goo

駿河土産 1 解読のはじめに、秀忠律儀の事

(「駿河土産」の本文)

日本左衛門騒動記を読み終えた。この一年で古書14冊読み終えたことになる。チェーンスモーキングではないが、間を置かずに次の古書の解読に移る。

さて、何にしようかと考えた。同じようなものが続くのも面白くない。実は既に少し解読を始めている本が、3冊ある。

   家忠日記 冊1 天正五年十月~天正七年八月
   駿臺雑話 壱  室鳩巣著
   駿河土産    駿河古文書会原典シリ-ズ5

家忠日記は諏訪原城に駐在勤務した武士の日記である。戦国時代、戦いのための出城や砦が築かれ、武士が駐在して警備していた。戦いのない時の出城の日常を示す文献などは皆無に近いが、家忠日記はその唯一のものといわれている。単調な日々の記録なので、こゝへどのように紹介できるのか、迷っている。

駿臺雑話は、儒学者室鳩巣、晩年の随想集である。中国の古典から宋学までの話で、解読できても、難解で、理解するのに時間が掛かりそうである。さらりと読み進める訳にはいかないようだ。実は、昨日まで佐藤雅美著の「知の巨人 荻生徂徠伝」という伝記小説を読んでいて、学問好きの将軍綱吉の時代に花開いた、朱子学などの学問ブームについて、興味を引かれる処があり、室鳩巣も同時代の儒学者として、そのさわりを読んでみたいと思った。

駿河土産は駿河古文書会原典シリ-ズとして、影本が出版されている。この本は駿府に隠居した頃の家康の言行録あるいは逸話集といったもので、76の話からなっている。標題は駿河古文書会の編集者が付けたもので、原文にはない。文字が小さいので読みにくいけれども、だいぶ読解の実力も上がってきたので、何とか解読できるだろう。

そこで、今日から解読する本は「駿河土産」にしようと思った。並行して読み進める2冊も、何時か取り上げることになるだろう。読み終えるのに一ヶ月半ほど掛かると予想している。

それでは「駿河土産」の解読を始めよう。初回は触りだけになる。

(1)秀忠律儀の事
一 権現様、ある時、本多佐渡守への上意には、秀忠には余りに律儀過ぎる。人は律義なるというばかりにてはならぬものなり、との上意に付、佐渡守、右仰せの趣を申し上げられ、御前様にも時々嘘を仰せられたるがよく候と申され候えば、秀忠様御笑い遊ばされ、内府様の御空言をば、買う人が有るか。我らは何もさしたる事がなければ、嘘を付きしも買う人のなさに困るぞと仰せられ候となり。
※ 律儀(りちぎ)- きわめて義理堅いこと。実直なこと。
※ 本多佐渡守 - 本多正信。江戸初期の大名。家康の側近。創業期の江戸幕府で、のちの大老または老中に相当する位置にあった。
※ 買う - 価値を認める。


こんな調子で、逸話が続く。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 日本左衛門騒... 駿河土産 2... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。