駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇月組『DRAGON NIGHT!!』

2015年09月25日 | 観劇記/タイトルた行
 シアタードラマシティ、2015年9月5日ソワレ。
 文京シビックホール、9月18日マチネ(初日)、22日ソワレ、23日ソワレ(千秋楽)。

 ドラマティック・ドリームと銘打たれた、龍真咲の魅力にさまざまな角度から迫る三部構成のコンサート。作・演出/藤井大介。

 まさおが本当に楽しそうで、そして本当に歌が上手くて、その芸風(?)がやや苦手に感じる人でも観れば一周回ってファンになる(オイ)、素晴らしいコンサートだったのではないかと思います。
 コンサートってこうあるべきですよね。充実期にある、個性と人間力にあふれたスターでないとできない。楽しかったです。

 ACT1はまさおドラゴンが「♪ドララ~」と召還されて、ロシア、イタリア、インド、ニューヨークと旅していく趣向。
 ロシアの歌姫(白雪さち花)のさちか様が素晴らしくて(貴婦人のお衣装はすべて、ダイスケ偏愛の舟形わっかドレスの前が開いて脚が見えるやつ)、ロシアの王子(美弥るりか)のみやちゃんが美しすぎて、謎の伯爵夫人(萌花ゆりあ)のまいまいが麗しすぎて…私の大好きなチャイコフスキー「白鳥の湖」の各国の姫君の踊りの音楽に乗せて、ドラゴンとの不思議な三角関係が展開されるのに見とれているうちにいつも終わってました…からんちゃんと真広くんの歌も素晴らしい。
 イタリエ・ベネチアではみなさん貴澄センパイの色気たっぷりの歌声にメロメロだったようでしたが、私はわりと大丈夫、踏みとどまれた。というかギリギリとかの方が好み。初日に18禁!というレポも上がったドラゴンとウンディーネ(珠城りょう)との絡みは私は不満…そもそも私は珠城さんに女役を求めていないし、やるならもっとウエスト絞って胸作ってほしかったし(胸はあるはずなのに! 女体にうるさいファンですみません)、変な位置にドレープが寄ってて邪魔にしかなっていないお衣装のボディを変えてほしかった。鬘とか素敵だったのにー! 振り付けはなんかヘンで私には擬似セックス(オイ)には見えませんでした。マット運動か幽体離脱かと思ったよ…最後にドラゴンを引っ張っていくとこだけがよかったわ、力強くて…あ、ゴンドリエ(千海華蘭)のからんちゃんのダンスは素晴らしかったです。
 インドは踊り子の珠城さんしか見てませんでした。ターバンに珍しくセンター分けのややラフな前髪、たまらん! まいまいとのカップルも美しい。ひとりでも手枷ぶっちぎれそうだったけどね、とかは言いません。
 ニューヨークはみやちゃんの「女々しくて」から始まる形。持ち歌でしたよね?というみやちゃんのノリノリの素敵さはすでに知られているだろうからいいとして、私は今回の珠城さんではNYの場面が一番好きかなー。黒と銀のスーツが似合う!
 ACT2のイカは…可愛かったからいいです。
 トークは珠城さんが出る回に三回当たったのですが、毎回ハラハラしましたよ…まさおザツだから…それも愛ある鍛え方なんだろうけれど。みやちゃんの話の回し方はさすがでしたよね。あと、まさおは娘役さんには甘かった模様。わかりやすい(笑)。
 ACT3のザッツ・タカラヅカなくだりがやはり楽しかったです。紫の変わり燕尾に白羽根扇で「ボンジュール・タカラヅカ」なんてクラシックすぎて素敵! ここの珠城さんには天海のユリちゃんの面影がちらつきました。そしてまさおは確かに「スター」が似合う!
 ラテン・メドレーは客席下りもあって場内ヒートアップしましたね。珠城会総見にまぜていただいたとき、上手通路をやってきて後方奥に会席があるのを見つけた珠城さんがビシッと指差し&ブンブンお手振りしてくれて、大盛り上がりでした。
 そしてみやたまでのミュージカル・スター、これもよかった! そこからのまさおの「ロシュフォールの恋人たち」、「蜘蛛女のキス」、『モーツァルト!』の「僕こそミュージック」三連発は素晴らしすぎました!
 そこからドラゴンローズという役名で薔薇バックプリントのTシャツ姿のメンバーたちが『ベルばら』ボレロを踊るのはなかなかにシュールでしたが…まさおの高島屋スーツがもはや普段着にしか見えないのでもういいです。こういう世界なのです。よかったです。
 アンコールが「I am what I am」というのも素晴らしい。『ラ・カージュ・オ・フォール』の有名な曲ですが、宝塚歌劇的には大地真央の持ち歌として有名ですよね。連綿と続く月組トップスターの伝統よ…! 感動的でした。

 そして千秋楽のスペシャル・アンコールは、トークゲストがなっちゃんのときに少し披露されたという『ベルばら』フィナーレの「小雨降る径」デュエダンでした!
 スタオベになってからのカーテンコール1度目は、メンバー全員が一列に並んでいるのに真ん中だけぽっかり空いていて、まさおの「あとは任せた」みたいな置き手紙が…みやたまが真面目に挨拶してシメ。まさかまさおが二階席に来てくれたりするのかしら?と思っていたら…
 2度目に緞帳が上がったときには舞台が赤い照明で照らされていて、下手にすっくと立った美脚なさちか様がスキャットし出して、階段に板ついている黒燕尾の男役仕様のなっちゃん(芸名は小雨ふぶき、らしい(笑))と、薔薇パンツにギンギラ甲羅、ワカメ鬘の亀まさおが真面目な顔してデュエダンを踊り出し…
 甲羅が邪魔でできない振りもあるし、いろいろ省エネなんだけど、全身全霊で本気で真面目な「小雨」がおもしろすぎました!
 最後は甲羅を脱いで鬘を取って、みんなを呼んでご挨拶。客席がまだまだとねだるので、小雨ふぶきにシメを頼むまさお…お腹痛くなるくらい笑いました。
 まさおのご挨拶がまた、ものすごく前向きで正しくていいこと言っていて、ものすごく感動しました。いい千秋楽でした。
 トップスターのキャラクターにもよりますが、コンサートも全組でできるといいですね。

 最後にしょっぱい話をふたつ。
 まず、客席下りについて。
 DCと違ってシビックには二階席があるのですから、東京公演からは手を入れてほしかったです。全然見えない。空っぽの舞台を眺めながらする手拍子のなんと虚しいことか。
 下級生何人かだけでも本舞台に残すとか、二階席後方からでもぎりぎり見える最前列に何人かいさせるとか、配慮してほしいです。
 まさおひとりが客席を練り歩くMCタイムは、せっかく装置があるんだから映像を出すとかさ。生のものが難しいならアリモノでも稽古場風景でもいいです。椅子とソファを片付ける下級生を出すだけでもいい。何か見せてくれ。
 客席下りは一階席だけのサービスだと割り切れ、というのは不当だと思います。二階席前方だってS席なんだし、多くの場合で観客は席を選んで買えません。自分が買った席が通路際かどうか、生徒の誰が近くに来るかは運で、来たらラッキー!だとしても、基本的には会場全体でハッピーに楽しめるように構成するべきです。
 大介先生は何度も何度も劇場で目撃されていたようですが、常に前方センターばかりで観ず、上手下手の端っこや二階席てっぺんからも観てみて、自分の作品がどう見えているのか客席にどう届いているのか、確認してほしいです。そして二階席の置いてけぼり感を味わってみればいい。というかそんなこと舞台稽古でやっておいてくれ、それが仕事だろう!
 ファン出身のくせして見切れ席を作るなんて、ファン時代にそんなに良席ばかりで観ていたんですか? ファンの気持ちが推し量れないなんて恥ずかしいことですよ? 劇団にお手紙も書きましたが(そろそろブラックリストに載るくらいかもしらん)、ここでも再度しつこく訴えておきます。
 それから、番手について。
 プログラムとパレードで、みやちゃんと珠城さんの並びが学年と逆転していますが、なんの意味があるんでしょうか? どういう意味を持たせたいんでしょうか? 不可解すぎて不愉快です。誰かが喜べば誰かが泣くものですが、今回のこれで喜んでいる人ははっきり言って誰もいないと思います。
 コンサートは基本的にはまさお・オンステージで、みやちゃん以下はすべて基本的にはアンサンブルと言っていい構成だったと思います。むしろ「女々しくて」を一曲丸々一場面もらっていたみやちゃんが二番手格だったと言えると思います。
 なのに何故、プログラムでは珠城さんの方が写真が上で挨拶するのは珠城さんの方があとなの? 珠城さんの方が番手が上だというならショー本体の出番や扱いを何故そうしないの? そういう構成になってないのに何故プログラムとパレードだけがこうなの? 意味がわかりません。
 シンメでやたらと上手にいるのは交互に置くのが基本なのだからまだいいとして、センターでクロスするときわざわざ前を通らせるとか、失礼だよ上級生に対して!と珠城さんファンですら普通に思いますよ。
 たとえば今後何かの発表があって今回はその布石なのだとしても、現時点ではまったく意味がないことなワケだし、こんな上げ方されても誰も嬉しくないです。珠城さんは各組三番手スターの中でも最も下級生なんですよ? そんな急ぐ必要どこにあるの? 何がしたいの? きちんと収拾つけられるんでしょうね?
 劇団のこういうところが本当に大嫌いです。劇団がこういう細かいところでいろいろ読み取らせようとすることは知っていますし、我々は残念ながら読み取る能力が鍛えられてしまっています。だからこそ読み取らせる内容が不可解で理不尽なのは許しがたい。生徒とファンを大事にしない劇団に呪いあれ。
 今後どんな展開が用意されていようと、だから今回こうだったんだなどとファンはおそらく納得しないでしょう。今後二度と似たことを繰り返さないよう、劇団には深く反省を求めます。これはお手紙とか書いていませんが、こんなところでだけ言っていても仕方ないからなんかしら考えます。
 愛を踏みにじるようなマネはホントやめて、お願いだから。実りある記念すべき110周年を明るく楽しく迎えるためにも…!





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