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暴落という名の脅迫

(目を合わせないムサシ)

サブプライム問題に端を発する世界的な経済危機は、実態経済の後退状況を受けて、今日さらに一段と悪化した。ニューヨークの株式市場の下落を受けて、日経平均株価は一時8000円割れ直前まで行った。一方、円ドル相場は一時96円台まで円高が進んだ。

この一年の経済の動向を見ていて感じるのは、政治が経済を動かしている構図ではなくて、経済が政治に対して各種政策の決断を迫っている構図である。ここでいう経済の最大の牽引者は市場である。政治の決断には時間が掛かる。市場の暴落圧力に屈して政治が決断したときには、市場はすでに政治決断を先取りしているから、政治決断は市場に好影響を与えることにはならない。それよりも政治決断をしなかった場合には市場は失望売りといわれるような暴落を起こす。その恐怖があるから政治は市場の言いなりという不思議な状況が生まれる。それが世界規模で起こってしまっている。

今や市場は世界各国の共通の敵である。ただし、その敵は姿を見せない。獅子身中の虫のように、各国の内部に抱えている弱きの虫の連鎖である。自爆テロのイスラムの民との戦いも大変困難であるが、まだターゲットが見えているから対処の方法がある。見えない市場に対して出来ることは世界各国が協調して税金を市場へ投入することしかないように見える。

欧米に続いて、成長をひっぱって来た、韓国、中国、ブラジルなどに経済の減速が広まり、破綻寸前に追い込まれる国々も出始めている。欧米の金融機関の信用不安や経済減速から原油などの商品相場も下落し、世界のお金は行き先を失っている。そういう中でも、かつてバブル経済を破綻させ、ようやく立ち直ってきた日本の金融機関が、唯一比較的に信用が高いと判断され、それらのお金がいっせいに円買いに逃げてきた。買った円で日本株式を買うわけではないから、日本株式も世界的な株安に連動している。買った円はどこへあるのか、不思議であるが、とにかくおかげで円高はついに96円の水準まで来てしまった。本当に日本経済が強いのなら問題は少ないのであるが、比較的安全というだけの円高である。

円高にはメリットもあるが、貿易立国で、しかも国内景気の大部分を海外輸出に頼っている日本には大きな痛手である。輸出企業はもとより、東南アジアやオーストラリアなどの観光客で賑わった観光地やスキー場など、今年は激減することが予想されている。秋葉原も外国人客の買い控えが顕著に現れているという。つまりは比較的安全と思われた日本も、その地位を円高攻勢によって引きずり下ろされることになると思われる。

来月15日にワシントンで開かれる緊急首脳会合には、GDPで世界の90%を越える国々の首脳が一同に会する。差しあたっては、その結果が期待されるが、この経済危機がどこで底を打つことになるのであろうか。
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