goo

「駿河安蘇備 上」を読む 40

散歩道のロウバイ花盛り

「駿河安蘇備」の上巻の解読を続ける。 

「甲斐日記」(久能山)の項の続き
龍華寺というは、久能寺の隣りにて、山寺にはあれど、庭の
さま、おかしく、鳳尾蕉の大きなる、幾本かありて、覇王樹
※ 鳳尾蕉(ほうびしょう)➜ ソテツの別称。
※ 覇王樹(はおうじゅ)➜ サボテンの別称。
いう庭樹の一本にて廻り七間ばかりあるが、枝どもに杖突かせ
たる。枝ざし、懐かしげ無きものながら、かゝるばかり、大きやかなるは、
いと珍し。松も古りたるあり。後ろの丘に登りて見渡
せば、近くは三穂の松原差し出し、こなたざまに、入江湛えて、
清水の湊に花橋、薩埵七難の花わざと出たり。遠くは
愛鷹、二子、箱根の峰に連なりて、雲より上に富士の
峰高くそびえたり。伊豆はまだ遥かに隔たりて、ほのかに
嶋なせり。三穂の入り海見やらんにはここに勝る所あらじかし。
ここの十二景というは、富士泰嶽、三穂長洲、田子古浜、清見旧関、
興津釣舟、清水清嵐、孿(双子)山返照、久能晩鐘。邨(村)松落雁、矢部
夜雨、南方暁色、東海月下など、ことごとしく板に彫(え)りて堂の前に
掛けたり。清水湊へ降りて小舟に竿差さゝせて、云々。
(つづく)

読書:「思惑 百万石の留主居役 2」 上田秀人 著
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 「駿河安蘇備... 「駿河安蘇備... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。