、激情のままに…と見せるにはちょっと時間がかかって見えたせいもあったかもしれません。明日以降、きっと上手く調整し、煮詰めていってくれることでしょう。ヘンリーの邪魔以外はふたりっきりの、まあまあ尺もある難しい場面ですが、芝居の醍醐味だとも思うので、期待!
 あとはもえこもズンコの台詞回しを思い起こさせるところが多々あって、キュンとしましたね。頭取室でのやりとりはもっとおもしろくできると思うし、これも明日から微調整して、もっとどっかん湧くくだりになるんじゃないかなあ。ひろこは過不足なかったと思うので、愛未サラちゃんシャーロットがもっと押し出していけるといいよなとは思いました。美人だしインパクトあってよかったんですけどね。もちろんりんきらはさすがでこってぃも味があったんですけどね、もうひと練りなんとかしたかった気がしました。
 さらに言うとずんちゃんひばりちゃんカップルが全体にもっと悪ノリするくらいに元気にやってくれるといいんだろうし、キョロちゃんももっと上手く笑いが取っていけるようになると思うんですよね。すっしぃさんとさよちゃんは手堅い。ほまちゃんはもちろん上手い。
 ラストはやっぱりサヨナラ仕様の展開だなあ、と思うのですが、まあご愛敬かな。ただ時代のせいで、初演当時はバブルのなごりでみんなが豊かだったから貴族の没落を心配してあげられる心の余裕があったけれど、今観るとなんせみんなが貧しくなっている時代なので、貴族だけが安泰なわきゃないだろ売るものがあってよかったなナメてんのかコラ、って見えちゃうのかもしれないなあ、とは思いました。世知辛い…そういう意味でやはり作品は時代につれるものであり、再演でまったく同じように観られることはないのだな、とも改めて考えさせられました。
 でも、基本的には愛する人のためにせつない選択をして、選択の責任をきちんと引き受けて、でもグレずに前向きに生きていく…という、いいお話だと思うので、全国の人に観てもらって(というにはツアー箇所に偏りがありますが)より広く愛される作品になるといいなあ、と思ったのでした。
 あ、カゲソロはここさくちゃん。美声でした!
 私は次は沖縄で観ます。どう仕上がっているのか、楽しみです!!

 ショーはまどかのところにかのちゃんが入り、キキちゃんのところはずんちゃん、ずんちゃんのところにもえこが上がって…とだけ想像していましたが、そうそう意外と退団者ピックアップが手厚い構成だったんだっけ、と観ながら思い出していく感じでした(^^;)。
 アルカミストはすっしぃさんで、エイトモルトはトゥモルトになって大路くん泉堂くん。プロローグ、ゆいちぃと愛咲まりあちゃんだったところがかなこひろこで、美しくて嬉しい! プロローグのリプライズ娘役ちゃん場面がちゃんとかのちゃんセンターで残っていて嬉しい!
 ラムページはずんちゃん、赤いメッシュがいい感じ。ゆいちぃだったロフティドリームはキヨちゃんで、脚の長さは及ばないものの身体能力とバレリーナっぷりがものすごく、圧巻でした。
 スモーキーナイトはチアフル両親がりんきらとりずちゃんになって、サインボーダはもちろんかのちゃん、お衣装もママで眼福。
 ずんちゃんだったミステリアスクラウンはもえこになって、アマーミはかなこはママでまりなだったところが琥南くん。これまた美しかったです。中詰めは銀橋はないけど歌い継ぎが次々あって、そらのタコ足の白ダルマのファーストダイナマイトはこってぃ。アシンメトリーの黒髪ボブで美人! ダブルデュエダンの夢白ちゃんのところは栞菜ひまりちゃん。
 そらのインテンスボーイもこってぃで、こちらは男役としてバリバリ踊っていてカッコいいこと! 歌手はほまちゃんとりずちゃんになっていました。
 ゆりかちゃんの受動喫煙場面(笑)はあきものミマがママ。
 麦芽場面のとっぱしでずんちゃんとかのちゃんがバリバリ踊るのが映りが良くて、これもいいコンビだなと感心しました。てかここのかのちゃん、ホントきびきび踊っていて清々しかったなー!
 ロケットのホースはキョロちゃんとひばりちゃんに。ひばりちゃん、ときどきゆうりちゃんにも見えましたよね…
 フィナーレのデュエダンはかのちゃんがミニスカートの下にホットパンツを履いた新調のお衣装で、とてもキュートでチャーミング。エトワールは引き続きさよちゃんでした。パレードの階段降り、全ツとはいえキョロちゃんがひろこ、ひばりちゃんを左右に従えてセンター降りしていて、おおぉとのけぞりました。よかよか。
「ウィスキーがお好きでしょ」のくだりは「専科の凛城きらさん」が「♪りんきらりんにさりげなく~」と全然さりげなくなく歌いながら3人にグラスを配るところから始まり、何故か出身地縛りの台詞になっていましたが(笑)、個人的にはゆりかちゃんの「夢の中でお散歩したい」が残っていたのがツボでした。
モアダン』や『ファシネ』を観ちゃうと、やはりいつものすぎるダイスケショーで可もなく不可もないショーだな、と思えてしまうところはあるかなと感じました。頼むから宙組にフツーの中村Bショーをください…!
 まあでもまずは全員元気に、怪我なく事故なく、楽しく回ってきてください。各地で美味しいお酒がこっそり飲めるといいですね…無事の完走をお祈りしています。






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