駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

愛してるよ宝塚歌劇団

2020年04月09日 | 日記
 政府が火曜夜に緊急事態を宣言して、水曜から発効して、なのに休業要請を2週間見送るとか言い出す大臣だかがいたりして、そもそも補償がないなら生活のために休めない人は働き続け外出し続けるので感染拡大防止なんかできないよそこんとこどう考えてるんだよボケカスとか思っていた木曜の朝に、宝塚歌劇団は現状の公演中止期間を6月末まで延長することと、今後の公演スケジュールを見直すことを発表してくれました。
 合わせて、発表済みの退団者の退団日も、組替えの生徒の異動日も、組長・副組長の就任日も変更されることも発表してくれました。
 世の中に不穏な空気が漂い出して、不要不急のエンターテインメントは自粛を、なんて理不尽なことを言われ出してからずっと、ちょっとずつちょっとずつ、ファンにも生徒にもスタッフにもあらゆる関係者にもなるべくいいように策を講じ、公演を中止するにしても少しずつ期間を延ばすだけで、どうしても上演したい千秋楽はあらゆる対策を取ってきっちり公演し、実際そこからはひとりとして感染者を出さず、ファンでも観客でもないような人間たちからどんなに心ない非難や罵声を浴びせられようと静かに潜行し続け、ついには「当面の間」と言っていつまでとも言わず公演中止を宣言したのち、不死鳥のように鮮やかに、未来へ向けて前向きな発表をしてくれたのでした。
 そりゃ健康第一です、安全第一です。でも人はパンのみにて生くるにあらず、たとえ不要不急のものであろうと、文化や娯楽がなければ心が死んでしまいます。心が死んで、文化も文明も手放してただ生きながらえるだけの動物になってしまったら、人間なんてあっという間に滅びます。それくらい動物としては脆弱な生き物なのです。
 もちろん人類なんか滅んでしまった方が自然のためには、地球のためにはいいのかもしれません。ウィルスがあらゆる動植物を軒並み薙ぎ倒し死滅させ、その星の主となった惑星なんてこの広い銀河にいくらでもあるのかもしれません。
 でも、私たちはそうはなりたくない。だから戦うのです。無能な政府を批判し続け、抗議と要求をし続ける。テレワークやリモートワークができる職種なのにその環境を整えようとしない怠慢な社長にも抗議し要求し続ける。社会インフラを担うためずっと働き続けている方々、医療関係者には感謝の意を捧げ続ける。署名でも寄付でもできることはする。家にいられるなら家でおとなしくしている。最低限の買い出しや運動のためにしか外出しない。
 なんせ政府が補償してくれないので飲食店などの経営が心配なので、なるべくそうしたお店のテイクアウトを購入するか、換気して席の間を空けているようならそこでたまに外食もしてお金を落とし経済を回す。
 キャトルのオンラインショップで買い物し(配送の手間暇は増やしてしまってすみません…!)、スカステを見まくり、過去のDVDやCDに浸りまくる。新作に思いをはせる。ウィルス付着の危険もあるかもしれないけれど、想いを伝えたいからお手紙を書く。劇団には感謝と励ましのメールをする。
 そして何より、心身ともに病まないように努める。がんばりすぎない。家族と、周りの人々を労り、甘え、支え合う。身近なところから、できることから。
 そうして、明るい未来を信じて待つ。明けない夜はないのだから。これはこういうときにこういうふうに使うのはいいと思うのである!!!

 実際、電車会社が母体であることや自前の劇場を持っていることはとても大きいことだと思います。たくさんの小さな劇団や小さなプロダクション、小さな劇場、たくさんの役者さんやスタッフさん、演劇関係でなくてもパフォーミングアーツ業界の方々はみんな、完全な中止や先の見えない延期ばかりで、その先の新規のお仕事の目算もそう簡単には立てられず、さぞかし苦労していることでしょう。
 先が見えないのは歌劇団も同じで、こればっかりはウィルス次第というか、その対策としての政府の施策次第なわけで、いつからなら大丈夫、とかいつから再開、とかが現時点で言えたわけではありません。それはあたりまえです、誰も神様ではないのだから。
 でも、確かに希望がある。とりあえず今は中断しただけで、スライドしてリスケ、という未来が見えたからです。
 少なくとも本公演なら、再開できるとなったら大劇場公演は花組の『はいからさん』から、東京公演は星組の『眩レイ』から、まるっとスライドして始めてしまえばいいんです。なのでみつるの退団日もスライド。そしてれいちゃんもこっちゃんも、お披露目公演を完遂するのです。
 そのまま月組も宙組も雪組もスライドしていく。だからだいきほもたまさくも退団日はスライド。
 バウホールは中止になった公演はないけれど、それこそ自前の小劇場なので空けておいたままだってかまわないのです(採算などの問題はあるにせよ)。良きときにほのかバウから再開すればいい。
 宙組の赤坂、青年館&DCと雪組の文京&神戸、星組の赤坂&DCは別箱なので、かなりの調整が必要かもしれません。でもはつひちゃんの退団日のスライドも発表されているので、どこかでなんとかする気は満々なのだと思われます。
 雪組の全ツと星組の全ツがもっとも微妙かもしれません。月組の全ツも控えていますが、この先大きな移動を伴う興業ってどうなんだ…というのはあるかもしれないからです(他の公演もたいていは東西で大きく移動しているやろ、というのはあるにせよ)。でも、本当に事態が収束に向かい、新たな感染者がほぼ生まれず、罹患した人が治るのを待つのみ…みたいな状態になったら、むしろ今後の経済的な活性化などのためにも地方巡業は大事だろう、となる気はするんですよね。こっとんはともかく咲ちゃん、れいこは次期トップスターへの試金石めいたところもあるのだろうし、これまたしっかりやりたいやらせたいと劇団も考えていると思います。
 DS、MSも系列ホテルが会場ですから、スライドを謀るに問題は少ないと思われます。 まるっと半年とか、大事を取るならもしかして丸一年とかでもいい。早くからそういう要望はファンの中にもありました。もちろん退団者にはすでに卒業後になんらかのプランがあった方もいるかもしれません。でもまずは、きっちりやりきってから卒業したい、と思ってくれたんだと思うのです。だから退団日の変更を了承してくれた…ありがたいことです。
 ファンも、中の人も、みんながみんな宝塚歌劇を愛して、信じて、良かれと思ってできることをしようとしている。だから未来に希望の灯が点る。素晴らしいことだと思います。愛情と敬意が確かにそこにある。実は今の世の中にこれはなかなかない事態なのです。私たちファンは誇りに思っていい。何より生徒さんたちと劇団が誇ってくれると、私たちもなお嬉しいです。

 私個人のことで言えば、2月末の雪組東京公演のチケットを持っていて、まずはなんとかそこまでは…!とか小ずるいことを思っていたものでした。幕間に、翌々日からの中止が発表されたことを知って膝の力が抜ける思いをしたものです。
 千秋楽のスカステ生中継は、我が家でお友達と4人で見ました。まだそこまで群れるの禁止、みたいな空気はなかったのです。みんなでわいわい見たかったし、できてよかったし、テレビ越しでもだーだー泣きました。
 花組大劇場公演も星組東京公演も、ちょっと初日が遅れるだけだよ、とずっと思っていました。取れていたはいからさん新公チケットがパーになってもまだ東京があると思えたし、眩耀東京新公まで中止になっても大劇場で観ておけてよかったとしか思いませんでした。水星にもオスマン帝国にも行く気満々でした。のぞコンもボレロもシラノもエル・アルコンも、友会で当たったチケットがありました。
 外部なら大空さんの『お勢断行』からまっつのコンサート、劇団メリーゴーランド、ずっと観てきたチェーホフ・シリーズの『桜の園』にあっきーがまんちゃんやゆうりちゃんとやる舞台、向江さんのバースデーワンマンライブ、こまつ座『雪やこんこん』にまぁ様の『モダン・ミリー』、ぐるぐるデビューの『WSS』と、まだこれから延期・中止の発表が来るかとドキドキしているものもあるのですが、現時点でトータル40枚以上のチケットが飛びました。1月に10回、2月に12回観劇している私が、3月は今となっては奇跡の『アナスタシア』1回のみ、4月は0回の予定です。贔屓が卒業して観劇回数もやや控えめに…とは予想していましたが、こういう理由は想定していませんでしたし、何より嫌です。悲しいです。
 でも、仕方ない。未だ健康で、しょんぼりしたりジタバタできるだけありがたいと思わなくてはいけないかもしれません。弊社でも罹患した社員は出ているし、実家の弟はリモートできない仕事で未だ毎日出勤しているし(車でだけど)、心配は尽きません。自分が今まだ健康でいられるのは奇跡のようなことなのかもしれません。
 なのでそこは感謝して、引き続き気を引き締めて、慣れないリモートワークにもお籠もりにも前向きに立ち向かい、がんばりすぎずがんばるのみですね。
 チケット返金手続き作業はきっちりやって、お小遣い帳もつけて、コロナ日記もつけて(記録は大事だと思うのです)、そして戻ってきたお金はまた必ず散財します! 健康第一、だからこそそのあとの娯楽も文化も大事で、そこには引き続きお金をかけていくつもりです。宵越しの金ならぬ死に越しの金は持たねェぜ!の心意気です。そしてみんなが幸せに生きられる社会を目指して、次の選挙にもきちんと行きます。てかぶっちゃけ政策で選ぶんでいつも共産党の候補者に投票してるんですけど私…

 最初か、二度目の中止発表のときに心が折れかけて、誰かもっと脳天気な、贔屓の好きだけを語るようなツイートしない? 誰かなんか素敵なタグ作ってくれない? みたいなことを私はつぶやいたのですが、だからということではなくてごく自然発生的に、「愛してるよ宝塚歌劇団」というハッシュタグがすぐできて、みんなが想いの丈を語り、マスコミの記事になりおそらく中の人にも届いたかと思うと胸アツです(私が最初に作ったタグだ、という方がいらしたら、すみません)。今回、記事のタイトルにさせていただきました。
 改めて、劇団さんありがとうございます。いつもいろいろ言っていてすみません。でもそれは今後も続ける(笑)。コンプライアンスとか人権意識とかアップデートしてないのホントにヤバいし、トンチキクオリティもプロとしてどうなのよって限度がある。それはなくすために、良くするために引き続き、何度でも、私は言い続けます。単なる一ファンの批評にすぎませんが、「それが俺の愛なんだ!」(台詞バロりました)。無関心ではないから、愛しているから、指摘するのです。てかこっちだってわざわざネチネチ言いたかないよ、文句のひとつもつけられない、ぐうの音も出ないような完璧な作品出してこいっつーの!
 私が仕事で完璧なものを作れている、ということではありません。私の仕事への批評は仕事でちゃんと受けています。同じことです。
 そういえば卒業したヒメも「娘役という仕事」と言っていましたよね。プロ意識、大事です。たまたま政治家の家に生まれただけで政治のプロでもなんでもない人間が、プロへのリスペクトも何もなくただ政治ごっこしている事態に国民が殺されそうになっている今、なおさら強く感じます。「責めるな」だと? どの口が言うよ。責め続けます、批評し続けます、選挙で選ばれてしまった人たちだから監視し続けます。それは私たちの義務です、仕事です。国民のプロたらんとしているのです。
 同じように、あきれて嫌になってファンはやめるのは簡単なことかもしれないし、そういう人を責めたりはしません。でも私はファンだから、ファンのプロでありたいから、言い続けます。ファンの仕事をし続けます。それだけのことです。
 愛しています。重くてごめん。






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