映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年)

2020-05-01 | 【こ】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv66274/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 イギリスのヨークシャー。祖母(ジェマ・ジョーンズ)や病気の父(イアン・ハート)に代わり、寂れた牧場を管理する青年ジョニー(ジョシュ・オコナー)は、孤独でやり甲斐のない日々を、酒と行きずりの不毛なセックスで紛らわせていた。

 そんなある日、羊の出産シーズンを迎えて、季節労働者のゲオルゲが牧場に雇われる。初めは衝突する2人だったが、羊に優しく接するゲオルゲ(アレックス・セカレアヌ)の姿を目の当たりにしたジョニーの中に、今まで感じたことのない恋心が芽生える。次第にその思いに突き動かされていくジョニーだったが……。

=====ここまで。

 

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 ゲイのラブストーリーものは好んでは見ない方なんだけど、本作は、今、NHKでオンエアしている海外ドラマ「レ・ミゼラブル」でマリウスを演じているジョシュ・オコナーくんが主演を務めていると知り、本作がちょっと前に話題にもなっていたこともあって、見てみようかな、と思った次第。ちなみに、ジョシュ・オコナーくんは好みのタイプというわけでは全くありません。


◆同じゲイ映画でも、、、
 
 本作の設定からして、いやでも、あの映画と比べざるを得ない。あの映画とは、もちろん『ブロークバック・マウンテン』(以下「ブロマ」)ですよ。私は、ブロマが好きではなく(というより、むしろ嫌い)、本作もまあ、多分同じような感想を抱くのだろうなぁ、、、と予想していたんだが、見終わってみればそれは意外にも違っていた。

 ブロマが嫌いな理由は『キャロル』でも書いたが、2人の男があまりにも自己憐憫に浸っていてウザかったからだが、本作の場合、もちろん時代背景が違うことが一番大きいとはいえ、ゲオルゲはかなりイイ男(中身がね)でタフなのだ。ゲオルゲのキャラが、ジョニーと同じようなウジウジ系だったら、多分ブロマと同じ印象になっていたような気がする。

 ゲオルゲは1週間という期間限定の助っ人としてジョニーの牧場にやってくるわけだが、羊の扱いはジョニーよりも上手く、恐らく牧畜関係の仕事を渡り歩いている移民なのだろう。最初は、パキだのジプシーだのと差別感丸出しでゲオルゲのことを小馬鹿にしていたジョニーだったが、毅然とそういうジョニーの態度にNoと言い、仕事の手際も良いゲオルゲに、逆に腰が引けてしまう辺りは、ジョニーのショボさが上手く描かれている。

 で、やはり本作でも、“それ”は唐突に起きる。またかよ、、、とちょっと苦笑してしまった。ゲイのロマンスの始まりってのは、ああいうことが珍しくないんですかね? ヘテロであれやったら、まぁ、100%強姦なんだけど。本作でもやっぱりそこは気になる。

 ……が、とりあえずそこはスルーするとして、その一線を越えてからのジョニーの変わり様が、なんというかカワイイのだ。オバハンになった私から見ると、「嗚呼、若いって良いな~」と微笑ましくなる。実際、あれくらい劇的な変化をもたらすパワーが恋愛にはあるし、それこそが恋愛の醍醐味でもあり、ブロマには描かれていなかったもののように思う。その違いは、時代の違いそのものとも言えるだろうが、それだけじゃない。やっぱり、ブロマに欠落していたのは、ゲイであろうとなかろうと、恋愛に対する“本気度”だと思うのだ。

 ジョニーは、ゲオルゲが去った後、必死で後を追う。そして、帰ってきて欲しいとなりふり構わず懇願する。こういう“なりふり構わず”な行動が、やっぱり見ている者の胸に迫るものがあるかないかの違いになるんじゃないのか、、、。ゲイじゃなくても、ヘテロでも不倫とか格差恋愛とか、枷のある恋愛ってのはあるわけよ。その枷をいかになりふり構わず外していくか、ってのがドラマツルギーでもあるわけで。ゲイという枷を何か外しがたい特別感を持った恋愛モノにしちゃうと、ブロマみたいな「環境が悪い」という自己憐憫に帰結する話で終わっちゃう。

 とか書いてきたけど、よく考えてみると、ブロマももう大分内容を忘れているので、もしかしたら、もっと良い映画なのかも知れない。私の中でどんどん作品への記憶の上書きがされている可能性は高い。今度、もう一度見直してみよう、、、。


◆寒々しく暗い風景とカワイイ子羊

 ブロマは、2人の男の心象風景をネガにしたかのように、背景の自然はとても明るく美しかったが、本作は、やはり背景はとても美しいのだが、全編にわたってとても暗い。しかし、結末に希望があるのは本作の方であるところが面白い。

 また、羊の出産シーンのリアルさは本作の見どころの一つ。生まれた子羊が息をしていないのだが、ゲオルゲは根気よく子羊をさすってやる。隣でジョニーが「ムダだよ」と投げやりな態度で居てもさらにさすり続けていると、子羊がぴくんと動いて立ち上がる。かと思うと、死んだ子羊を手際良くその皮を剥ぎ、生きている別の子羊に被せてやる。こういう、まさに“生と死”が目の前でリアルに展開される仕事を誰かと一緒にしていると、その相手と理屈抜きで“生”を分かち合いたくなるのも、何となく分かる気がしてくる。

 おまけに、その子羊たちが実にカワイイのだ。その子羊を世話することは、ジョニーとゲオルゲの子を世話しているみたいな感覚になるのかも知れない。こういう時間を、たとえ1週間という短い間でも共有することは、そら特別な感情を抱くことになるのも不思議じゃない。

 2人の関係に気付くジョニーの父や祖母も、まぁ、手放しでは喜べないものの、あからさまな拒絶はしていないところも、ブロマとは時代が違うことを如実に物語る。

 きっと、2人は良きパートナーになって、あの牧場を運営していくことになるのだろう、、、と思えるラストで良かった。


◆その他もろもろ

 で、ジョシュ・オコナーくんだが、、、。レミゼのマリウスのジョシュくんは、正直言ってイマイチなんだけど、本作のジョニーはなかなか良かった。マリウスは、飽くまでも私のイメージでは、上品で美形の優男なんだよね。でも、このジョシュくんは特別美形ではないし、下品ではないけど、ハッキリ言ってモロ庶民のイメージ。だから、ちょっとマリウスには合っていない気がするんだけど、本作ではゲイのラブシーンも、まあ見られるものになっていた。

 ゲイのラブシーンは、やはり美男同士でないと、ちょっと見ていてキツいのだが、本作で見られるラブシーンになっていたのは、ゲオルゲ役のアレックス・セカレアヌの持つ雰囲気に負うところが大きいと思う。彼も美形とは違うが、彫りの深い目鼻のハッキリした顔立ちで、キレイなんだよね。

 それにしても、2人とも素っ裸になって大熱演だった。昨今、ゲイの映画も珍しくなく、当然、ラブシーンも描かれることが多いわけで、俳優さんたちも仕事とは言えタイヘンだ。私だったら、仕事で裸になることはできても、女性とベッドシーンを演じるのはムリ。もう、生理的にダメだと思う。まあ、そもそも役者になる素質もなければ、そんな願望を持ったこともないのだけど。

 レミゼでは極めてなよっちい男を演じているジョシュくん。次の日曜日がレミゼの最終回なんだが、ラスト、どんなマリウスを見せてくれるでしょーか。
 

 

 

 

 

もうトレーラーハウスはいらない。

 

 

 

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2 コメント

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羊たちの沈黙 (松たけ子)
2020-05-03 13:59:20
すねこすりさん、こんにちは!
コロナコロナでほんと気分が塞ぎますね~。自粛で外に出られないなら、佳い映画をいっぱい観る好機にしたいけれど。。。
ご感想を拝読し、この映画また観たくなってきました!私もブロマよりこっちのほうが好きです。BLは好きだけど、ウジウジウダウダしたBLは苦手。ビタースウィートで紆余曲折ハッピーエンドBLが好きです。ゲオルゲはほんといい男でしたね~。あんな恋人ほしい。
羊の出産シーンとか、酪農の厳しさ尊さに感動しました。
レミゼ、大好きなオイェロウォが出てるのに観逃した(-_-;)またオクニョみたいな韓国時代劇を放送してほしいですね!
Unknown (すねこすり)
2020-05-04 01:16:37
たけ子さん、お久しぶりです!
今回のコロナ、私も、結構来てます、、、。震災や水害もキツかったけど、今回のはちょっと質が違う辛さというか。
閉塞感が半端ない、、、というか。
基本的に出不精引きこもりなので、家にいること自体が苦ではないのだけれど、この世界的なあらゆるものの停滞がもたらす空気は、生まれて初めての経験で戸惑います。
「ビタースウィートで紆余曲折ハッピーエンドBL」って、まさに、本作ですね! ホント、私もそれならBL大丈夫だって分かりました。
子羊は、あんなにカワイイのに、大人になるとどこか憎ったらしく感じるのは私だけ??
え、オイェロウォお好きなの? 最終回、録画していあるのでゆっくり見ます~♪

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