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「駿河安蘇備 上」を読む 92

金谷宿大学発表会のミニ講座の内容展示

「駿河安蘇備」の上巻の解読を続ける。

水見色(みずみいろ) 水見色川流れたり。漸々土地開けて山水玲瓏(れいろう)
※ 玲瓏(れいろう)➜ 玉などが透き通るように美しいさま。また、玉のように輝くさま。
して、桃源の趣きあり。山高くして、僅かに足久保に越える路あれ
※ 桃源(とうげん)➜ 俗世間からかけ離れた別天地。理想郷。
ども、嶮岨なり。西の谷に亀右衛門というもの、三十年ばかり前に、
(かめ)二つを掘り出だせり。その甕、一つはなお存ぜり。大なるものという。
殿奥という地なり。むかし何れの殿の住み給いしや、知らず。ある人、
昔、朝比奈縫殿右衛門と云える士(さむらい)なりという。ある時、足久保内牧
へ超える山の頂に一つの池ある。ほとりにて、縫殿右衛門、狩りを
なして、この池の主に馬を取られたるを怒りて、その主を
亡ぼしたりという。
古城跡 小瀬戸にあり。居するもの祥(つまびら)かならず。
富厚里 藁科川、この村を流る。西北の山より、府城御石
垣の石を切り出せしという。
富沢(とんさわ) 蛇骨沢という澗流あり。この山腹に物あり。土人(どにん)大蛇
※ 澗流(かんりゅう)➜ 谷川の流れ。
の骨なりという。竪横とも八尺ばかりもあらん。骨髄のごとし。
坂上 藁科川に刎橋を架す。村中のもの往来す。山奥一里
ばかり行けば、殿屋敷という所あり。藁科安芸守の居所なるや。
(つづく)

読書:「望郷の海 侠客銀蔵江戸噺」 稲葉稔 著
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