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「水濃徃方」の解読 4


(散歩道のベニバナトキワマンサク)

散歩道の生垣だが、このトキワマンサク、葉っぱも赤い。

朝、町内の溝掃除。班の人が全員一ヶ所に例年集まるのだが、今朝はそれぞれに家のそばの溝を掃除するようにとのことで、集合場所には誰もいなかった。コロナは近所付き合いまでおかしくしてしまう。常会をもって早く立て直さないと、住み辛くなりそうである。溝掃除もおざなりに終わった。

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「水濃徃方」の解読を続ける 。

仕立おろしの火燵(こたつ)ぶとん、へこむ程な鑷(けぬき)をのせ、忠蔵、お身(おみ)様は、新道(しんみち)の伊勢屋から、足袋(旅)荷に雇(やと)われて、新春早々の銭儲け、大きのきまりと誉(ほ)めていたが、コリャまた怠けてのらつきやるの。こう言えば物知りらしいが、一年の謀(はかりごと)は春に有りと、節用集(せつようしゅう)頭書(かしらかき)にも書いてある。かるた、宝引(たからびき)の仲間入りせぬ為には、少々はこっちから酒盛っても、初春の仕事はするが良いてやと、異見の小言は福鼠(ふくねずみ)の初音(はつね)
※ お身(おみ)➜ 二人称の人代名詞。対等またはそれに近い相手に用いる。あなた。
※ のらつく ➜ 仕事もしないで、ぶらぶらして暮らす。酒色などにふけって、遊びくらす。 ※ 例(れい)➜ れい。
※ 節用集(せつようしゅう)➜ 国語辞書。室町中期に成立。語をいろは順に四十数部に分け、その中を天地(乾坤)、時節(時候)などの十数門に分けて配列。多くは語義や語源などの簡単な注がついている。
※ 頭書(かしらかき)➜ 書物の本文の上欄に、 注釈・批評などを書き記すこと。また、その注記。頭注。
※ 宝引(ほうびき)➜ くじ引きで、いろいろの品物を分配したり、景品を与えたりすること。福引。
※ 福鼠(ふくねずみ)➜ (幸福をもたらすといわれるところから)白鼠のこと。大黒の使者と考えられた。

忠蔵、割り膝になって、親分の心付け、忝(かたじけな)くごんす。成程、冬年(ふゆどし)からの約束で、足袋(旅)に出るつもりで、股引(ももひき)まで新しく拵(こしら)えましたが、隣の虎吉が、秋中の長煩(わずら)いで工面(くめん)が悪い。わしをやってくれんかと、達ての頼み。わしは独身、虎はお袋もって、様々苦労する。可哀そうにと思うて、とろめんの帯も借(か)して、暗い内からやりましたと云うにぞ。それは出かしゃった。人の難儀は、手前の切ない時に比べて、世話してやるが本の立て引。去年は急度精が出た。松の内ばかりも休みやるがよかろう。
※ 割り膝(わりひざ)➜ 両方の膝がしらをやや開いて正座すること。また、その膝。
※ 冬年(ふゆどし)➜ 去年の冬。去年の暮れ。昨冬。
※ 工面(くめん)➜ 金回り。ふところぐあい。
※ とろめん(兜羅綿)➜ 綿糸にウサギの毛をまぜて織った織物。色はねずみ色・藤色・薄柿色などが多く、もと舶来品。のちには毛をまぜない和製のものもできた。
※ 立て引(たてひき)➜ 義理や意気地を立て通すこと。また、そのために
とる言動。
(「水濃徃方」つづく)
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