映画 ご(誤)鑑賞日記

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さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について(2021年)

2022-06-24 | 【さ】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv77160/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。
 
 ひたひたとナチズムの足音が聞こえてくる1931年のベルリン。出口のない不況は人々の心に空虚な隙間を生み出していた。

 そんなある日、作家を志し、ベルリンへやってきたファビアン(トム・シリング)。だが彼はどこへ行くべきか惑い、立ち尽くす。女優を夢見るコルネリア(ザスキア・ローゼンダール)との恋。ただ一人の“親友”ラブーデの破滅。

 やがて、コルネリアは女優への階段を登るためファビアンから離れてゆくが……。

=====ここまで。

 エーリヒ・ケストナー長編小説「ファビアン あるモラリストの物語」の映画化。

 
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 ケストナーの長編小説(もちろん未読)が原作というのに興味をひかれ、チラシのデザインもなかなか良かったので、劇場まで行ってまいりました。『ある画家の数奇な運命』(2018)と同じトム・シリング主演。3時間という長尺にちょっと尻込みしかけたのだけど、『ある画家~』はまあまあ良かったので、勇気を出して(?)行った次第なんだが、、、。

 いやぁ~、、、長かった。

 3時間超えの映画でも、長さを感じないものもあるのだけど、本作は、エンドロールが出た瞬間、正直言ってホッとした。あー、やっと終わった~~~、と。中盤から長さを感じてしんどかったです、はい。

 長さを感じた最大の理由は、シナリオが散漫なことかな。終わってみればなくても良かったと分かるシーンも、進行中はあれこれ考えながら見ているわけで。もっと、ちゃんと整理すれば、2時間で十分収まる話じゃないかなぁ。

 同じ3時間でも『ある画家~』は長さもさほど感じなかったし、あの内容なら3時間も妥当かな、、、と思える作品だったのだけど。

 原作がどういう感じなのか分からないけど、ケストナーが冗長な話を書くとも思えないが、唯一の大人向け長編小説らしいので、もしかすると原作の雰囲気を映像化した結果、こうなった、、、ということなのかも知れない。 

 ファビアンはケストナー自身を投影したキャラらしい。原作のタイトルに“モラリスト”とあるように、ファビアンは“いい人”。……なんだけど、あまり魅力的には見えなかった。

 自身が仕事をクビになって予想より少ない失業手当しかもらえなかったのにその手当でコルネリアに誕生日プレゼントのドレスを買ったり、レストランで追い出されそうになっているホームレスらしき男性に声を掛けて自分たちのテーブルに招き話を聞いたり、お金に困っているのに自分の母親の鞄にこっそりお金を入れて置いたり……。いい人でしょ?

 本作は、監督もトム・シリングも言っているとおり、ラブストーリーなんだが、その肝心のラブストーリーに見ていて乗れなかったのよ。ファビアンに魅力を感じなかったというのもあるし、コルネリアも、なんかイマイチよく分からない女性で、、、。女優になりたいという野心を優先してファビアンの下を去ったのに、ファビアンとよりを戻そうとする、、、のは別にいいんだけど、そういう彼女の描写に奥行きがない、表面的な感じを受けてしまった。

 というより、本作全体が、原作のストーリーをなぞることにいっぱいいっぱいになっちゃっている感じだったなぁ。だからこんな散漫でムダに長尺になったんではないか。やはり、映像化するに当たっては、省くところは思い切って省かないとこういう風になっちゃうという、良くない見本だと思う。

 一つ一つのシーンは印象的なものもあるのだけどね。コルネリアとファビアンが出会うシーンは、素敵なラブストーリーへの誘いになっている。……のに、続きがイマイチ、というのはいかにも残念。

 もう一人、重要な人物としては、ファビアンの親友、ラブーデ。彼は金持ちの坊ちゃんなんだが、両親からはネグレクト気味で、かなり病んでいる。途中で哀しい最期を迎えるが、この、ラブーデとファビアン、コルネリアの3人の人間模様があんまし面白くなかったのだよね。ラブーデの登場の仕方も唐突な感じだったし、死に方も、、、。

 せっかく良さそうなお話なのに、シナリオがもう少し練れていればなぁ、、、。

 終盤で、焚書のシーンがあるのだが、これは、先日見た『オフィサー・アンド・スパイ』でも描かれており、政治的にヤバくなると焚書ってあるんだな、、、と、時代は違えど同じ光景がスクリーンで映っているのは何とも嫌な気持ちになった。ちなみに、ケストナーは、自身の著書が燃やされるのを直接見ていたのだそうな。どんな気持ちだったのか、、、想像を絶する。

 ケストナーの原作を読んでみたくなったので、早速、図書館で予約しました。『終戦日記一九四五』も面白いらしいので、こちらは購入しようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

トム・シリングはもはやドイツを代表する俳優の一人だね。

 

 

 

 

 

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2 コメント

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ダンケ! (松たけ子)
2022-06-26 00:16:48
すねこすりさん、こんばんは!
トム・シリングの新作、観たいです!ある画家、すごく好きな映画、トム・シリングもいい役者!もちろん最愛のドイツ男はヤニヴ、でもトムシも好き!二人の共演が実現してほしい!
この映画、でも長いんですね!😨長い映画は苦手…ある画家も長かったけど、こっちはある画家ほどドラマティック波乱万丈ではなさそう?やっぱ2時間ぐらいでサクっと終わる映画がいいですね~。
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Unknown (すねこすり)
2022-06-26 02:01:28
たけ子さん、こんばんは!
「ある画家~」が良かったので、これもちょっと期待値高めで行ったのですが、、、。
でも、ラジオで高橋源一郎は「良かった」と言っていたので、私の見る目がないだけかもです。
たけ子さんのご感想も是非聞きたいです!
トムシ、もはや大物俳優の貫禄ですね。ヤニヴとの共演、あったらそれは是非見たいかも。
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