駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『空中ブランコ』

2010年02月23日 | 観劇記/タイトルか行
 東京芸術劇場、2008年4月21日ソワレ。

 サーカス団のエース・山下公平(坂元健児)は空中ブランコで後輩キャッチャーの内田(今奈良孝行)と息が合わず、落下を繰り返して情緒不安定になっていた。妻・エリ(高橋由美子)の勧めで近所の伊良部総合病院を訪れると、御曹司で精神科医の伊良部一郎(宮迫博之)と看護士のマユミ(佐藤江梨子)に担当されるが…原作/奥田英朗、脚本/倉持裕、演出/川原雅彦。

 直木賞受賞作の原作を昔読んだはずですが、あまり覚えていません…
 テレビドラマ化もされたんですよね。そんなにものすごい素材とも正直思えないのですが、何故なんだろう、この人気は…

 初日が開いてすぐの舞台だったせいか、若干バタバタして見えましたが、心象風景が上手くサイケなミュージカルシーンになっていて、おもしろい舞台でした。

 なんと言っても主演の宮坂博之がいい。ちゃんと芝居にしていました。もともとがお笑い芸人さんで芸達者ではあろうと思っていましたが(テレビドラマでは俳優としても活躍しているし)、たとえばバラエティ番組のノリで、ほぼ素でなんとなく変人ぶる…というような作りにしてくるのかな、と思ってしまっていたのですが、失礼いたしました、おみそれしました、という感じ。ちゃんと役を作り、演技をしていました。そしてちゃんと伊良部っぽい。よかったです。

 サトエリちゃんの巨乳と美脚も堪能しました。こちらは芝居らしい芝居をするシーンが特にないので、演技としてどうなのかはよくわかりませんでしたが。

 ただ、お話としては、若干すっきりしなかったかなー。
 みんながみんな、何かしら問題を抱えていて、それこそが現代だ、という原作や演出のメッセージがあるとはいえ、観客がほぼゼロから観る場合には、基軸が欲しいというか、フラットなキャラクターがいてくれないとわかりづらい、話に入りづらい…というのはあると思います。しかもストーリーそのものも、問題がすべて解決するわけではない…という形なので、なおさらすっきり感には欠けるわけで…難しいものですね。

 他のキャラクターもやや多すぎ…という気もしました。芸達者の脇役を多数そろえて豪華なだけに、焦点がボケたかなー。とはいえもちろんほぼ主人公の坂元健児も大健闘しているわけなんですが。うーむむむ…
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