駒子の備忘録

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パラドックス定数『プライベート・ジョーク』

2020年12月08日 | 観劇記/タイトルは行
 東京芸術劇場2020年12月6日15時。

 20世紀初頭の古き良き時代。自由を掲げる学生寮で未来の芸術家たちが暮らしていた。若さ故に才能を持て余しながらも破天荒な共同生活は続いていく。ある日、学生寮主催の講演会にふたりの男が登場し…
 作・演出/野木萌葱。2007年初演、全1幕。

 You Tubeで期間限定で過去の作品を公開していたのが話題で、見てみました。『Das Orchester』が最も好みだったかな、すごく良くできていると思いました。『Nf3Nf6』もすごく好みで、でもオチが甘いかなと思いました。『5second』『トロンプ・ルイユ』も見ましたが、これらはそれほど刺さらなかったかな…でも生で観ていたらまた違うかもしれません。とにかく興味を持ったので、ちょうど公演があるというのでチケットを取って観てみました。

 劇団成立直前に初演した作品だそうですね。開演前にプログラムというかペラ一枚のキャスト表などに目を通していたのでわかったのですが、要するに詩人L(植村宏司)はロルカのことで画家D(小野ゆたか)はダリ、学者E(加藤敦)はアインシュタインということですよね。映像作家B(井内勇希)はブニュエルという人らしいですが私は知らない人でした。そして画家P(西原誠吾)は明らかにピカソですね。まあイニシャルにされていることもあって、イメージだけでモデルというほどのことはないのかもしれないし、こうした史実があったわけでも別にない…のかな? くわしくなくてすみません。なので、特に誰が実は誰だとかはわからなくてもいいのでしょう。
 ただ、「…で?」と思ってしまいました。若者3人と大人ふたり。おそらくスペインで、ファシズムの台頭など政治体制がキナ臭くなってきていて、ユダヤ人迫害なんかもあるし、検閲も入るようになって…という状況が見えてくる中で、芸術家としてこだわりのある面々がぶつかり、ちょっとだけ立場というかものの見方が違うようでもある学者がなんとなく緩衝材になって、でも詩人の死が語られて終わる…ロルカは反戦詩人、というのは私がかつてとある少女漫画を読んで得た知識ですが、それがわかっていてもいなくても、舞台を観ていて、「…で?」としか思えませんでした。戦争が迫り来る中でも青年たちは元気、みたいなノスタルジーとかほほえましさとかを表そうとしていたんでもないと思うし、戦争が迫り来る中なのに芸術家ってのんきだね愚かだね、ってことでもなかったと思うのですが、じゃあ何を表現したかったの…? こんなに有望で人間味あふれる芸術家たちを弾圧するなんて戦争ってひどいね、とか…?? でも何がどうプライベートでジョークなの…??? ううーん、私には感じ取れませんでした…
 次回公演までしばらく間が空くようです。また機会があれば観てみたいとは思いますが、次は「おおお!」となれるといいなあ…全然解釈違いだったら、すみません。




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