映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

サンローラン(2014年)

2015-12-11 | 【さ】



 イヴ・サンローラン映画<その2>。

 デザイナーとして「自分以外にライバルがいない」と豪語するイヴ・サンローラン。酒とヤクと男に浸って、デザイン画が全く描けなくなることもあったが、奮起して描きまくってショーを成功させる。

 、、、ああ、もうあらすじを書くのもメンドクサイ!! 理由は本編で。
(ちなみにサンローラン関連映画は、ほかにも、ドキュメンタリー映画が公開されていたんだそうです)
 
 
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 老いたとはいえ、ヘルムート・バーガーとかドミニク・サンダが出演する、などと聞いたら嫌でも期待値上がりますってば。勝手に期待するなって方がムリな話。

 、、、でもって、見事に期待を裏切ってくれる作品でございましたよ。今日の某全国紙の夕刊に評が出ていて、結構絶賛に近かったけど、はぁ?という感じです、私には。

 これ、イヴ・サンローランというデザイナーのオハナシでしょ? でも、別にサンローランじゃなくても、ただのゲイのアル&ヤク中男のオハナシ、って言っても通じるんじゃない? というほど、デザイナーとして何にそこまで苦しんでいたのか、ほとんど描かれておりませんでした。

 デザイナーとしての描写は、成功譚だけちょっと。世に出るまでの輝かしいばかりの若い頃と、74年だっかたのショーを成功させたときの話と。しかも、後者は、どうして急にデザイン画を一気に描き上げたかがよく分かんない。なんだかふと思い立って裸のサンローランが鉛筆を紙に走らせ始め次々に描いていく、、、みたいなのだけ。

 作品の90%は、彼がいかに退廃的で自堕落な生活を送っていたかが、延々描かれます。男同士のラブシーンも時間としてはそう長くはないけど、割と濃厚なのがあります。ちょっと途中で正視できなくなりまして、、、。男と女のシーンでもあれはちょっとイヤかも、私は。

 まあ、嫌でも昨年見たピエール・ニネ版の『イヴ・サンローラン』と比べちゃうんですが、あっちは、ベルジェの後ろ盾があったんで、衣装はさすがに豪華で見応えありました。本作も、華やかですけど、やっぱり見劣りしますね。特に、初期の頃の衣装は、本作では手薄だし、何度も「モンドリアン」というキーワードがセリフに出ては来るけど肝心の衣装は皆無、、、。おまけにバレエ・リュスとかのもほとんどなかったように思うので、そういう意味ではニネ版に軍配です。

 あと、ニネ版は、サンローランの才能の凄さを、ちゃんと、彼自身のデザイナーとしての仕事の描写で描いていたけど、本作はウォーホールが絶賛したことでいかにサンローランが素晴らしいかを言っていただけで、ウォーホールがどーでもいい私みたいな観客にとっては、ふーーん、、、で? てなエピです。

 ただ、ベルジェの公認という縛りが本作にはないので、ベルジェが見たくないであろう、ジャック・ド・バシャールとの関係は、かなりこちらはしつこく描いています。というより、ベルジェよりバシャールとの関係の方がメインでしたね。あと、本作の方が全体にエグいです。サンローランを貶める意図は感じられませんが、ニネ版より相当ヤバい人だったという印象です。

 、、、まあでも、ニネ版と本作のウリエル版と二作品を見て思ったのは、サンローランの実人生って、そもそも、映画にするほどのものじゃなかったんでは? ということです。デザイナーとして一世を風靡したので、さぞやドラマチックだろう、と普通に誰もが想像しますけれど、蓋を開ければ、ゲイのアル&ヤク中男の生活一色で塗り込められていた、ってとこじゃないでしょうか。でなきゃ、ニネ版もウリエル版も、ここまでつまんない作品にはならないと思うのです。どうしてドヌーヴとのエピソードの描写とか、全くないのでしょうか、両作品とも。

 本作でサンローランが言うとおり、恐らくデザイナーとして、彼のライバルは同じ時代にはいなかったのでしょう。ニネ版を見た時に、デザイナーとしてのアイデアの枯渇やライバルへの焦りみたいな精神的な葛藤を描いてほしかった、というようなレビューを書いたけど、本当にそういうのはなかったんじゃないか、と本作を見て強く思いました。だから、逆にそれがクスリやアルコールに依存することになったのだろうけど、そんな場面を延々スクリーンで映されても、見ている方は何でそこまで自堕落になっちゃうのか分かんないのですよ、ちゃんと説明してくれないと。退廃的な映像で見せてるだろ、ったって、ムリがありますよ、こういう自己完結型の人の苦しみを大勢の観客に理解させるのは。

 とにかく、脚本がマズすぎる。演出も、ムダに思わせぶりなシーンが多いし。音楽も、終盤の蝶々夫人のアリアとか、もうコテコテすぎな演出で引きました。

 サンローランを演じたギャスパー・ウリエルは頑張ってると思いました。全裸も美しかったし。バシャールを演じたルイ・ガレルが、私には濃過ぎて、彼のどこに一目惚れするのかが理解できず、ちょっと辛かった。

 しかし、ヘルムート・バーガーは、昨年『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』にチョイ出してたのを見てたけど、本作では出番が多かったので、その年を経た姿をマジマジと見ましたが、、、。うーん、あのルートヴィヒ2世と同一人物なのかぁ、、、。ドミニク・サンダも、う~~ん、もちろん美しい老婦人ですが、、、これはキツい。

 ほかにも何気に豪華キャストなのに、ゼンゼン活かせていないのがとても残念。
 





150分の作品だけど、90分にできると思う。




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2 コメント

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ニネVSウリエル (松たけ子)
2015-12-21 11:54:11
こんにちは!
Ooh,la la!もうご覧になられたのですね!いいなあ~。こっちでは、年明けですよ~。だからド田舎ってイヤ!
ふふ、なかなか酷評ですね。私のようなミーハーな腐女子なら、楽しめそうでしょうか。
公認版と非公認版の違いも、なかなか興味深いですね。ウリエル版のほうがエグくてヤバいんですね。返って観たくなってきました(笑)。ルイガレルは確かに特濃すぎてビミョー。大好きなジェレミー・レニエとウエリルのBLシーンはあったのかしらん?
ヘルムート氏やドミニク・サンダも、往年の美しさを知るファンからすると、悲嘆ものな現在でしょうか。
すねこすりさんの2015年映画総括も楽しみにしています(^^♪
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ジェレミーとウエリル、ありまっせ♥ (松たけ子さま(すねこすり))
2015-12-21 23:25:24
たけ子さん、こんばんは。お久しぶりです。コメありがとうございます。

ジェレミー・レニエ、そんなにお好きだったのですか。確かにイケてますが。ウリエルくんとの官能的なラブシーン、ございますよ、前半に。こちらのラブシーンは、結構イイです。ボカしが無粋極まりないですが。
後半のルイ・ガレルとのがちょっと、、、ウゲゲでした、私には。

ヘルムート・バーガーについては、近々、若かりし日の作品で口直しする予定です。
ドミニク・サンダは、ウリエルくんと並ぶと顔がデカく見えたのが衝撃でした。どんだけ顔小さいんでしょ、ウリエルくんは。

総括、、、難しいですね。考えておきます♪
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