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夏山の大雪山系の遭難事故

(アップのムサシ 7/10撮影、今朝猫に顔を引っかかれたらしい)

昨日、大雪山系の美瑛岳(2052メートル)の山頂付近で登山ツアー客ら6人が動けなくなって救助を求めているとのニュースを聞いた。そのときは夏山でも侮ってはならないと思っただけであった。その後、靜岡に古文書講座に出かけていて、今朝まで関連ニュースを聞かなかった。

今朝、遅く起きて来ると、ニュースがどんどん入ってきた。美瑛岳の隣りのトムラウシ山(2141メートル)でも、登った登山ツアー客ら18人のパーティが山頂近くで動けなくなって救助を求めていたという。

結局、美瑛岳で1名、トムラウシ山で登山ツアー客ら8名、単独の登山客1名の、合計10名の死亡者を出した。犠牲者のほとんどが60代、我々と同年輩の人達であった。

近年、中高年の登山が盛んで登山者も増えているというが、遭難者も年々増えているらしい。今回の遭難の場合、死因はいずれも凍死である。北海道とはいえ、夏山で凍死とは意外に思うかもしれないが、実はけっこう怖い。自分の体験は7月3日の書込み、「夏山の雨の思い出」の中で少し書いた。

夏山の山頂近くの気温は標高差100メートルに付き0.6℃下がり、体感温度は風速1メートルに付き1℃下がるという。当時、下界は16℃、標高差1800メートルの山頂附近は5℃位であったと思われる。横なぐりの雨に濡れたうえに、秒速20から25メートルの強風が吹き荒れて、立っているのがやっとという状態であった。体感温度はマイナス15~20℃という、極寒の地にいるのと同じである。体温がたちまち奪われて35℃が維持できなくなると、人間は身動きが出来なくなって、そのうち心肺機能も損なわれ死に至る。危ないと気付いたときはもう遅いのかもしれない。

北海道には梅雨が無いから、今の時期はお天気も好くて、お花畑も満開で、楽しい夏山登山が出来るはずであった。ところが、最近は温暖化の影響で、北海道にも梅雨と同じ状態があって、今の時期も天候が安定しない。山が荒れると緯度が高いだけに、標高は低くても天候条件は厳しくなる。

登山ツアーの人たちはどうすればよかったのであろう。この先の天候は掌握できていたはずで、リーダーはどこかで登山を中止して引き返す決断をすべきであったのだろう。

登山パーティのリーダーの責任は重い。登山サークルのリーダーであれば、パーティの各員の実力は把握していたであろうし、途中で断念し、下山して温泉へ直行、温泉三昧の旅に変更出来たかもしれない。しかし、にわか作りのパーティでは各員の実力は把握出来ていないし、主催者のリーダーにはお金を取って連れてきたというプレッシャーがあり、天候が悪くて登山を止めたでは申し訳ないという点で、判断に躊躇があったのかもしれない。
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コメント
 
 
 
きのさんの先見の明に感服 (城崎温泉  力 餅)
2009-07-18 07:21:49
きのさん おはようございます

 きのさん自身書いておられるように、7月3日書き込みの「夏山の雨の思い出」は今回の遭難事故を予見されていたような書き込みでしたね。

 今回の遭難事故の第一報が入った時からずっとそう思っていました。そして、その事故の報道が登山経験の無いおいらにも非常に良く理解出来ました。だから、どうなんだと言われると、返答に窮しますが・・・。

 そうした事故の危険がありながらも、それを知った上でも、人を惹きつける魅力が登山にはあるのでしょう。そこまでは理解出来ます。
 
 
 
登山の魅力 (きのさん)
2009-07-18 11:43:34
それでも登る。登山には魅力がいっぱいである。

過酷な登山の結果、山頂に立った時の快感、一説には脳内に快感物質が放出されるのだというが、たしかに、一種の麻薬なのだろう。

事故を避ける行動さえ忘れなければ、これほど健全な麻薬はない。

事故を避けるには、計画段階でコース中にエスケープルートを考えておくことである。

今回はエスケープルートも取れない厳しいルートだったようだ。

しかし山の事故はほとんどは避けられる事故だと思う。それだけにリーダーの責任は重い。

いつも読んでいただいてありがとう。現在、毎日200人平均の人が訪れてくれています。
 
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