映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

マエストロ:その音楽と愛と(2023年)

2023-12-30 | 【ま】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv83880/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。
 
 ウクライナ系ユダヤ人移民の2世としてマサチューセッツ州ローレンスに生まれたレナード・バーンスタインは、美容器具販売業を営む父の反対にあいながらも、プロの音楽家の道を志す。

 決して恵まれた音楽環境ではなかったものの、ニューヨーク・シティ交響楽団の音楽監督に就任するレナード。チリ系アメリカ人の女優フェリシアとパーティーで出会ったのは、そんな希望に満ちた1946年だった。

 レナードとフェリシアは結婚、ジェイミー、ニーナ、アレクサンダーと3人の子どもを授かる。だが、フェリシアは結婚前からレナードが男性と関係を持っていることを知っていた……。

=====ここまで。


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 バーンスタインが亡くなって、もう30年以上経つのか、、、とビックリ。個人的には、指揮者としての彼は、まぁ、、、別に好きでも嫌いでもないのだけど、やはり、作曲家として天才だと思っています。……といって、彼の作品は聴いたことないものの方が多いんだけど、あの『ウエスト・サイド物語』だけ聴けば、その才能が分かるというもの。

 本作は既にネトフリで配信しているけど、演奏シーンもありそうなので、やっぱし劇場で見るでしょ、これは、、、と見に行ってまいりました。

~~以下、本作で感動した方、本作をお好きな方、、、はお読みにならない方が良いです。悪意はありませんが、かなりの悪口になっておりますので。~~


◆なんじゃこりゃ、、、(心の声)。

 正直に言います。この映画は、かなり時代遅れだと思います。

 21世紀のこのご時世に、夫婦愛のキレイごとを描く意味って、どんくらいあるんでしょーか? んで、もひとつ言うと、実在した人物の物語を描くのに、その人物について忠実に模写する意義って、どんくらいあるんでしょーか??

 イマドキ、こんな内助の功映画、誰が見たい? こんだけセクシャルな問題が世界的に多々噴出している時代に、妻の忍耐の上に成り立った夫の奔放極まる人生を思いっ切り表層的に描いている作品、、、70年代かよって、ビックリ。時代錯誤とまでは言わないが、機を見るに疎すぎるのでは。

 おまけに、もうさんざんやりつくされた感のある“ソックリさん芸”。ブラッドリー・クーパーの熱演は、まさに“熱演”であり、まったくもってウザいの一言。彼の演技には、高峰秀子様のこの辛辣なお言葉を進呈しよう。

“よく映画評論家に「熱演」などと書かれてウハウハ喜ぶ俳優がいるけれど、熱演に見えるのは、つまり画面からハミ出している、ということで、一言でいえば出しゃばりすぎ、「オマエ、シロートだねぇ」と言われているのと同じこと。俳優にとっては「恥」だと私は思っている。”

 2時間以上ある本作だが、もうほとんどの時間、ドン引きして見ていた。本作関係が、来年のオスカーの主要部門を複数ゲットするようなことがあれば、既に私の中では地に堕ちているアカデミー賞に対する価値は、跡形もなく霧散することになるだろう。それくらい、本作は映画としてお粗末である。


◆敢えて見どころを挙げる。

 本作で見るべきところがあるとすれば、たった1つ。それは、中盤の、イーリー大聖堂での『復活』の演奏シーンだ。ブラッドリー・クーパーの“熱演”が、ではなく、その音楽が、、、である。

 私、あんましマーラーって好きじゃない、、というか、嫌いじゃないけど、シンフォニーだと良さが分からんのが結構ある。特に、歌付きのは、聴いているだけで疲れる曲もあり(8番とか、、、)、CDも全曲は持っていない。2番はその中では聴きやすい方だと思うが、それでもあんまし積極的に聴きたくなる曲ではなかったのだが、今回、このシーンを見て“あら、、、この曲ってこんなにイイ曲だったんだっけ??”と思ったのだった。

 しかも、この音源は、実際にクーパー指揮でのものだという。サントラも、クーパー指揮で出ているらしい。あの『ター』と同じ趣向だ。Amazonで見ると、ネゼ・セガンの名前も並列して書かれているので、全てクーパー指揮の音源ではないのかも? よく分からんが。

 で、このシーンの持つ意義は、“本番の演奏会シーン”であることだ。『ター』でも書いたが、指揮者の真価は、やはり“本番でしか分からない”。そういう意味で、このイーリー大聖堂での本番シーンを入れたのは、稀代の指揮者の映画を撮るという志を強く感じられるものであり、素晴らしい。特に、『ター』を割と近い時期で見ているから、その対比で余計にそう感じたのだと思うが、、、。

 ……マジで、これ以外に、私的には見るべきところがほぼない映画であった。驚いたことに、エンドマークが出た直後に、劇場内でパラパラと拍手が起きたんだが、感動した人もいるんだなぁ、、、と不思議な感じがした。やはり、見る人によって感じ方ってゼンゼン違うのだね、当たり前だけど。

 キャリー・マリガンが出ていなかったら見なかったかも知れないのだが、、、彼女自身は良かったけど、ちょっともったいなかったかな。タイトルが“マエストロ”だから、バーンスタイン自身が主人公かと思うけど、実際には、彼女が演じた妻が主人公の話だよなぁ、これ。タイトルが詐欺やない?

 折角バーンスタインをとりあげるのなら、その天才っぷりが如何なく発揮された作曲家としての人生を主軸に描いてほしかったね。夫婦善哉なんかもういらん。3人の子たちの全面協力があったってことらしいけど、だからこういう映画になったんだろうな、、、としか思えない。ある人物を描くのに、身内の協力を得たら、そら負の側面は絶対に描けないもんね。人間、善だけの存在なんてあり得ないんだから、遺族の協力なんか得るのはクリエイターとしてはちょっと甘いかな、とも思う。

 

 

 

 

 

 

老けメイク、、、リアル過ぎてちょっと気持ち悪かった。

 

 

 

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4 コメント

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のだめのほうがマシ? (松たけ子)
2023-12-30 20:14:51
すねこすりさん、こんばんは!
私もすごいがっかりしました~。BLじゃなかったこともですが、すねこすりさんがご指摘してるように、韓流ドラマでも今どきやらないようなお涙ちょうだい、きれいきれいな夫婦愛にうんざりさせられました。こういう映画が感動の名作扱いされてしまうことに、ちょっと危機感さえ感じました。映画が忖度やコンプラにまみれて、どんどん毒にも薬にもならなくなってしまいそう…
ブラッドリー・クーパーは大好きなので、ヘンに名優とか名監督を目指してつまんない存在にならないでほしいです。
Unknown (すねこすり)
2023-12-31 14:48:29
たけ子さん、こんにちは。
ホント、何で今さらこんな…と思ってしまいました。
イヴ・サンローランもそうだったけど、故人の親族とか親密な関係だった人が協力者になると、やはり薄っぺらくなるのは仕方ないですよね。
負の部分なんて、絶対描けませんから。それを描いて良いという理解ある遺族は、まぁ、そうそういないでしょう。
グッチみたいに(あの映画もさほど深みはないけど)、遺族が訴えてやる!くらいのことを覚悟しないと、実在の人物を描くのは難しいでしょうね。
今年もいろいろ映画のお話ができて楽しかったです。ありがとうございました!
来年もどうぞよろしくお願い致します♪
Unknown (フキン)
2024-01-03 17:15:58
すねこすりさん!!
明けましておめでとうございます♪
本年もよろしくお願いします^o^

北陸の地震で、年明け早々暗澹たる年明けになってしまいましたが、お正月はどう過ごしておられますか?
ほんとにもう、こんな正月だというのに残酷過ぎます。
ご苦労されてる方々に一日も早い安寧を祈ります。

「仮想儀礼」、すねこすりさんがハマってるとおっしゃってたんで
録画してた分を一気に見ました!!笑
原作は篠田節子なんですね。
今後の放送が楽しみです!!
辰年。 (すねこすり)
2024-01-03 23:06:48
フキンさん、明けましておめでとうございます。
こちらこそ、本年もよろしくです♪
本当に、新年早々地震や事故などのニュースで気持ちが落ち着かない3が日となりました。
地震があったとき、映画館で映画を見ていまして、ものすごくヘンなゆら~~っとした揺れを感じたのですが、他のお客さんたちは特に反応がないので、気のせいかな?と思っておりました。
が。外に出てスマホの機内モード解除した途端、通知がいっぱい入ってビックリした次第です。
フキンさんは、お正月いかがお過ごしでしたでしょうか?
仮想儀礼、ご覧になったんですね!
面白いですよね!! 絶対バッドエンドだとは思うのですが、彼らがどう破滅していくのかがこれからの見どころでしょうか。
原作も読んでみたいと思っています。

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