映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

眠れる美女(2012年)

2015-06-30 | 【ね】



 2009年、17年間植物状態で眠り続けたエルアーナ・エングラーロの延命措置停止が裁判所によって認められた。が、これにカトリックが激しく反発。当時の首相ベルルスコーニが、延命措置続行法案を議会に提出、強行採決を目論んでいた。

 一方、市井の人々の間にも生と死を巡るドラマが展開されていた、、、。

 3つの物語を並行して見せることで、実際に起きた事件への、監督の立ち位置を明確にし、見る者への問いを投げかける作品。

 
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 このエルアーナ・エングラーロのニュースは日本でも結構報道されていたので覚えていましたが、ベルルスコーニがこんなことをしていたことまでは知りませんでした。というか、ニュースで恐らく言っていたんだろうけど右から左だったんだわ、きっと。

 しかし、まあ、このブログでも何度か書いていると思うけれども、宗教ってホントに理解できません、私。信者の方には先に謝っておきます、不敬なことばかり書きますがすみません。でも特に、映画でよくネタになるカトリックは、ホントに意味不明にさえ思えます。救いどころか人々の対立を生んで、苦しみの種にさえなっている様に見えますが。

 家族が延命措置を停止したいと、きっと相当に苦しみ悩んだ末に出した結論のはずで、その結論をやっと司法が認めて合法としたにもかかわらず、国がそれをひっくり返そうってんだから、オソロシイです。個人の意思より国家の指示に従えと。カトリックってそんな教えじゃないんじゃないの? どうすればそういう風に歪むんでしょうか。

 しかも、その張本人はあのベルルスコーニ。私、嫌いなんです、あのオッサン。もう、いかにも成り上がりの下品オヤジ丸出しで、彼が首相になった時は、イタリア国民の民度を疑いたくなりました。、、、今や、日本国民が世界中から民度を疑われているかも、ですが。トホホ。

 それはともかく、ベルルスコーニが本当にカトリック信者として純粋な思いからあんな法案を提出したとは、到底思えませぬ。自分が権力の座に居続けられるなら何だって利用しよう、みたいな風にしか見えないんですけど、、、。これって、私の色眼鏡?

 ベロッキオの意図は明確です。それは、だから良いんです。私が、本作に対してあんまし良い感情を抱けなかったのはテーマがテーマだからってのもあるけど、なんつーか、3つのエピソードがちょっと“安っぽい”感じがしてしまったからですかね。強いていえば、イザベル・ユペール版でしょうか、ドラマとして見られたのは。あとの2つはちょっと、見ていて寒かったです、ハイ。

 何故か、、、。ん~、多分、ベロッキオが抱いたテーマに沿ったストーリーを紡ぎ出したからでしょう。ストーリーからテーマが浮かび上がるのではなく、この場合、テーマありきだから、どうしても話がそっちに寄ってしまう。「生と死」を描くということは、リアルに生死をさまよう事態を描かないと描けないんでしょーか。ここまで直截的な話を3本揃えられると、ちょっとウソ臭さが漂ってしまい、私はダメでした。

 しかも2本はエルアーナと同じように、生命維持装置を外すか外さないかで生死が分かれるというお話で、あとの1本は自殺願望の強いヤク漬け女のお話。生きる意味を問うために、対比として置かれた設定だとは思いますが、同じ“生きながら死んでいるに等しい”状態の3本であっても、1本だけは自らの意思で再生可能である話なのは、狙い過ぎというか、、、。

 ベロッキオは何で3本のストーリーを用意したのかな。2本でも良かったのではないか。“自殺願望の女編”と、“生命維持装置編”2本のうちの1本。どうして3本なのだろう。“生命維持装置編”2本のうち1本は外し、1本は意地でも外さない、というお話だからかな。、、、まあそうなんだろうな。だから、ちょっと用意し過ぎな感じがして、嫌なんだろうな、、、。

 しかし、やっぱり、カトリックというのは、信者に思考停止を促す宗教である、という私の見方が本作でますます強まってしまった気がします。私の身近にいるクリスチャンはみな、プロテスタントなんだよな、、、。彼らにカトリックのことを少し教えてもらおうかな。それって不謹慎なことなんだろうか。

 宗教関係の本を読んで、私が一番腑に落ちたのは、お釈迦様=ブッダの教えでした。身近に見聞きする○○宗とかの大乗仏教とは違って、ブッダの言葉。(小乗)仏教とは自己救済のための、いわば病院みたいなものだ、という言葉に納得がいった気がしました。自分を救えるものは自分だけ、という身も蓋もない教えなんですが、一番、私には心に響く話でしたねぇ。ブッダなら、エルアーナのような事態を見た時、何と言うのでしょうか。もっと色々本を読めば、どこかに答えを見つけられますかね。

 映画としては、見どころはイロイロ。何と言ってもやっぱり特筆事項は、イザベル・ユペールでしょうね。こういうイッちゃった女性を演じるのがこの人は本当に上手いです。別に普通にしているだけなのに、狂っているのが分かるという、、、。終盤の寝言でマクベスのセリフを言うシーンとか。彼女の真骨頂じゃないでしょうか。

 ベロッキオ作品は、多分初めてなんですが、これは劇場公開時に行きたかったのに見逃してしまい、ようやっとDVD鑑賞に漕ぎ着けましたとさ。でもって、明日は、1日の映画の日! この日のために、私は夏休みをゲットしたのだ。映画館ハシゴしようと思いまして。、、、お天気はあいにくの雨らしいですが。たとえ嵐でも全身カッパ着こんでハシゴ鑑賞してやるのだ! だから今日は早く寝るぞ!!

 




  

自分の生命維持装置なんて外してもらいたいけど
あなたの生命維持装置だったら外せない、、、かも。




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