駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『私の恋人beyond』

2022年07月03日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 本多劇場、2022年7月1日19時。

 時は現代。フリーターの青年・井上ユウスケ(のん)が主治医の高橋陽平(小日向文世)のもとにやってくる。ユウスケは自分と「私の恋人」の記憶を日記形式で書いてきたという。その内容は、洞窟に閉じこもっていたクロマニヨン人だったころに空想の産物として「私の恋人」と出会い、1940年代にユダヤ人ハインリヒ・ケプラーとして生まれ変わったころにはより確かな存在となり、井上ユウスケとしての今生での出会いを望んでいるというものだった。高橋は単なる思い込みだと一刀両断するが…
 原案/上田岳弘『私の恋人』(新潮社)、作・演出/渡辺えり。2019年に『私の恋人』として上演された、メインキャスト3人が30役以上を演じる音楽劇の再演版。全1幕。

 余談ですが、下北沢駅が地下になって綺麗になってからだいぶ経ち、街もちょこちょこ変わって今回も新たな大きな商業施設みたいなのができていたのを見つけましたが、それにしても私は毎回本多劇場への道を迷うのでした。地図が読めることに自負があるのですが、毎回狙ったところに行かない。気がつくと周りを一周していて「ああ、ここに出たかったのに」というところにやっとたどり着く、みたいなことを繰り返しています。なんなんだあの街、あの通りは。もっとまっすぐしていてくれ!(八つ当たり)それもあって実はあまり好きな劇場ではなく、かかっている芝居はそこそこおもしろそうだとは思うのですがちょっと敬遠しがちなのでした。なので今回も久々に行き、そしてやはり迷ってからたどり着き、帰りも駅へ一発ではたどり着かなかったのでした(マルシェの閉店、早すぎだろう…)。そして芝居も今イチだったのでますます足が遠のくわ、という愚痴からのスタートですすみません…
 3○○の芝居を初めて見た気がしますが、これがそのテイストなんでしょうね。プログラムなんかでもそんなようなことが語られているので、イメージはわかります。「映像ではできない、リアリズムではできない世界」…原作小説は未読ですが、舞台を観ていればやりたいこと、やろうとしていることは見えた気がしました。芝居の原点っぽいよな、とも思いました。でもそれがそのまま舞台にあってそのイマジネーションをそのまま受け取れた、わけでは私はなかった…あまりに手作り感にあふれすぎているというか、洗練されていなさすぎていたというか…そして、なんかよくわからなかった、おもしろく思えませんでした。結局「恋人」ってなんだったの?みたいな。10万年の時空を越えて追いかけ続ける運命って、人類の行き止まりって、何…?
 渡辺えりって歌が上手いんだなあ、ミュージカル女優もやればいいのに、とか、それに比べてのんの舞台女優スキルは低すぎないか、この初演が初舞台だったそうだけれどそこからなんのレッスンもしていないんだろうか、この立ち方発声身のこなしでは役として役者が板に立てるレベルではないのではなかろうか、周りのアンサンブルの達者さを見ろよ…とかとか、ついつい考えながら観てしまいました。だって演技で猫背をしてるんじゃないじゃん、そんなの見てればすぐわかりますよ。華はあるんだけどなあ、なんだかなあ…
 プログラムは読み応えがあるもので、強い意識を持って演劇をしているんだな、というのは伝わったのですが…次回公演のセレクトといい…でもなあ…うぅーむ。もうちょっと観てみないと判断できないのかもしれません。



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