まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

女王さま狂想曲

2018-12-10 | 北米映画 15~
 「ボヘミアン・ラプソディ」
 70年代のロンドン。インド系の青年フレディは、ファンだったバンドのメンバーであるブライアンとロジャーに売り込み、ヴォーカルとして仲間に加わり“クイーン”を結成する。フレディの類まれなる歌声と独創的な楽曲で、クイーンは瞬く間に人気ロックグル-プとなるが…
 クイーンにはそんなに興味があるわけではなかったので、当初は鑑賞予定に入ってなかったのですが、アメリカのみならず日本でも大ヒットしている今、映画ファンとしてはやはり押さえておかねばならぬと思い、観に行ってまいりました(^^♪レイトショー、しかも公開から結構日が経ってるにもかかわらず、席はほとんど埋まっていました。やっぱ人気なんですね~。初日なのにガラガラだった山崎賢人の「羊と鋼の森」との違いに苦笑いで、どうだったかと言うと。評判通り、すごく面白かったです!クイーンのファンじゃなくても、いや、返ってクイーンのことをよく知らない、ヘンな思い入れやこだわりがない非ファンのほうが、あーじゃないこーじゃないと文句や不満なく観ることができて楽しめるかも。私もクイーンのCDが欲しくなりました。クイーン教布教、洗脳映画としては、かなり成功してるのではないでしょうか。

 クイーンのファンじゃなくても、その楽曲は絶対耳にしたことがありますよね~。日本でもCMやTVドラマで使われ、馴染みぶかいものばかり。あの有名なママ~ウウウウ~♪もクイーンの曲だったことを(これがボヘミアン・ラプソディですよね?)、この映画で初めて知った私ですそのボヘミアン・ラプソディが引き起こしたスッタモンダを始め、ロックユーやチャンピオン、ボーン・トゥ・ラブ・ユーなど代表曲が誕生するエピソードが、愉快に描かれていました。曲だけでなく、パフォーマンス(フレディの歌い方とか衣装)も奇抜で強烈なのもクイーンの魅力でしょうか。クイーンってかなりイロモノ、キワモノバンドだな~とも思ったが。ラストの大観衆の前でのチャリティーライヴ再現シーンは、圧巻の完コピパフォーマンス。魂が震える、と言ってはオーバーだけど、かなり圧倒的で感動的です。すべてはこのライブシーンのための前座とさえ思えるほど。

 この映画、かなりクイーンの音楽に助けられてると言えるでしょう。要所要所で効果的に活用されてる楽曲やパフォーマンスのおかげで、目にも耳にも楽しいミュージックフィルムにはなってるのですが、肝心のドラマはかなりフツーなんですよ。ぶっちゃけ、NHKのドラマみたいな無難さで、子どもが観てもOKな内容になってたのが物足りませんでした。フレディの短い人生って、もっと破天荒で破滅的なのかと思ってました。フレディの同性愛に対する苦悩や耽溺も、リアルで過激な描写は避けてサラリと触れてる程度。同性愛シーンもほとんどありません。フレディと他メンバーとの関係もそうですが、真実を描くよりも都合よく脚色された当たり障りのない美談、ありきたりなサクセスストーリー、誰にとっても不利益にならない忖度映画になってたのが、かなり残念でした。フレディの放埓な性生活はもっと常軌を逸していたはずだし、メンバーとの葛藤や対立も、もっと醜いものだったでしょうし。

 ゲイであることを公にしているブライアン・シンガー監督は、この映画の完成間近になって途中降板したそうですが。ゲイ描写をめぐって、リスクは避けたい出演者や製作者側とトラブったのかな?と推察もできますが、真相は謎のままのようです。
 フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックが、入魂の大熱演!実際のフレディには全然似てないのですが、どんどんフレディに見えてくる、こっちがフレディと錯覚してしまうほどの一世一代のパフォーマンスに驚嘆、感嘆。特殊メイクで姿形を変え、声や口調も似せた実在の人物のモノマネ演技って苦手なのですが、ラミのなりきり演技はそれに当てはまらない魅惑の名演でした。小柄だけど、ほとばしるエネルギー、みなぎるパワーに圧倒されました。特に熱唱シーンは、口パクなんだろうけど動きとか表情とかが神がかり的で惹きこまれます。ゴールデングローブ賞に続いて、オスカーにもノミネートされてほしい!フレディってこんなに出っ歯だったの?と笑えるほど、ただでさえ独特な顔のラミを付け歯がさらに強烈、かつ愛嬌ある御面相にしてます。偶然なのですが、この映画を観て家に戻った深夜に、TVで放送してた「ナイト・ミュージアム2」にもラミが出ていてビツクリ!インド系同様、エジプト系も濃ゆいですね~。

 ちなみにフレディ役は当初、サシャ・バロン・コーエンが演じる予定だったとか。いろいろあってサシャは降板、次はベン・ウィショー!に白羽の矢が立ったそうですが、ベンもいろいろあって断念し、最終的にはラミにおはちが回って来たそうです。ベン子さんのフレディ、見たかったかも!ベン子なら、リアルにゲイゲイしいフレディになってたことでしょうね。
 お涙ちょうだいではなく、だいたいはユーモラスな笑えるシーンやエピソードばかりで構築されてたのが、ワタシ的には良かったです。特に印象的だったのは後半にある、クイーンの記者会見シーン。そこでフレディに向けられる容赦のない意地悪で悪意に満ちた質問と、それに対するフレディの受け応えが笑えました。あんな記者会見、日本ではありえんわ~。あんな風に非情なまでに核心に迫る質問、カープを退団した丸にぶつけてみたい!それはそうと。誰がどこから見てもゲイなフレディなので、それを否認したり隠したり悩んだりする姿が、もうみんな気づいてるのに独りで何イジイジしてんのと滑稽でした。フレディ、あと少し遅く生まれてたら、堂々とゲイライフを満喫できたのにね。フレディは短い生涯でしたが、ぜんぜん不幸とも悲劇的とも思いません。むしろ、才能にも栄光にも人間関係にも恵まれ、みじめに落ちぶれた老醜も避けられた、とっても幸せな人だと、私の目には映りました。あと、60~80年代のファッションも素敵でした。ぜんぜん古めかしくなく、むしろ斬新で今よりオシャレ!
 
 
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クズでもゲスでも

2018-12-07 | 日本映画
 師走の邦画イケメン祭②
 「彼女がその名を知らない鳥たち」
 冴えない中年男の陣治と同棲中の十和子は、不潔で下品な陣治を嫌い蔑みながらも、彼に依存した自堕落な日々を送っていた。数年前に別れた黒崎を忘れられない十和子は、黒崎に似た水島という男との情事に溺れる。そんな中、黒崎が失踪していることを知った十和子は、自分に執着する陣治がそれに関わっているのではないかと疑い始めるが…

 同じ白石和彌監督の「孤狼の血」にも出演していた松坂桃李と竹野内豊が、最低のゲス男役を演じているということで、劇場公開当時すごく気になっていた作品なのですが、主演の蒼井優と阿部サザヲが苦手なので、結局スルーしてしまいました。wowowowで放送されたので、観てみました。トーリも竹野内も、いろんな意味で「孤狼の血」以上に好演してました。二人とも期待してた以上にゲスで笑えたわ。悪人よりもタチが悪い、下劣で卑怯でセコいゲス&クズ野郎ども、なんだけど、いい男!バカ女が騙されて溺れるのも理解できます。私も彼らみたいなゲスクズに引っかかってみたいけど、十和子ほどバカにもドMにもなれないので、良いカモにはなれそうにありません

 水島役のトーリは、表面的には優しくナイーブで真面目な青年、実は中身カラッポな嘘つきヤリチンを、ねっとりしつつ軽やかに演じてました。トーリは声がエロいですよね~。低く甘い声での愛の囁き、あれはジュンときますわ。「娼年」ほどではないけど、濡れ場も頑張ってました。舌使いがヤらしいディープキスが特に印象的でした。でも声や雰囲気と違い、ガリガリな裸には色気がない。トーリはもうちょっと年とって、脂ののった肉がつけば日本屈指の濡れ場王になれる可能性ありかも。

 黒崎役の竹野内豊も、これまでのイメージを破壊する非道いクズ野郎っぷりです。彼も優しい言葉やムード、セックスで女を蕩けさせて、残酷な方法で彼女を利用したり虐げたり、まさに女の敵。逆ギレして十和子をボコボコにするシーンとか、あの竹野内豊がよくこんな役を…と往年のファンが見たらショックかもしれません。「孤狼の血」での凶暴ヤクザとか、最近の竹野内さんは役の幅を広げようと努めてるようですね。でも濡れ場が大したことなくてガッカリ。エロの部分では、トーリのほうが圧倒的に勝ってます。

 最低なゲスクズ役なのに、二人とも全然不愉快じゃなかった。優しそうなイケメン、という見た目もその要因でしょうけど、二人よりも主役の十和子と陣治のほうが不快で気持ち悪かったのが最大の理由かも。十和子なんか、ゲスクズ男よりもはるかに不快なゲスクズ女でしたし。いい年して男にパラサイトしたニート女なんて、世界一醜い生き物だわ。ゲスクズ男に何度も引っかかる、心もお尻も軽いユルい十和子みたいなバカ女には、フェニミストじゃなくても腹が立ちます。十和子みたいな女がいるから、女性の地位は向上しないんですよ。

 十和子の、どうでもいい人間には冷たく高圧的なのに、タイプのイケメンには可愛くけなげな女の子になるところも、嫌悪感と反感しか覚えませんでした。憂さ晴らし、暇つぶしで店に執拗なイチャモンをつけるクレーマーぶりも、人間として最低な行為。酷い目に遭っても自業自得。十和子に一途な愛を押し付けてくる陣治も気持ち悪くて、悪い意味でお似合いのカップルでした。十和子役の蒼井優は、何かベチョベチョしてるところや、いい年して少女もどきなところが苦手。濡れ場も、不自然な乳首隠しに覚悟のなさ、中途半端感を否めず。喘ぎ声だけはAV女優みたいだったけど。十和子が狂気に蝕まれていたのではなく、単なる性悪女にしか見えなかったのは、甘々なTVドラマみたいな脚本同様、蒼井の大熱演のつもりで実は肝心なところで吹っ切れてない演技のせいだと思う。陣治役の阿部サダヲの、顔だけでなく暑苦しい自己満足的演技も苦手。二人の関西弁は、ネイティヴの方々的にはどうなの?孤狼の血の広島弁は、ネイティヴにはちょっと???でしたが。
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ハートも斬って

2018-12-05 | 日本映画
 師走の邦画イケメン祭①
 「斬、」
 開国に揺れる江戸末期の日本。農村で働きながら剣術の腕を磨いていた若き浪人の都筑杢之進は、澤村という剣豪と出会う。杢之進の腕を見込んだ澤村は、自分が率いる組織の一員となって京都での戦いに参戦するよう杢之進を誘う。承諾し澤村と旅立とうとした矢先に、村に現れた無頼者の集団が起こした事件が、杢之進を思わぬ事態に陥れることになり…
 言うまでもなく、主演の池松壮亮目当てで観に行きました(^^♪脇役出演してた「散り椿」はつまんなかった上に、壮亮くんも時代劇なのにいつもと同じ、どよよ~んとボソボソとアンニュイで、かなりがっかりさせられたのですが、この新作はユニークかつ壮亮くんの“いつもと同じ”も魅力として活かされていました。いつも同じも、やはりキムタクのそれとは別物です。

 壮亮くんは若手の中では別格の非凡な俳優なのですが、使いこなすのが難しい珍種でもあるんですよね~。イザベル・アジャーニと同じタイプというか。出演作のほとんどは、彼の魅力を活かせてません。「散り椿」のように、上っ面だけキレイキレイな中身の薄い映画だと、“いつもと同じ”に堕してしまいますが、その“いつもと同じ”が比類なき魅力となって、観る者を圧倒したり驚かせたり陶酔とさせたりすることもあります。この作品は、そんな希少な映画と言えるかもしれません。久々に、壮亮ハンパないって!と思いました。やっぱ彼、いい役者、いい男ですわ~

 小柄で痩せた体、無精ひげないと子どもみたいな童顔の壮亮くんは、肉体美や美しい顔を誇るルックスの俳優ではないのですが、わらわらいる若手イケメン俳優にはない強烈な武器があります。それは濃密・濃厚な色気!それも、若い男のヘルシーなセクシーさではなく、まるで熟年男のような倦怠感を帯びた色気。脱がなくても濡れなくても、尋常でないエロさを醸す稀有な役者なのです。

 某事務所タレントやイケメン俳優は、メイクばっちりで化粧臭そうだけど、浅黒く粗い肌の壮亮くんは♂臭そうですごく性的。この映画でも、エロいわ~と胸騒ぎなシーンが多かったです。時代劇で男優の自慰行為シーンとか、初めて見ました。シコシコしてる時の表情や息づかいが、なかなか生々しくて自慰シーンは2回もあって、最初のはストイックで生真面目な男でも性欲はあるんだな~と微笑ましく思えるものだったけど、2回目は殺戮を経験して血に酔ったかのように錯乱状態で激しく。自慰の演じ分けとか、壮亮だからできた難しい演技。性欲なんかありません、みたいな俳優ほどつまんないものはないので、常にセクシュアルな壮亮はやはり特異な俳優です。

 幼い猿顔で、世間一般的なイケメンでは決してない壮亮くんですが、時折ものすごい美男に見える瞬間が。この映画でも、ハっとしてしまうほど美しい顔に見えたシーンが何度かあった。優しく無邪気な笑顔も多く、年相応に可愛く見えたのもファンには嬉しかったです。殺陣も俊敏で鋭くてカッコよかったです。だいたい平坦なボソボソ声なのですが、激情的かつ明瞭に話す時はすごい美声で、大河ドラマ「義経」で少年時代の源頼朝を端正に演じ私を瞠目させた当時14歳の彼を思い出しました。

 エロく美しい壮亮くんも見ものですが、最大の見せ場はやはり狂気に堕ちてしまう演技でしょうか。殺戮への罪悪感や恐怖からではなく、人を斬ることで気づいてしまった暗い悦楽に身悶えして狂乱する姿や、ボロボロボサボサになって森の中をさまよう虚ろな姿は、「アデルの恋の物語」のイザベル・アジャーニを彷彿とさせました。やっぱ壮亮くんとアジャーニってカブるわ~。 
 杢之進に恋する村娘役は、またあんたか!な蒼井優。苦手な女優ですが、泥だらけでレイプされるシーンとか、なかなか頑張ってました。でも彼女の役、必要だったの?スゴ腕の浪人澤村役は、この映画の監督で、スコセッシ監督の「沈黙 サイレンス」でも好演していた塚本晋也監督ご自身が演じてます。カッコいい役だったので、自分で演じたくなったのかな?俳優の髪型とか喋り方とか、あまり時代劇っぽくなく現代的なところや、ちょっと観る者の解釈に委ねてるような謎めいたシーンとか、荒々しくもリアルで耽美的な演出が斬新で面白かったです。かなり低予算っぽい映画ですが、金をかければ佳い映画ができるとは限らないことを、この映画を観てあらためて痛感しました。

 ↑壮亮くんは日本映画界の至宝!くだらない作品に出さず、大事に扱ってほしい!たまには明るく可愛い役もやってほしいけど
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大迷惑!パパは心配性

2018-11-30 | ドイツ、オーストリア映画
 「ありがとう、トニ・エルドマン」
 ブカレスト在住のドイツ人女性イネスは、ワーカホリック気味のキャリアウーマン。そんな娘を心配するイタズラ好きの父ヴィンフリートは、トニ・エルドマンという別人に扮してイネスにつきまとい始める。そんな父に困惑し、ストレスを募らせるイネスだったが…
 世界中で高く評価されたドイツ映画。コメディなのですが、かなり独特の味わいです。大爆笑とか、クスクス笑うとか、そんなんじゃないんですよ。ハリウッドのコメディや日本のお笑いバラエティとは、まったく笑いの性質が違うというか。おかしなシーンや台詞ではなく、父娘のやりとりが生み出す空気感が笑いの源になっています。心配性のパパが、娘の身を案じるあまりにストーカーじみたいな奇行暴走、という設定は、岡田あーみん先生の漫画「お父さんは心配性」と同じなのですが、あの狂気的なまでにハチャメチャハイテンション炸裂とは真逆で、終始淡々とテンションが低く、何だかわびしささえ漂ってるので、ちらっと観ただけではコメディと受け取れない、でもしっかり観るとじわじわ可笑しい、そんな笑いです。

 ハリウッド映画だと、おバカでノーテンキな笑い+ほのぼのしんみり、なパターン通りの喜劇になってたでしょう。まったくそうしなかったところが、この映画の特異さ、魅力と言えるでしょうか。とにかくヴィンフリートもイネスも、やることなすことすべてが痛々しいんですよ。娘や周囲を何とか笑わせ和ませようとするヴィンフリートのジョークやパフォーマンスが、ことごとく骨折級のスベリまくりで、そのイタさに笑うよりもあちゃちゃ~…と観客も困惑し気まずくなる、その繰り返しなのです。ハリウッド映画だと絶対に、善人だけど空気を読まない自由奔放な天然おじさん、みたいな言動で周囲を振り回して迷惑をかける、みたいなキャラになってたでしょうけど、ヴィンフリートはそんなんじゃないんですよ。単なる迷惑な構ってちゃん爺なら、ただウザくて不愉快なだけですが、彼のいつもゼーゼー言いながら苦しそうな、必死で一生懸命で真剣そのものなスベリ芸は、なぜそこまでしてと心配になるほど悲壮感があります。フツーだとあんな人、怒られたり嘲笑われたりするけど、イネスも周囲もほとんど腹を立てず不快感もあらわにせず、ただもう当惑、狼狽するだけな様子が、大笑いじゃないけどジワっとくる滑稽さ。とにかく、ヴィンフリートが実は余命いくばくもないとか、イネスに何か心の傷やトラウマがあるとか、そんな陳腐なお涙ちょうだいを狙った内容ではないので、感動したい方はご注意を。

 ヴィンフリート以上にイタいイネスの、深刻なメンタル崩壊っぷりもヤバい笑いを誘います。仕事をバリバリこなすキャリアウーマンという表面をギリギリ保ったまま、今にもブッコワレそうなイタい言動をしまくり、何かやらかすイヤな予感を抱かせ、その何かが楽しみになります。劇中、え?ん?は?な言動を、さりげなくチョコチョコやってたイネスが、ラスト近くになってついに!誕生パーティーでの奇行は、かなり衝撃的(笑撃的?)です。特に服を着替えるシーン、あれお茶吹いたわ~。

 ↑ なかなか服が脱げなくて、もがく姿がかなり衝撃的!
 ヴィンフリート役のペーター・ジモニシェックは、ゴツいお爺さんだけど顔はかなりカッコいいです。年老いて太った伊藤英明、みたいな。イネス役のザンドラ・ヒュラーの、近年稀な珍演に瞠目させられました。あれ、アカデミー賞級ですよ。ハリウッドでこの映画がリメイクされるそうですが、ハリウッド女優にはザンドラみたいな静かなる捨て身の演技、無理でしょ。大熱演!な気合いや気負いが全然なく、シレっとトンデモないことをする演技は、ちょっとイザベル・ユペールを彷彿とさせて、さすがヨーロッパ女優だな~と感嘆。
 父と娘の関係について、あらためて考えさせられました。ヴィンフリートはちょっと特殊ですが、ほとんどのお父さんは愛する娘のことを死ぬほど心配してるんでしょうね。私やM子は、今も昔もほぼネグレクトなので、今さら愛情たっぷりに心配されたら、ウザいし気持ち悪いだけです
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愛と死のオートクチュール

2018-11-28 | 北米映画 15~
 寒くなりましたね~。皆さまも冬の準備は抜かりないことでしょうか。
 職場では、プランターで慎ましく野菜を育ててます。この夏は、災害でそれどころではなくなり、せっかくのトマトやキュウリもほとんど収穫できなかったのですが、この秋はダメモトで植えたキャベツの苗が想定外に立派になって、みんなで驚喜してます。

 お好み焼きにでも使おうと話し合ってます。小さく鈴なりになるというキャベツも育ててるのですが、こっちは虫食いだらけこないだの朝、でっかいナメクジがいて悲鳴を上げてしまいました。

 種から育てたハボタンやパンジーも、すくすくと育ってます。野菜作りやガーデニングって、素敵なコミュニケーションの手段になるんですね~。職場だけでなく、近隣のおばさまやおばあさまと楽しくお話する機会が増えたり。花咲く春が待ち遠しいです(^^♪

 「ファントム・スレッド」
 50年代のロンドン。オートクチュールの仕立て屋レイノルズは、ウェイトレスのアルマを見初め、彼女をモデルに新作を発表し続ける。レイノルズを愛するあまり、アルマは彼の規則正しい生活、そして心を乱し始めるが…
 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」などの鬼才ポール・トーマス・アンダーソン監督作。3度のオスカーに輝く現代最高の名優、ダニエル・デイ・ルイスの引退作です。この作品でもオスカーにノミネートされました。あらためて引退が惜しまれます。世の中には、引退してほしい、すべき老害がはびこっているというのに。まだまだ活躍してほしい、活躍できるのに、もったいない。でも、輝かしいキャリアも栄光も未練なく捨て去ってしまえるなんて、DDLらしいカッコよさではあります。

 若い頃から、すべてにおいて特別な存在、最高級の俳優だったDDLの多くない出演作には駄作がほとんどなく、彼の演技も心に残るものばかり。「眺めのいい部屋」「マイ・ビューティフル・ランドレット」「マイ・レフト・フット」そして何といってもmy best of DDLといえばの「存在の耐えられない軽さ」…どの作品のDDLも、本当に素晴らしかった。その美しさ、気高さ、神秘性、演技への厳しさで、生ける伝説となった不世出の名優DDLですが、最後の主演作でもその比類なき魅力を遺憾なく発揮していました。

 DDLももちろん年をとって、すっかり枯れた初老となりましたが、老いさらばえた爺臭は全然なし。かといっていつまでも若いつもりな若作りがイタい爺などではない。男って、いや、人間って、本当の魅力はいつかは褪せて衰える若さや見た目の美しさではなく、知性とか教養とかエレガンスといった内面の美しさなんだな~と、この映画のDDLを見てあらためて思いました。イギリスのロイヤルファミリーにもない高貴さ、優美さにうっとり。どんなに演技力が高くても、どんなに努力しても、DDLの持つ貴族的な雰囲気だけは、絶対にハリウッドスターが得られない魅力です。

 見た目と雰囲気だけでなく、声や細かい挙措まで美しく、ほんと神さまが人間に姿を変えて現れるならこんな感じ、な優雅さ、神々しさなのですが、優しそうで物静かなのに近寄りがたい威や厳しさを醸しているところもまた、凡百の俳優にはないDDLの魅力でしょうか。この映画のレイノルズも、内面が複雑すぎ、暗闇を抱えすぎで、観客からの気安い共感とか好感など冷たく拒絶しているかのようなキャラ、そして演技なのです。DDLじゃなかったら、単なるイヤ~なめんどくさい爺になってたところです。

 地位、名誉、才能、金、美貌、すべてに恵まれてるようで、いちばん大事なものが欠けてるようなレイノルズ、痛ましくもヤバい人でした。私はあんな人とは1時間も一緒にいられません。神経質すぎ、屈折しすぎでしょ。自己中心的すぎ、こだわりが強すぎて、ちょっと発達障害っぽかった。天才と呼ばれる人の多くがアスペルガーだとも言われるけど…よっぽど我慢強い人、もしくはドMな人でないと、レイノルズとは暮らせません。対するアルマも、かなり変人。どんなにはねつけられても、レイノルズを自分のものにしようと、彼の気持ちなど忖度なしで強引・無謀な手段に出るウザくてヤバい女。いやがらせ?と思えるほど、レイノルズの調和のとれた厳格な生活ペースをかき乱そうとするところが、レイノルズじゃなくてもイラっとします。めんどくさい者同士、悪い意味でお似合いのカップルでしたが。二人が行きついた愛の形は、私のような健全な凡人からすると気持ち悪いだけです。まあ、他人に迷惑かけないのならどう愛し合おうと自由、勝手にやってなさい!ですが

 アルマよりも、レイノルズの姉シリルのほうが魅力的でした。ありがちな意地悪小姑ではなく、冷たくて厳しいけど、ん?いい人?優しい?と思わせる言動が、カッコいい大人の女性って感じでした。めんどくさいレイノルズとアルマに振り回されることもなく、クールに淡々と、でも堂々と構えてる姿も素敵でした。演じてるレスリー・マンヴィルのクールでエレガントな美熟女ぶり、ああいう女性に憧れるわ~。アカデミー助演女優賞にノミネートされた彼女、授賞式でも印象的な美しさでした。彼女、ゲイリー・オールドマンの元嫁だとか。ゲイリーおじさんのオスカー主演男優賞受賞を目の前にして、どんな思いだったことでしょうか。オスカーといえば、この作品は衣装賞を受賞しました。ハリウッドセレブや韓国成金の悪趣味なファッションと違い、シンプルだけど洗練された高雅なドレスの数々も目に楽しいです。実際の英国王室の方々も、この映画みたいなファッションにすればいいのに。

 ↑世界一美しい、お似合いのカップルでしたわ~…DDLの後継者的俳優の登場が待たれます
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