映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

アンナ(1951年)

2020-08-29 | 【あ】

作品情報⇒https://www.allcinema.net/cinema/1669

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 元ナイトクラブの歌手だった主人公アンナ(シルヴァーナ・マンガーノ)は、今は白衣の尼僧として病院勤めの身。

 彼女を俗世から断って信仰の世界へ導くことになった、ヤクザの情夫(V・ガスマン)と恋人(L・ヴァローネ)の諍い事を、事故で入院して来たヴァローネと再会する事で回想し、未だ彼に心を残す自分に気付き煩悶する……。

=====ここまで。

 シルヴァーナ・マンガーノの初期作品。


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 TSUTAYAの新作リストに、シルヴァーナ・マンガーノの初期作品である本作が上がっており、恐らくこれまでVHSくらいしかソフトがなかったのかも。きっと、ようやく版権とかモロモロ整理が付いて、無事DVD化の運びとなったのでしょう、、、知らんけど。

 ……というわけで、若い頃のシルヴァーナ・マンガーノが見たくて借りてみました。 

 

◆シルヴァーナ・マンガーノ!!

 いやはや、しょっぱなからシルヴァーナ・マンガーノは出ずっぱりなのだけど、最初、尼僧姿の彼女がシルヴァーナ・マンガーノだと認識するまでに1分くらいかかりました。……だって、私の知っているシルヴァーナ・マンガーノと、ゼンゼン雰囲気も顔も違うんだもん。

 私の中でのシルヴァーナ・マンガーノといえば、ヴィスコンティ映画に出ていた彼女。『ベニスに死す』でのタジオの母とか、『家族の肖像』でのビアンカとか、、、。気位の高い、ちょっと怖そうな、洗練された美しいオバサマという印象。細面でエキセントリックな感じもあったかなぁ、、、、って、それはほぼ役のイメージだね。

 でも、本作での彼女は、そもそも顔が違う!! 単に年齢による違い、って感じじゃなく、別人かと思うほど違う。大体、本作での、ナイトクラブ時代のアンナを演ずる彼女は決して“細面”ではない。田舎から出て来た元気の良い、磨けば光る“芋姉ちゃん”的な美人である。尼僧姿では衣裳のせいもあり、楚々とした美人になっているが。それにしたって、タジオの母とかビアンカに通じる面差しはほとんど感じられない、、、、のは私だけ?

 ……とにかく、予備知識ほぼゼロで見たので、シルヴァーナ・マンガーノが過去のある尼僧役だなんて知らなかったし、こんなメロメロドラマだとも知らなかったから、ちょっとビックリしたけど、まあまあ最後まで面白く見られました。


◆別れたいのに、身体が、、、嗚呼。

 アンナが尼僧になったのは、結婚を誓った男・アンドレアが、昔からの腐れ縁だめんず・ヴィットリオを揉み合いのうちに銃が暴発して殺してしまったから。

 アンドレアとの結婚式を翌日に控え、ウェディングドレスの試着中のアンナの下に、ヴィットリオがやってくる。小屋にアンナを連れ込むと彼女を押し倒して、復縁を迫るヴィットリオ。ヴィットリオがアンナに馬乗りになっている所へ、アンナを探していたアンドレアが入ってきてしまい、男たちは揉み合いに、、、。

 でもこれ、どう見たって正当防衛。アンドレアが罪に問われることはないと思うんだが、まあ、外国の話だからその辺は分からないけど、ともかく、アンドレアは牢屋行き。罪の意識に苛まれたアンナは俗世を棄てて神に仕える身に。

 尼僧見習い(?)となったアンナは、かいがいしく看護師の仕事に励む。看護師としては優秀なアンナ。院長の医師の信頼も厚い。そこへ、怪我をして運ばれてくるアンドレア。まだ誓約を済ませていないアンナに、「やっぱり愛してる!」と再度結婚を迫る。

 この途中で、“夜の街”で働いていた頃のアンナとヴィットリオの関係が回想形式で描かれる。ナイトクラブで踊り歌っているアンナは、当然だけど、尼僧とはゼンゼン別人。かなりしっかりしたガタイもビックリだが、身体の線を強調した衣裳で“El Negro Zumbon”を腰をフリフリ。……でも、全くと言って良いほどセクシーではないですね。健康的な感じさえする。けれども、一応、話的には彼女は客に媚びない人気歌手ということらしい。

 アンナは、このヴィットリオから離れたいと思っているのに、肉体的に離れられないみたいなのね。嫌っているくせに、自分からヴィットリオの家に行ってしまう。アンドレアは、アンナに他に男がいることは分かっていて、それでも結婚したいという何とも奇特なお方。そして、案の定、最悪の刃傷沙汰、、、じゃなくて拳銃沙汰になってしまったというわけだ。

 このアンナの気持ち~好きでもない、別れたいと思っている男と、セックスはしたい~という感覚、私には残念ながら分からんのです。セックスが良いとか悪いとかって話は聞くし、若い頃、私の友人もそんなようなことを言っていた。「あの人は、セックスがすごく良いので、別れたいけど別れられない」と。その友人も、そんなに奔放な人だったわけではないので、そういう人にラッキーにも巡り会えたということなんだろうか。若かった私は、その友人にあまり根掘り葉掘り聞けなかった。今なら聞けるかな、、、。今度、機会があったら聞いてみようかしらん。

 セックスって、要は、真っ最中よりも、その後が肝心じゃないのか? アンナはヴィットリオとの情事の後は、激しく自己嫌悪に陥っている。まあ、これは人それぞれの“セックス観”の違いといえばそれまでなんだが。私は、そこまでセックスに即物的にはなれないし、なれなかった。なりたくもない。観念的と言ってしまうと何だか違う気がするが、そのセックスを良いと感じるか否かは、非常にメンタルなものだと思っている。つまり、相手のことをどれくらい好きか、ってところに尽きる。

 だから、アンナが夜中にふらふらと意に反してヴィットリオの部屋に合鍵まで使って行ってしまう、、、というのは、全く理解できなかった。……もちろん、そういう人たちがいることを、頭では理解しているけれど。

 ……で、最終的に、アンナとアンドレアはどうなるか、、、というのは、まあ、ここに書くのはやめておきます。私なら、アンナとは違う選択をしますね、間違いなく。そこまで好きになれる人なんて、生涯でそう何人も出会えるもんじゃないでしょ。しかも、その人も自分を好きだなんて、奇蹟に近いわけで。そんな出会いは、とてもとても大切なはず。


◆エルバイヨ~ン♪とか、再びシルヴァーナ・マンガーノとか、その他もろもろ。

 この“El Negro Zumbon”は、聞いたことあるなー、と思ってちょっと調べたら、かなり有名な曲らしい。歌詞にもある「El Vaion(エルバイヨーン)」の「バイヨン」とは、「ブラジルのダンス音楽・リズム」で「サンバと同じブラジル北東部発祥の民族音楽」なんだそうである(詳しくはこちら)。パーシー・ フェースにもバイヨンの音楽があるとは。なかなか面白い音楽で、ちょっと色々検索してしまった。

 ブラジルといえば、ボサノヴァは割とCDとかも豊富だけれど、このバイヨンは、ジャンルを前面に出したCDなどはあまりないみたい、、、。氷川きよしの「虹色のバイヨン」とかの動画が出て来たけど、大分バイヨンとは違うような、、、。

 それから、やっぱりシルヴァーナ・マンガーノ。彼女のこと、私、ゼンゼン詳しくは知らず、本作を見て、ネットでちょこちょこ調べたら、wikiには「強烈なセックス・アピールで一躍スターとなる。日本では「原爆女優」と呼ばれた」なんてあって、かなり意外だった。そうだったのかー。ド素人に近かったのを、夫となったプロデューサーによって演技派女優へ転換、って感じなのかしらね。確かに、あの身体のゴツさ(私には全くセクシーには見えない)は、肉体派に違いない。原爆女優、、、って、何と不謹慎な。意味分からん。

 アンナがセックスに溺れる相手ヴィットリオを演じたのは、ヴィットリオ・ガスマン。……あまりイイ男には見えなかった、、、、ごーん。別に醜男ではないが。

 監督は、アルベルト・ラトゥアーダ。知らん名前だなー、と思って調べたら、あの『今のままでいて』の監督さんだった!! ナタキンを見る“だけ”の、オッサンの勝手な願望全開の、かなりヤバい映画。……まあ、どちらも“セックス”がキーワードってところが共通点か。調べたらかなりの数の作品を撮っていらっしゃる。何と、マキャベリの書いた戯曲を基にした『マンドラゴラ』なんてのもあって、こちらもセックスに溺れる女性が出てくるみたい(というか、マキャベリが戯曲も書いていたとは)。……そういうネタがお好きなのかしら?

 レンタルでは他に借りられそうなこの監督の作品はないけれど、プロデュースした作品があるようなので(しかもちょっと面白そう)、今度見てみようかな。 
  

 

 

 

 

 

 


セックス“だけ”が良すぎて別れられない相手、いますか? いましたか?

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