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靜岡藩御領国の民政御改正 - 駿河古文書会

(5月29日、箸蔵寺麓、店先にタマネギ、ニンニクが並ぶ)


「御觸面書留帳」の続きである。この文書も1868年、戊辰の年の九月に出された御触れである。

江戸幕府が終焉し、徳川家は駿府70万石へ移封となった。その御領国に対して、民政を改正する御触れである。三つの点が記されている。

第一点は、今まで請願によって、その土地を不良・不作の土地と定めてもらい、定率の石代納が認められている土地があった(安国代)。今後は安国代を廃止し、年々の作柄によって引き方を決めるようにする。

第二点は、郡方役所に名主が年番で出て、郡中入用を徴収していたが、今後は郡中入用の徴収を廃止する。

第三点は、第二点に伴ない、郡中惣代(名主の年番)を廃止し、諸願い、諸届けは、直に地方役所へ持参する。その際、村役人が付き添ってくる。

先前(さきざき)より違作の年柄、その所、仕癖にて不相応安石代相願い候儀もこれ有り候処、今度、御領国、民政御改正に付、凶年違作にはその作柄に寄り、事実の引き方、不相当の御取箇これ無き様、地方役へ申し渡し置き候間、向後、安石代願いの義は、一切御差し上げこれ無き条、兼ねて小前末々まで申し含み置き候様、致すべく候
※ 仕癖(しくせ)- ある一定の仕方が繰りかえされて、型になった傾向、習慣、性質など。
※ 安石代 - 江戸時代、土地の不便、地味の不良・不作などの事情から、請願によって行なわれた低率の石代納のこと。
※ 取箇(とりか)- 江戸時代、田畑に割り当てた年貢のこと。


一 これまで陣屋許(もと)へ、名主ども年番を以って罷り出居り、郡中入用取り賄い候由の処、今度御入国に付、百姓入費を厭いさせらる由、一方役宅の儀は御入用を以って御取建て、その余りすべて、御入用または自分入用を以って、取り計らい候、郡中入用一切取り懸けず候条、その旨、相心得べく候

一 これまで郡中にて給分差し出し、惣代の者相定め置き候趣に候処、以来、郡中惣代の儀は相廃し、諸願い、諸届けなど、その村役人直に地方役所へ持参致すべし、小前願い筋、または訴えなどこれ有り候筋は、村役人の内、壱人差し添え罷り出で、すべて下情相通じ候様にとの御趣意に候間、諸事手軽るに取り扱い候様、致すべく候、

右の趣、御領分村々小前末々まで、洩さざる様、相渡すべく候
 辰九月

追って、別紙帳面へ宿村ごと受印せしめ、この触れ書、一同刻付を以って、順達留り宿村より相返し候、以上

右の通り御触れ出し候間、その意を得、小前末々まで、洩さざる様、触れ知らせるべきもの也
 辰九月九日  郡方役所
              安倍郡
                宿々
                村々役人
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