映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

フォロー・ミー(1972年)

2022-05-03 | 【ふ】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv7718/


以下、TUTAYAの紹介ページよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 会計士のチャールズは、妻のベリンダの行動に疑問を抱いていた。彼は私立探偵のクリストフォローに、妻の行動を探るように依頼する。ベリンダはただ単に、日常の倦怠を散歩によって紛らわせていただけだったのだが、クリストフォローの尾行に気づいて以来、次第に探偵自身に好意を抱いていく……。

=====ここまで。 

 
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 本作は、長らくレンタルできない状態(TSUTAYAだけかもだが)で(DVD化されたのも遅かったみたい?)、かと言って、DVDを購入するほどでもなく、今頃になってようやく見ました。

 ミア・ファローというだけで、何となくサスペンスっぽいのかと勝手に思っていたけど、全然違いました、ハハハ。


◆怖くないストーカー?

 会計士でそこそこ裕福そうなチャールズは長らく独身貴族(死語?)であったけれど、ミア・ファロー演ずるヒッピーのベリンダに出会って人生観が一転、家族の反対も顧みずに結婚する。

 けれども、結婚したら水と油の二人は合うはずもなく、あっという間に隙間風、、、。

 と、ここまでは割とありがちな話なんだが、探偵を名乗るクリストフォローが現れてから、急に雰囲気が変わる。

 このクリストフォローをトポルが演じているのだけれども、今回初めて知ったトポル。彼の一見人を喰った様な演技が、お堅いチャールズと好対照で実に良い。登場の仕方もユニーク。全身白ずくめの衣装も、却って目立つ探偵とは思えぬいで立ちで笑える。

 ベリンダは、クリストフォローにつけられていることを気付いた当初から彼のことを「なぜか怖くなかった」と言っていたけど、私がベリンダだったら、やっぱしかなり不気味に感じたと思うなぁ。悪そうな人には見えないけど、だから余計に、ちょっと頭のネジの外れちゃった人なんじゃないか、とか。

 ……というか、書いていて思い出した!

 新卒で入社するに当たり、会社の用意したマンションに引っ越すことになり、会社指定の入居日に新居へ向かう途中の電車の中で(平日の昼間だったから空いていた)、20代後半くらいの悪そうには全然見えないお兄さんにニコニコ笑い掛けられ、無視していたら私の隣に座って来たのだよね。こっちを見ながら、やはりニコニコ笑ってくる。無視し続けていたけど、ベリンダと一緒で怖さは感じなかったし、いきなり席を変わるのも憚られて、しばらくそのままでいたら、「今何時か分かります?」と聞いて来た。

 何時だったか覚えていないけど、腕時計を見て「〇時〇分ですけど、これ2分進んでるんで」と無愛想に答えたら「え、何で2分進めてるの? 人より2分先を生きる主義とか?」等と、あんまりにも突飛なことを言うので思わず、プッと笑ってしまったら、お兄さんは私が気を許したと思ったのか、やたら話し掛けて来た。「電話番号教えて」「まだ電話引いてないから」、「じゃあ、住所教えて」「新住所なんか覚えてない」、、、みたいな会話が続いた。

 電車は空いているとはいえ、都内だから人はそれなりにいるので怖さは感じなかったけど、ウザくなってきた。時間を聞かれてから5分くらいだったと思うが、やっと降りる駅に着いたので「じゃ、さいなら~」と降りようとしたら、そのお兄さんも一緒に降りて来たのだ! これでさすがに怖いと感じた私。安易に新居の最寄り駅で降りたことを後悔した。

 お兄さんは何か話し掛けながら駅の改札を出て着いてくる。さすがにこのまま新居に行くのはマズいと、いくらアホな私でも分かったので、駅前のコンビニに入った。お兄さんはコンビニの外でしばらく待っていた。このまま待ち続けられたら「交番へ行こう」と考えていたら、私が警戒しているのを悟ったのか、お兄さんはようやく姿を消してくれた。10分くらいだったと思うけど、えらく長く感じた。コンビニを出てからも、しばらく付けられていないか、後ろを気にしぃしぃ、新居まで歩いたのを覚えている。

 これで済んだから良かったけど、あそこで粘られていたらもっとメンドクサいことになっていたんだろうなぁ。

 という具合に、悪そうじゃないだけに「この人ちょっとネジ外れてる……??」と思って気味悪く感じたのだよね。だから、ベリンダが簡単にクリストフォローに尾行を許してしまうのが、ちょっとなぁ、、、と思ってしまった。リアルだったら、やっぱし警戒すると思うよ、あれは。

 まあでも、これは映画だからね。それに、確かにトポルの持つ雰囲気はコミカルで、人に警戒心を抱かせないオーラがある。顔もファニーフェイスというか。赤ら顔っぽくて、いつもちょっと笑っているみたいな感じ。ヴェネチアに行ったときに出会ったサラミ臭ぷんぷんのオジサンに似ていて懐かしく見ていた。

 このクリストフォローのキャラが実に面白くてユニークで、本作を素晴らしい映画にしているのだ。


◆夫婦になったら恋人ではなくなる、、、のか。

 ベリンダは、夫婦になった途端、チャールズが夫の役割を演じるようになり、自分には妻の振る舞いを求めて来て、結婚式を境に、実に無機質な関係になってしまって息苦しくなっていたのだね。

 そこへ、とにかく自分のことを見つめ続けて、自分のやることなすこと受け入れてくれるクリストフォローが現れたというわけだ。

 考えてみれば、それで心に潤いを感じる、、、ってのもちょっと変だと思うが、精神的に弱っているときというのは思いがけないハプニングが救いになることはあると思う。また、クリストフォロー自身も、最初はお仕事だったのが、だんだんベリンダの孤独を理解するようになり、お仕事を超えて“癒しのストーカー”に自らなっていくのだよね。

 2人が一切会話を交わさない、というのがミソだと思う。もし、2人があれこれ喋っていたら全然違う展開になっていただろう。

 ベリンダの浮気(?)相手がクリストフォローその人だと知ったチャールズが憤ってクリストフォロー宅に殴り込みに行くシーンが可笑しい。ベリンダもやって来て、クリストフォローを見ると、チャールズに「この人よ!」と言うときのミア・ファローの顔が可愛い。ただでさえ大きな目が、それこそ眼球がこぼれ落ちそうなくらい、驚いて見開かれる。

 クリストフォローが探偵で、しかもチャールズが雇ったと知ったベリンダは怒って、チャールズとも破局か、、、と思われるが、ここでもクリストフォローが良い動きをする。

 結末はハッピーエンディングなんだけど、チャールズにクリストフォロー同様ストーカーをさせる、、、ってのが微笑ましいというか。クリストフォローが一生懸命チャールズを説得するシーンが、割と感動する。ちょっと涙が出ちゃいました。

 ベリンダは、夫婦になっても恋人同士みたいにしていたい!って言うわけだけど、これを、男と女の結婚観の相違、みたいに捉えているネット上の感想を見た。まあ、ありがちな受け止め方だと思うけど、念のため、野暮は承知で、一応それは違うと言っておこう。男と女の相違ではなく、個人の価値観の相違です。

 男でも恋人時代の延長をしたいと言う人もいる。女でも、結婚前から落ち着いちゃっている人もいる。

 結婚は日々の生活だからね、、、。ベリンダも、そのうち分かるでしょう。そして、彼女自身、恋人同士みたいなやりとりが面倒臭いと感じる日が必ず来るでしょう。結婚生活の真価が問われるのは、それからだと思うね。

 本作は、そんな辛辣なリアリティなど棚に上げたラブコメなのだから、これはこれで良いのです。後味の良い逸品でした。

 

 

 

 

 

 

 

 


ベリンダが見ていたホラー映画を見たい。

 

 

 

 

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4 コメント

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尾行! (松たけ子)
2022-05-03 21:23:58
すねこすりさん、こんばんは!
なかなかの佳作みたいですね!巨匠キャロル・リード監督の遺作なので以前から観たいと思ってたのだけど、レンタルできるようになったんですね!私もさっそっく観たいと思います(^^♪お話もチャーミングそうだし、当時のロンドンの様子とかファッションにも興味があります。
ミア・ファローといえば、真っ先にローズマリーの赤ちゃんを思い出してしまいます。ナイル殺人事件では宮崎あおいに似て見えました。ニューロティックなイメージだけど、可愛い役すれば可愛い女優さんですよね。
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Unknown (すねこすり)
2022-05-04 08:25:33
たけ子さん、こんにちは!
連休、いかがお過ごしでしょうか?
キャロル・リード監督作品は、第三の男くらいしか見ていないのですが、良作が多い監督というイメージです。
この映画は長らく簡単には見られない状況だったので気軽にレンタル出来るようになったのはありがたいです。
ミア・ファロー、私もローズマリーの印象が一番強いのですが、本作は見てみたら可愛いラブコメでした。
ミアの衣装がすんごい独特で、それが似合っているのがまた良かった。
ミステリアスもコケティッシュも、どっちもイケる不思議な女優さんですよね。
あ、中森明菜のTVオンエア、私も録画して見ました! 大好きなんですよ。ホント、不世出の歌姫です。
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GW終盤! (フキン)
2022-05-05 12:08:42
すねこすりさん、ここのところの連続レビューアップ
嬉しく拝見してます🎵
松さんもすねこすりさんも明菜ファンだったとは意外!!
学生時代、隣の席にマッチの追っかけ?(親衛隊?)みたいな子がいて、毎日毎日明菜をこき下ろすの聞いてたので私はなんかイメージが・・・・。苦笑
彼氏の部屋に明菜の「スローモーション」の大きなポスターが貼ってあって、私が悪魔のような顔をしてそれを破ったことで険悪な感じになったのを思い出しました・・ははは。
伝説のコンサート、次はだれの放送してくれんのでしょうね!??(^.^)
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Unknown (すねこすり)
2022-05-05 22:19:43
フキンさん、こんばんは☆
え、彼氏の部屋のポスター破っちゃったんですか?
険悪で済んだなんて、彼氏さん寛大です。
明菜ちゃんは、ツッパリ系で売り出していましたからね。
私はデビュー当時から雰囲気が好きでした(もちろん歌も)。全然ツッパリなんかに見えなかったし。
母親も明菜大嫌いで、私が好きなのを知っていてTVで明菜が出ていると「この子、嫌いっ!」と私に向けて言ったり、見ている私の目を手で覆いに来たりと、我が親ながら軽蔑していました(-_-;)
トップ10(懐かし)で、明菜が登場したら観客席からマッチの親衛隊による帰れコールが上がった事件もありましたねぇ。
司会の和田アキ子が一喝していて、和田アキ子、やるなぁ~、と感心したのを覚えています。
明菜ちゃんもあれだけの才能と容姿に恵まれながら、男を見る目がなかったんですな。こればっかりはどうしようもありません。
あんなチンケな、、、いえ、これ以上は言いますまい。
伝説のコンサート、玉置さんのやってくれるといいですね♪
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