2003年、イ・ジェヨン監督。ペ・ヨンジュン、イ・ミスク、チョン・ドヨン。
ラクロ『危険な関係』を18世紀李氏朝鮮に移したもので、ペ・ヨンジュンの初主演映画として当時話題になったものでした。『冬ソナ』で優しげだった笑顔がこの映画では好色に見えるんだから、たいしたものです。
宝塚歌劇でいうところの『仮面のロマネスク』ですが、原作とはちょいちょい違っていて、ペ・ヨンジュン演じるチョ・ウォンがヴァルモンにあたりイ・ミスク演じるチョ夫人がメルトゥイユなわけですが、ふたりはいとこ同士となっています。チョ・ウォンは独身ですが妻を亡くしたことになっていて、チョ夫人は未亡人ではなく夫がいます。その夫にセシルにあたるソオク(イ・ソヨン)が側室として嫁いでくるので、夫の鼻をあかすためにソオクの処女を奪ってやってくれ、とチョ夫人がチョ・ウォンに持ちかけるところからお話は始まります。そのころチョ・ウォンはチョン・ドヨン演じるチョン・ヒヨンに夢中で、これがトゥールベルになります。ただし未亡人で、しかも婚礼前夜に夫が亡くなったので処女、という設定です。ダンスニーにあたるのがチョ・ヒョンジェ演じるイノですね。
私は『危険な関係』の翻案ではさいとうちほの漫画『子爵ヴァルモン』も大好きなんですが、総じて『仮面のロマネスク』というのはかなり大胆に翻案して宝塚歌劇化しているよな、と改めて感心します。ヴァルモンがトゥールベルに本気になってしまい、メルトゥイユは結果的にフラれて終わるのが原作のミソだと思うのですが、そこを両想いにしてトップコンビに演じさせるわけですからね。
しかしイ・ミスクはラストシーンの化粧っ気のない顔が一番美人に見える…あとはやはり年増に見えて、そもそもヒロインではないように見えるのが残念です。といってヒヨンがヒロインに見えるかというとこれまた微妙なキャラクターなわけで、といってではチョ・ウォンが主人公でヒーローかというともちろんそれも苦しいわけで…
でも、その死に方といい、チョ夫人のラストといい、エンドロールのラストはソオクがより若い側室を迎えて終わっているところといい、欺瞞にあふれた貴族社会の中で愛と自由を求めて足掻き、敗れた者たちを悲しく美しく描く…といった映画として、よくできてはいるのかなと思います。そういう意味ではやはり原作の強さをも痛感しますね。
セットやお衣装、小道具などにもきちんとお金がかかって見える、良き一本です。
ラクロ『危険な関係』を18世紀李氏朝鮮に移したもので、ペ・ヨンジュンの初主演映画として当時話題になったものでした。『冬ソナ』で優しげだった笑顔がこの映画では好色に見えるんだから、たいしたものです。
宝塚歌劇でいうところの『仮面のロマネスク』ですが、原作とはちょいちょい違っていて、ペ・ヨンジュン演じるチョ・ウォンがヴァルモンにあたりイ・ミスク演じるチョ夫人がメルトゥイユなわけですが、ふたりはいとこ同士となっています。チョ・ウォンは独身ですが妻を亡くしたことになっていて、チョ夫人は未亡人ではなく夫がいます。その夫にセシルにあたるソオク(イ・ソヨン)が側室として嫁いでくるので、夫の鼻をあかすためにソオクの処女を奪ってやってくれ、とチョ夫人がチョ・ウォンに持ちかけるところからお話は始まります。そのころチョ・ウォンはチョン・ドヨン演じるチョン・ヒヨンに夢中で、これがトゥールベルになります。ただし未亡人で、しかも婚礼前夜に夫が亡くなったので処女、という設定です。ダンスニーにあたるのがチョ・ヒョンジェ演じるイノですね。
私は『危険な関係』の翻案ではさいとうちほの漫画『子爵ヴァルモン』も大好きなんですが、総じて『仮面のロマネスク』というのはかなり大胆に翻案して宝塚歌劇化しているよな、と改めて感心します。ヴァルモンがトゥールベルに本気になってしまい、メルトゥイユは結果的にフラれて終わるのが原作のミソだと思うのですが、そこを両想いにしてトップコンビに演じさせるわけですからね。
しかしイ・ミスクはラストシーンの化粧っ気のない顔が一番美人に見える…あとはやはり年増に見えて、そもそもヒロインではないように見えるのが残念です。といってヒヨンがヒロインに見えるかというとこれまた微妙なキャラクターなわけで、といってではチョ・ウォンが主人公でヒーローかというともちろんそれも苦しいわけで…
でも、その死に方といい、チョ夫人のラストといい、エンドロールのラストはソオクがより若い側室を迎えて終わっているところといい、欺瞞にあふれた貴族社会の中で愛と自由を求めて足掻き、敗れた者たちを悲しく美しく描く…といった映画として、よくできてはいるのかなと思います。そういう意味ではやはり原作の強さをも痛感しますね。
セットやお衣装、小道具などにもきちんとお金がかかって見える、良き一本です。