映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

恐怖ノ黒電話(2011年)

2015-12-03 | 【き】



 DV&ストーカー夫と離婚し、古びたアパートに引っ越してきたマリー。部屋には、前の住人がそのままにしていった古い黒電話があった。

 ある日、電話が鳴るので出てみると、女性の声でマリーに訳の分からない因縁をつけてくる。最初は適当にあしらうが、2度、3度とかかってくるうち、どうやら声の主の女性は、1979年を現在進行形で生きている様である。つまり、過去からの電話だったのだ。

 不思議な電話だが、女性が悲しそうに打ちひしがれているのを聞いて、マリーは同情心を起こして話し相手になってやる。しかし、これが全て、運のツキ、、、。

 ジャンルはホラーみたいですが、怖いというよりは、悲しいお話のような気がしました。、、、でも、考えようによってはかなり怖いかも。
 
 
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 なんだかB級ホラーみたいなタイトルに惹かれ、かなり以前にレンタルリストに入れたものが送られてきました。どれどれ、、、と見てみました。

 グロい描写もほとんどないし、ホラーとして見れば、映像的には大して怖くはありません。でも、自分ではどうしようもないところで自分の人生が勝手に変えられてしまうという話は、かなり恐ろしいですよねぇ。

 過去からの電話の主、ローズという中年女性は、まあ、言ってみれば病んでいる女性です。横暴な男尊女卑思想の頭の悪い夫の浮気に悩んでたんですね。初期の頃は、悩んでメソメソ泣いたり、マリーに悪態付いたりして、ちょっとイカレた感じだけだったんですが、回を重ねてマリーが同情心を起こし、ローズの話を聞いてこうアドバイスしてしまいます。

 「過去は変えられないけれど、未来は変えられる」

 ま、フツーによく聞く言葉ですよね。悩んでいる人にはよく掛けやすい言葉です。ついでに、こうも言います。

 「私も離婚するだけじゃなくて始末しておけばよかった」

 、、、そら、あんなストーカー男ならそう思いますわな。しかし、そんな醜い本音を、頭のネジが外れた過去の女に言っちゃったのが運のツキでした。マリーは、あくまでもローズは自分とは別世界の人間だと思っているから、油断してポロリと漏らしてしまったのですが、、、。

 でも、1979年といえば、マリーも既にこの世に生まれており、少女時代を生きていて、しかも、ローズとは生活圏が同じだった。

 マリーのアドバイスに生きる気力を得たローズは、まず、男尊女卑思想のマッチョ夫に言葉で反撃に出ます。しかし、当然、そんなマッチョ夫は一笑に付すだけ。怒り狂ったローズは、何と、79年のある日、マッチョ夫を殺しちゃうんです。殺して納戸の壁に埋めてしまう。そして、その部屋こそ、マリーの引っ越してきたアパートの一室だった、というわけ。

 本当のローズは、、、。実は、夫を殺した後、そのアパートで首を吊って自殺していたのです。ですが、マリーの助言により電話の主ローズの未来は書き変えられることに、、、。

 まずは、自殺などしない。夫を殺した後はマリーに執着し始める。中盤で、電話線を抜き、ローズからのコンタクトを一切断っていたマリーですが、ある日、携帯の電波が悪く仕方なくまた黒電話をつなげます。すると、自分を無視していたことで怒り狂っていた79年に生きるローズは、同じ生活圏にいた少女のマリーを見つけ出し、現在の大人のマリーに電話で脅迫するのです。

 悪いことは続き、大人のマリーは、ジョンという新しく恋人もでき、少し明るい人生が開けて来ていたのですが、その恋人の家もローズに突き止められ、当時は少年だったジョンはローズによって誘拐・殺されてしまう。

 そして、遂に、、、少女マリーもローズに拉致され、熱した油を掛けられる。大人のローズの体にみるみる浮き出るひどい火傷の痕。

 そう、マリーの現在はローズの手に握られてしまっているのです。暴走するローズから、マリーの未来=現在のマリーを守る手段はただ一つ、ローズを抹殺すること。果たして少女マリーは、ローズを、、、殺っちゃいます。

 ラスト近くで一瞬だけ、中年おばはんのローズが大人のマリーの前に姿を現すんですが、鉈を振りかざしていて怖いです。『危険な情事』のグレン・クローズもまっつぁおな狂態です。少女マリーに殺られた瞬間、消えるんですけれど。

 黒電話がつながっているときだけ、大人のマリーは現在の自分を辛うじて守ることが出来る。つながっていなければ、ローズによってどんな風に変えられてしまうか分からない。この設定が、もどかしくて恐ろしいです。

 まあ、マリーがあまりにも無防備で、そんな変な電話、最初にかかって来た時点で電話線を抜いてしまえ! と思うし、そもそもそんなアパート、さっさと引っ越しなさいよ、と言いたくなっちゃうわけです、常識人の私は。でもマリーは「大丈夫、越して来たばかりだし」なーんてノンキ極まりない。挙句、殺したいほど嫌っている元夫を部屋に入れてしまったり、、、。マリーさんよ、そんなだからヘンなのが寄ってくるんだよ。

 一番悲しかったのは、折角、ジョンとの出会いがあってマリーが幸せを感じ始めたそのときに、ジョンの過去をローズによって変えられちゃったことですね。何しろ、殺されちゃったのですから。

 この、ジョンを演じたスティーヴン・モイヤー、よく知らないんですが、ネットで見たら、あの、アンナ・パキンと結婚しているんですねぇ。彼女が、ドラマで共演した俳優と、周囲も目のやり場に困るほどのラブラブで結婚した、って話は何かで読みましたが、その彼が、スティーヴン・モイヤーだったのですね。なるほど、、、。アンナ・パキンも、もう30歳過ぎたんですか。早いなぁ、、、。

 地味作品だし、邦題がかなりイマイチだし、突っ込みどころもなくはないけれど、内容は悪くないです。ビジュアルで怖いのを期待すると、ちょっと違うかもですが。
 





間違い電話は一歩間違えるとトラブルのもと。サッサと切りましょう。




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