映画 ご(誤)鑑賞日記

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マチルダ 禁断の恋(2017年)

2018-12-15 | 【ま】



 以下、上記リンクよりストーリーのコピペです。

=====ここから。

 1800年代末のロシア・サンクトペテルブルク。皇位継承者であるニコライ2世(ラース・アイディンガー)は、世界的に有名なバレリーナのマチルダ(ハリナ・オルシャンスカ)をひと目見た瞬間に恋に落ちる。燃え上がる二人の恋は、ロシア国内で賛否両論を巻きおこし、国を揺るがすほどの一大ロマンスとなる。

 父の死、王位継承、政略結婚、外国勢力の隆盛……。やがて、滅びゆくロシア帝国と共に、二人の情熱的な恋は引き裂かれようとしていた。

=====ここまで。

 
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 主演があの『ゆれる人魚』で個性的な妹人魚を演じてたミハリーナ・オルシャンスカということで、公開前から見に行こうと思っていたところ、某全国紙の夕刊で「ニコライ二世をたどって」等というタイトルの連載が始まり、何気なく読んだら、あまりにもタイムリーで本作も興味津々で見に行きました。

 ……というわけで、以下感想です。


◆ニコライ二世は聖人

 しかし、王室やら皇室やらのスキャンダルって映画ネタにはもってこいだと思うのだけど(だから外国映画ではいっぱいあるんだろうけど)、日本の皇室スキャンダル映画って、ありますかね?? やはり菊タブーとかで皆無なんでせうか? まぁ、別に見たいわけじゃないけど、ここまでタブーになっている日本の皇室ってのも、、、どうなんでしょうか。

 さて、前述した某全国紙の夕刊連載で、本作に対しモーレツに異議を唱えている女性が載っておりまして、それがあの“美人過ぎる検事”でロシアのクリミア併合の際に話題になったポクロンスカヤ氏でした。

 余談ながら……、“美人過ぎる○○”ってのはよくネットとか週刊誌とかワイドショーとかが使うんだけど、あんまし感心しない表現だよねぇ。○○に入る言葉が何であれ、ヒジョーにその○○に対して侮蔑的な言い方だと思う。昔、ナンシー関がエッセーで、某東大卒タレント女子のことを「東大卒の割に美人(or可愛い)ってだけ」というようなことを書いていて、いかがなものかと感じた記憶があるが、それと同じような印象を受けるのよ、この“美人過ぎる○○”というフレーズ。大体、美人過ぎるとか何とか、失礼だっての。

 それはともかく、このポクロンスカヤ氏はニコライ二世一家を崇拝していて、本作が、ニコライ二世を貶めていると言って憤慨しているわけ。なぜそこまで?? と思って記事を読んだら、恥ずかしながら世界史が苦手だった私は記事を読んで初めて知ったのだけど、ニコライ二世一家はロシア正教の聖人にされているんだそうで。ソ連時代は憎悪の対象だったのに、ロシアになってから急に評価が変わったんだとか。まあ、ソ連時代は共産党が押さえ込んでいたんでしょうが。

 そんなわけで、熱心なニコライ二世信者にとって、この映画は許されないものらしい。プーチンさんは「人はそれぞれ自分の意見を持つ権利を持っているから我々は禁止することはできない」という、らしからぬ(失礼!)発言をしていて、上映禁止にはならなかったけど、まあ、スタジオが放火されたり、監督が脅迫されたり、、、、ってのはあったとか。

 ……そんなに許せない描写があるのかね? と興味津々で見に行ったけど、、、、率直なところ、……どこが??である。ポクロンスカヤ氏はそもそも本作を“見ていない”んだとか。見もしないで批判するってのは、、、まあ、あんましお利口とは言えない行動ですな。こういう脊髄反射は、その信条が何であれいただけない。……その後、見たんですかね、彼女は。


◆お金かかっています。

 とにかく、本作は、絢爛豪華で、それだけでもスクリーンで見る価値が十分にあると思う。私が時代劇のコスプレものが好きってのもあるけど、これだけ美術も衣裳もこだわって作られている(しかもロシア制作でロシア政府もかなり出資しているとか)のだから、よその国の作ったインチキ時代劇とは訳が違うのでは。

 ロケにはエカテリーナ宮殿を使用しているほか、もの凄いお金が掛かっていることが一目で分かる壮大なセットで、とにもかくにも、圧倒される。もちろん、バレエはマリインスキー、音楽はゲルギエフと一流を揃え、もうね、、、贅沢そのものです。これ、スクリーンで見ないと損かも。

 で、肝心の物語だけれども、悪くはないけど、それほど感動するシーンもなく、、、というわけで、まあ、悪く言えば見かけ倒しな感じも否めない。

 最大の難点は、ニコライ二世(ニキ)の葛藤がイマイチちゃんと描けていないところのように感じた。というか、一生懸命描いているんだけど、なにかこう、、、伝わってこないというか。

 私が一番“え゛~~~”と思ったのは、マチルダが事故で死んでしまったと思い込んだニキが、その後間もなくあっさり元々の婚約者アリックスと結婚し、まあそれは既定路線だからいいとして、アリックスとの初夜がとてもとても幸せそうなエモーショナルな描かれ方だったのよ。大して時間も経っていないのに、その変わり身の早さは何じゃらほい……、という感じで。

 このシーンの後に、戴冠式があり、そこに死んだと思っていたマチルダが現れ、ニキ失神!!なんだけど、どうもチグハグな感じが否めなくて、見ている方としてはちょっと白けちゃうのよね。大体、あんな大事な場面で、皇帝になろうともいう男が衆目の前で失神なんて大失態を晒して(しかも王冠が床に落ちる!)、それだけで後継者失格じゃない?

 ほかにも、マチルダにストーカーするヴォロンツォフ大尉の人体実験のようなシーンとか、ニキの婚約者アリックスとニキの母親である皇后との確執だとか、マチルダのバレエ団内での人間関係のいざこざとか、、、ちょっとニキとマチルダの禁断の恋から焦点がぼけた散漫なシーンが多すぎる気がする。もっと、2人の禁断の恋に描写を集中させた方が良かったのでは?


◆ミハリーナ・オルシャンスカ、人魚からバレリーナへ

 さて、私のお目当てだったミハリーナ・オルシャンスカは、(前述の不満はあるものの)すごい頑張っていて素晴らしかった。彼女はポーランド人なんだけど、ロシア語のセリフも(ロシア語を知らないので上手いか下手かは分からないけど)こなし、バレエも相当特訓したのが分かる動きだった。肝になる“32回のフェッテ”は吹き替えだそうだが、少なくとも、フェッテはかなり訓練しないと1回だって出来ないはずなので、彼女の努力が想像できる。

 もの凄い美人という設定で、確かに彼女は素晴らしく美しいが、単純な凄い美人というより、魅力的で妖しい美人という感じ。そして、このストーリーにおけるマチルダなら、絶対的に後者の美人の方がふさわしい。そういう複雑な美しい女性をミハリーナ・オルシャンスカは体現できていたと思う。人魚は気の強そうな怖い美人だったけど、同じ美人でも妖艶さを身に纏うのはなかなか難しいだろうね。

 ニコライ二世を演じたラース・アイディンガーはドイツ人、ヴォロンツォフ大尉を演じたのはロシア人のタニーラ・ゴズロフスキー、アリックスはドイツ人のルイーゼ・ヴォルフラムと、国際色豊かな俳優陣。ドイツ人のお2人はロシア語特訓したんだろうね。

 ところで、実際のマチルダさんの画像をネットで見たのだけど、、、。ううむ、まあ、美しいけど……、なんともコメントに困ってしまう。彼女は、ニキのいとこと結婚してフランスで暮らし、ロシア革命で死んでしまったニキとは対照的に、100歳近くまで生きたそうな。めちゃめちゃ強かに生き抜いたのね。




  




禁断の恋をニキが貫いていたら、歴史はどうなっていたでしょうか?




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