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江戸繁昌記初篇 31 両国の花火 3




(千葉山智満寺のシュウカイドウ)

智満寺の境内や参道脇には、今、シュウカイドウがいっぱい咲いていた。この花は、この先、江戸繁昌記の「賽日」の項に「断膓花」という文字で出て来る。

「江戸繁昌記初篇」の解読を続ける。

宜僚、丸(まり)を弄する手、能(よ)く是の如くにや否やを知らず。また、小桶を以って加え挿む。便(すなわ)ち、蹴りてこれを上(のぼ)すときは、則ち小桶飛びて、幹人の手に在りて、大桶下り落ちて故(もと)の如く踵(かかと)黏す
※ 宜僚(ぎりょう)- 西周の昭王時代の宋国出身。手伎の祖とされる。伝説によると、三千年前、上手に九つの丸い鈴を同時に遊ぶことができ、伎法がずば抜けていた。今でいう、ジャグリングのようなものであろう。(『荘子』に「市南宜僚弄丸」とある)
※ 黏す(ねやす)- こねる。(ここでは、踵の上で廻すこと)


遂に更に最小童を提げ、これを置くこと、桶の如し。桶、旋運承投、またなお、桶の然り。桶か、毬(まり)か。渾身軟かなること、綿の如し。四支一塊り肉有りて、骨無し。観る者、ために暈す
※ 最小童(さいしょうどう)- 3人の内、最も小さい子。
※ 旋運(せんうん)- 廻し巡らすこと。
※ 承投(しょうとう)- 投げて承けること。
※ 暈す(ぼかす)- 幻惑される。呆然とする。


既にして、小桶畳み加えること十数、高さ一丈ばかり、累卵積棊撓揺倒れんと欲して、童、その巓(いただき)凝立す。絶叫一声、卵崩れ棊(碁石)倒る。童は則ち雲雀(ひばり)のごとく下り墜ちて、復た脚上に住す。その他、脚上に甕、盤などの物を居(す)え、一人をしてこれを攀(よじ)て、その中を出人りせしむ。
※ 畳み加える(たたみ加える)- 積み重ね加える。
※ 累卵(るいらん)- 卵を積み重ねること。不安定で危険な状態のたとえ。
※ 積棊(せきご)- 碁石を積み上げること。累卵同様、不安定な状態のたとえ。
※ 撓揺(とうよう)- たわみゆれる。(「ぶら/\」とルビあり)
※ 凝立(ぎょうりつ)- 身動きもせず、じっと立っていること。
※ 住す(じゅうす)- 定まる。落ち着く。


古今、独脚、天下の妙伎と謂つべし。諺(ことわざ)に云う、阿娘(娘さん)股間に千金を懸(かか)ぐと。或は言う、近世、股を売りて、産を為す者、多(おお)からずとせず。然るに、天また新たにこの一股脚を出して、これを売りて過活せしむ。この脚また能く千金を懸けんや否やを知らず。古人、一脚を引きて天象動かす有るもの、この脚また能く天象を動かさんや否やを知らず。
※ 過活(かかつ)- 暮らしを営むこと。
※ 天象(てんしょう)- 日・月・星などにみられる現象。天体の現象。
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