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茶価は正当に決められているか その1

(吹雪にスプリンクラー作動-南九州市頴娃町)

今夜、鹿児島から新幹線で帰ってきた。鹿児島県の茶業も霜害、火山灰など心配なことが多いが、否応無く今年も一番茶が着実にやってくる。残念ながら霜害、火山灰ともに危険を負担しているのは一方的に茶の生産者側であって、本当に心配しているのは茶農家である。買い手側の茶問屋は霜害を受けた茶葉、火山灰が混入した荒茶は買わなければ良いだけであって、何も支障はない。

そんなことはない。生産がダメージを受ければ供給量が減り、茶価が上がって茶問屋もダメージを受ける。確かに、茶価が正当に決められておれば、その通りの事態になり、霜害は売り手、買い手双方に痛み分で、危険負担をしていることになる。ところが、茶価が需給関係でのみで決まっていないとすれば、危険を負担は生産者側だけが負うことになる。茶価が正当に決められていないことを薄々感じていても、誰も発言する人はいない。その結果、茶農家の収入は年々減り、多くの農家が採算割れを起している。

近年、茶農家に押し付けられた課題を並べてみると、環境を汚染するという理由で肥料が制限され、年々反当りの収量が減収になってきた。それほど活用されているとは思えない、生産履歴の資料の作成が強いられて大きな工数が掛かるようになった。異物の混入が大変シビアになり、除去装置の設置など余分な設備が必要になった。燃料が年々高くなった。製造工程の衛生管理が大変うるさくなってきた、など数々ある。

一つ一つを聞いてみると、それぞれ最もな話で、生産者側はお金を掛けて一つ一つ対応してきた。その費用負担はすべて生産者側が一方的に負ってきた。しかし、対応した結果を認めて、茶価に上乗せされたという話は聞いたことがない。それどころか、年々茶価は下がり続けている。

茶価が正当に決められていないと、自分は考える。その理由を今日は一つだけ挙げてみよう。例えばみかんの例を挙げてみよう。かつて市場で大暴落して、みかん農家が苦境を迎えたときがある。供給が需要を少しでも上回ると価格は大きく下がり、生産者は大変な状況になる。これは市場のメカニズムだから仕方がない。しかし価格が下がれば消費者へも安い値段で提供される。その結果、消費者はみかんを多く買うようになり、消費も増える。需要が増せば市場価格も価格を戻し、みかん農家も潤うことになる。

茶価の場合はどうであろうか。需要が減って茶価が下がっても、店頭に並ぶお茶が安くなったという例に当ったことがない。茶価がこれだけ下がっていることを消費者はほとんど知らない。少なくともスーパーでそんな表示がされたことは一度もないはずである。値段が安くなったからお茶を買おうという消費者はいないから、低迷した需要は低迷したままである。需要が低迷して在庫が残るならば、普通なら茶問屋は大安売りをして在庫を捌こうとするはずである。しかし、そんな状況に出会う消費者はいない。

お茶とみかんの何が違うのか。続きは次回にする。
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