駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇宙組『カサブランカ』その3

2010年03月02日 | 観劇記/タイトルか行
 それからすると第2幕の立ち上がりはずっと心が穏やかです。何しろしばらくリックさんが登場しませんから!
 このあたりでの個人的ポイントはカッセル(澄輝さやと)の
「お会いできません」
「確約できません」
 という堅い声が何故かツボ、という困ったところですから(^^;)。

 第3場、ブルー・パロットでのフェラーリとの会話ですが、
「午前中は飲まない」
 と言っているんだから、中身はむしろノンアルコールさ、という切り替えしであるべきなのでは?

 ラズロとばったり会うと、フェラーリの居場所を伝える親切さを発揮するふりして、目は合わせないわきちんと挨拶しないわ、の幼くお行儀の悪いリックに萌え。

 バザールでイルザに会うと、
「俺は君のチケット一枚分無駄にしたんだから、聞かせてくれてもいいだろう?」
 とセコい取引を持ちかけるリックに萌え。どこまでもいじましく情けなくダメな男であることが否定できないところがヨイのですよね、このリックさんは。

 第4場のカフェの捜索シーンは、ミュージカルではよくあるくだりですが、私はどうもテレてしまっていつも正視できないでいました…サムの
「どしたの?」
 のあととか、間に耐えられなくて…
 でもとりあえず、マタドールふうにテーブルクロスを三人して振り回すシーン、何故エミールだけがそろわないのかはつっこんでおきたいです。

 続く第5場はルノーのおめかしが見所で、前楽なんかは鏡を見ながらくるりと回って見せたり、いろいろおかしかったのですが、それでもリックがくさくさした感じで店を出てくるとさっと場をさらう気がするのは私だけでしょうか(^^;)。

 第7場、エミールに目配せしてヤン(凪七瑠海)を勝たせてやるシーン。エミールとしてもボスにいいところを見せる、前夜2万フラン負けた挽回をはかるいいチャンスですよね。
 「従業員の慰安」に遅れて参加し、サッシャの無法に驚くエミールも萌え。

 第8場、オフィスでのラズロとの会話。
 私は最初の頃は、ここでのラズロは、わー嫌なヤツだなーと思ったものでした。
 なんか、自分の信念に自信を持っているのはいいんだけれど、周りのみんなが自分に協力するのが当然だと思いこんでいる押しつけがましさが、気に障ったのです。
 でもおそらくそういう部分がラズロには少しはあったんじゃないのかなー。
 ただここでは、むしろラズロは本当にいいことを言って、だからこそリックはより意固地になり、取り引きはしないと言い放つのでしょう。それから考えると、やや中途半端な演出になっているのかな?

 第9場の国歌対決のシーンは、とても感動的になっていますが、それでも私は胸の底でちらりと思っていることがありまして…
 それは、シュトラッサーたちが歌っているのはむしろ郷土愛の民謡ですが、フランス国歌は明らかに軍歌であり、戦闘の勝利を歌ったものであることです。
 そういう意味ではどっちもどっちなのかもしれない。陸続きの狭いヨーロッパ大陸の中で、勝手に小競り合いを繰り広げていれば?とアメリカ人のリックがちょっと醒めた目で見てしまったとしても、仕方ないと思うんですよね…それは島国で隣接する他国と大きな戦争をしたことがない日本人である私もしかりです。
 でも、開いたシャンパンを機嫌よく受け取るリックさんですけれどね。
 ちなみにここでサッシャがあけたシャンパンは、注文が入ったものではないと思うのだけれど(^^;)、あとでお給料から引いてくださいとリックに申告したのかしらん。そしてリックはいいよと言ってあげたのかしらん…もちろんルノーはちゃっかりお相伴に預かっていましたね。シャンパンに目がないんだよね。そういえば前楽で初めて、シュトラッサーから伝票を預けられたハインツが会計に目をむいている芝居に気づいたのですが(^^;)、ルノーがいいシャンパンばかり開けて集っていましたものね…

 第10場のシュトラッサーの「栄光のドイツ」の素敵さは筆舌に尽くしがたい。振りを覚えて後ろでやりたいくらいです(^^)。

 続いて銀橋でのイルザとラズロの会話。
 ラズロはイルザに対しての一人称が一定していませんが、どうなのかな…全部「僕」でもいいと思うけどな…「~たまえ」式の語尾にはそそられるんですけれどね。
 ここでのラズロには、それでも嫉妬の影は見受けられるし、その方がいいと思います。

 イルザは集会には参加しません。
 そういう意味ではレジスタンス活動に積極的には参加していないことになるのかもしれない。
 けれど、運動の先頭を突っ走るラズロをずっと家で待ち、影で支えてきたのでしょう。それはとても大事なことで、イルザはそういう形で運動に参加してきたのであり、ラズロも彼女を必要としてきたのだと思います。
 そういう重みが、このくだりからはきちんと感じられます。だからこそ、イルザがなにがしかの決意を持ってリックの元に引き返したことは観客には十分伝わります。

 というわけで、問題の第12場ですが…
 私は肝心のこのシーンに、違和感を感じてしまっているのです。

(続く)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宝塚歌劇宙組『カサブランカ... | トップ | 宝塚歌劇宙組『カサブランカ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

観劇記/タイトルか行」カテゴリの最新記事