映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

劇場版「きのう何食べた?」(2021年)

2022-07-05 | 【き】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv71168/


以下、公式HPよりあらすじのコピペです。

=====ここから。
 
 街の小さな法律事務所で働く雇われ弁護士・ 筧史朗 【シロさん】 (西島秀俊)とその恋人で美容師・矢吹賢二【ケンジ】(内野聖陽)。同居する二人にとって、食卓を挟みながら取る夕食の時間は、日々の出来事や想いを語り合う大切なひととき。

 ある日、史朗の提案で、賢二の 誕生日プレゼントとして「京都旅行」に 行くことになる。しかし、この京都旅行をきっかけに、二人はお互いに心の内を明かすことができなくなってしまう…。

 そんななか 、史朗が残業を終え商店街を歩いていると、偶然、賢二を目撃する。その横には見知らぬ若いイケメンの青年(松村北斗)が…!さらに小日向大策(山本耕史)から井上航(磯村勇斗)が居なくなったと相談を受け…。

 穏やかであたたかい毎日が一変。当たり前だったはずの平凡でゆっくりとした日常を取り戻すことはできるのか―シロさんとケンジの今後の人生を揺るがす、物語が始まります。

=====ここまで。

 人気ドラマの映画化。

 
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◆生きていれば絶対にやってくるもの……それは“老い”

 ご存じ、よしながふみのマンガ『きのう何食べた?』がドラマ化され、W主演の2人が好感度抜群で話題になり、遂には映画化、、、。と、よくある邦画の流れですが、ドラマが好きだった(原作は未読)ので劇場まで行く気はしなかったけど、DVDを借りて見てみました。

 まあ、想像どおりというか、ドラマと雰囲気は同じ(アタリマエだが)だし、シロさんとケンジの相思相愛ぶりも盤石というわけで、意外性はないのだが、結構泣けました。……これ、若い人より、私くらいの中高年世代にウケているっての、すごい分かるわ。

 ドラマではそれほどでもなかったけど、本作でのテーマはズバリ“老い”。老いは誰にも必ずやってくるもの。この世はとかく不平等だけれど、唯一平等なのは“時間”でしょうかね。それさえも、恵まれたものとそうでないものには等しくないと言う(感じる)人もいるでしょうが。……とにかく、どんなに素敵なカップルであっても必ず直面するのが“老い”。

 普段はシニカルなシロさんがやたら旅行で気の利くアテンドをしてくれて優しさを見せると、ケンジは「……おかしい、シロさん、もしかして病気? 深刻なの?」となる。一方、いつも明るいケンジがちょっと浮かぬ顔をして、シロさんに内緒で病院に行っていることを知ったシロさんも「あいつ、病気なのか? オレに何も言わないってことは、相当深刻な病気なのか?」という具合。

 秘密=浮気、、、ではなく、秘密=病気、となるのが中高年……なのか? まあ、そうでないカップルもいっぱいいるとは思うが、このケンジとシロさんが、相手の体調のことを考えて激しく落ち込み悲観的になるという描写は、かなり身につまされる。

 ゲイカップルで、法律婚が(今の日本では)できないことが、彼らを余計に不安にさせている、、、のかもしれないが、法的に夫婦であっても、相手を失う恐怖は大差ないのではないか。早く死ねばいいのに、、、と思っているカップルもいるだろうけどさ。

 ただ、男性の方が、概ねパートナーの喪失に耐性が低いらしいので、シロさんとケンジのカップルも、先々心配だ、、、。どっちかと言うと、ケンジの方が、シロさんよりは耐性がありそうだけどねぇ。シロさんは、ケンジがいなくなったら、本当にヤバいと思うわ。

 歳をとることは悪いことばかりではない。抽象的な言い方になるけど、いい意味で枯れる、というかね。私は若い頃より、はるかに精神的に健全で自由だし、知識欲も今の方がある気がする。さらに割といろんなことがどうでもよくなって、代わりに、若い頃には背伸びしても分からなかった文学やら映画やらが多少は理解できるようになる。……んで、一番大事なもの、それは“健康”となるわけよ。だから、シロさんとケンジの互いを心配し過ぎる描写は身につまされたのだ、私は。

 大事な人を見送るって、想像しただけでも苦しい。昔、職場で一緒だった女性は、夫より一回り年下で、普通に考えれば夫の方が先にいなくなるわけだが、それだけは絶対に耐えられないとしょっちゅう言っていて、夫にも「私より先に死んじゃイヤ!!っていつも言ってるの」とかなり真面目な顔をして話していた。それを聞くといつも私は違和感を禁じ得なかったのだが、だって、それって自分が先に死んじゃったら後は野となれ山となれ、、、ってことやん?? 夫の遺された身の辛さとか考えないわけ?? と。2人一緒に死ぬ、、、なんてラッキーな事態が起きれば別だけどさ。

 こればかりはね、、、。神のみぞ知るなのだ。だからこそ、シロさんもケンジもビビりまくっているのだよね。……分かる、分かるよ。


◆その他もろもろ。

 ドラマ版同様、美味しそうな料理がふんだんに出てくるので、空腹時に見ると辛いかも。あの簡単ローストビーフとか、私でも作れそうな気がしたなぁ。

 西島さんは、『ドライブ・マイ・カー』より、シロさんの方がハマっている。そもそも楽しそうに演じている。まあ、作品のカラーが全然違うから当たり前か。

 内野さんは、相変わらず上手い。……というか、ケンジが地なんじゃないか、というくらいにナチュラル過ぎる。先日観た舞台「Mバタフライ」では、フランス人外交官役だったけど、ときどきケンジ入ってんじゃない?ってツッコミ入れたくなるような演技があって、ちょっと笑ってしまった。彼の演技力をもってしても、やっぱしどっからどう見ても東洋人のガリマールってのは違和感が拭えず、見ていてちょっと入り込めなかった。割り切って見られる人にとっては良かったと思うけど、、、。

 個人的には、ドラマ版でも感じたが、山本耕史が素晴らしいと思う。硬軟キャラの切り替えが実に巧みで、出番は少ないけれど、インパクトは絶大。ジルベールなんかより、小日向さんの方が私は素敵だと思うわ。

 このドラマ(本作も)は、やはり生々しさがないのがウケる理由でしょうな。ほのぼのがベースで、時折、ゲイカップルならではの葛藤が顔を覗かせる、、、という。これでソフトでもラブシーンがあったら、ここまではウケなかったに違いない。もちろん、主演2人の演技(特に内野さんのケンジ)に負うところが大なんだが。

 原作はまだ現在進行中のようなので、ドラマ版も続編とかできるかもね。ファンは待ち望んでいるのでは。続編出来たら、私も見ます、もちろん♪

 

 

 

 

 

 

 

 

ケンジのイメチェンにビックリ。

 

 

 

 

 

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