『Ｌａ Ｍｕｓｉｑｕｅ Ｄｅ Ｐａｒｉｓ １９３０-１９７０』

　イイノホール、２０２１年７月３１日１３時。

　かつて世界のポピュラー音楽の中心地だったパリは、シャンソンのみならず、ラテン、タンゴ、さらにはジプシー音楽までパリふうに演奏、歌唱、さらに新しく登場したフレンチジャズまで、あらゆる国々の音楽を巨大な胃袋のように消化し作り変えてきた。その歴史をプロジェクターに映し出されるパリの情景とともに綴る舞台。
　企画・構成・演出／高橋正人、音楽監督／小泉たかし。全２幕。

　３日間５公演の上演で、私はマミちゃんを座長に大空さん、えりたん、おっちょんにケイさん、由美かおるにシャンソン歌手の嵯峨美子、アンサンブルでみっしょんと真波そらと千葉さなえ（涼瀬みうと）の回を観ました。ときどきこの会場でＯＧメインの座組で催される謎企画ライブのひとつ、と解釈しています。ライブ、ショーとして映像とかもっとちゃんと仕込めばいいのに、スタッフ仕事しろよ…とは思いましたが、ファンはチョロくて席を埋めてしまうのだろうし、歌と歌手の力はさすができっちり堪能させてくれたので、まあ満足です。てか泣いたよね大空さんの歌に…
　マミちゃんは１幕は青のキラキラのドレス、２幕はピンクのトップスとパンツと肩ファーで華やかに見せてくれました。現役時代から別に歌手だと思ったことはないし今でも謎音程の人だと思うんですけれど、そこが味わい深い、いいスターさんですよね。ＭＣもとてもよかったです。えりたんも初舞台が月組で、ケイさんも専科として『グランドホテル』始め月組に特出したことがあったので（珠城さん主演のじゃなくてカナメさんのときのことです。大空さん初組子で陰コのみで出演はしなかったやつ）、月組ラインな感じなのもよかったです。でも前日はずんこがいたし、このメンツは花組ラインでもあるよね。思い出話になるとキャッキャしてて可愛かったし、それを嵯峨さんがほのぼのと「みんなおっきくて…それにさらにすごく高いヒールを履くし…」と微笑んで語っていたのがめっちゃおもしろかったです。
　大空さんは１幕は二の腕が覗けるデザインの白ブラウスに黒パンツで、髪が肩くらいの長さのソバージュっぽくなっていて、なんか辞めたての男役ＯＧみたいでした。２幕は幾何学模様（のちに上がった写真を見たら鱗か花びらみたいな柄でした）のグレーのシンプルなラインのドレスに首を覆うフェイクパールみたいなネックレス。えりたんは１幕はブルーのすとんとしたドレスで、２幕は赤トップスに黒ガウチョみたいな感じ。いずれも華やかで被らず、お似合いで、素敵でした。
　アフター・パンフレットの予約しかやっていなくて終演後のセトリ掲出もなかったので記憶がおぼろなんですけど、有名なシャンソンも多く宝塚歌劇のショーで聴いたことある！という曲も多く、さらにあのライブで聴いたあのときのコンサートで歌った…みたいな曲もたくさんあって、楽しかったです。さらに１幕後半は宝塚のシャンソンというコーナーで、宝塚オリジナルの「夜霧のモンマルトル」をおっちょんが歌い、マミちゃんが「ジュテーム」を歌い大空さんが「メモアール・ド・パリ」を歌うという、普通なかなかナイよね！？という選曲にもときめきました。
　大空さんの２幕の「スカーフ」そして「我が麗しき恋物語」（こんなタイトルだったかな…？　でもクミコのはこうなってる）は一編の映画か小説のようで、私はこんなふうに愛した人を亡くした経験はないのだけれど、なんかもうボロボロ泣いちゃいましたよね…言い方アレだけど外国の歌手のようだとも思いました。この間まで博多の佐世保でジャズだったのに…（笑）私はもともと大空さんの声も歌声もとても好きなんですけれど、こういう曲に本当に美しくハマりますよね。シャンソンは歳を重ねるごとに深く歌えるようになるとも聞くし、長く歌っていってくれたら嬉しいです。
　趣味？でアコーディオンをやっているらしい由美かおるの弾き語り、フランス語の「パリの空の下」もとてもよかったです。
　ラストはノンちゃんお披露目の『ＣＡＮ-ＣＡＮ』より「Ｉ　Ｌｏｖｅ　Ｐａｒｉｓ」だったんですけど、役が少ないから別箱でいいけど再演してほしいよ権利買ってきてよ劇団！と思いましたねー。珠城さんフォレスティエにさくさくピスタッシュとか、ニンだったと思う！　今なられいまどやゆりかのでも。このくらいの時期の作品の再演が続いているので、ぜひ！
　もうすっかりタンゴダンサーさんなのかと思っていたみっしょんの歌が聴けたのも嬉しかったし、バリバリ踊る真波そらがやっぱり素敵だったのも楽しかったです。実は１回目のワクチン接種の２４時間後の観劇になってしまったのですが、特に大きな副反応もなく、優雅に過ごせてよかったです。