わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

獅子口8 その2

2020年12月13日 | 能面

さて、ずいぶん時間も経ったが、さすがにめんどくさいお面の現実が出ている。

前回までに大まかな造作が出来ているものの、この後の細かい作業は、それなりに時間がかかり、ちまちまと進めている毎日だ。これも最初から織り込み済みだから、特に気にしてはいないものの、気力も衰えている最近では、ちょっとした手直しにも時間がかかっており、それに従って進み具合も怪しくなってきた。

上は4日の段階だ。目に穴を空けたところ。もちろん、このあたりなら裏彫りも最終段階になっているから、その分も含めて作業時間はそれなりにかかっている。また、耳もきれいに出来ているように見えるし、表面のやすりがけもきちんと進んでいるようだ。ただ、この後は口の中の、特に舌や歯(牙)などをきちんと彫り込んでいくことになり、更には全体的な修正もあるから、完成はまだまだ先の話。

で、上は7日の結果。口の中の牙や歯の部分は出来上がっている。また、舌の細工も、奥の部分で裏側に貫通しており、一番面倒な作業内容も何とかこなしている気配。となれば、いわゆる「素彫りの完成」でもあり、そう宣言したいところだが、実はこの後に、このお面の最大の難所が待っているのだ。それが下の写真。

上は素彫りが完成(?)したお面の表面に、毛の部分を彫り込むための目安の模様を書き込んだところ。この、鉛筆で書いた黒い部分を「浮き彫り」にする必要がある。そのためには黒い部分を残して、その周囲を彫る必要があるのだ。

この黒い線は、実はなんと1~2mmほどの線だ。これを残して周囲を彫っていくことになるのだが、これが大変。彫る作業をしている途中に、この黒い部分が欠けてしまうのだ。もっとも、この高度の作業技術を持ち合わせていないと言われれば、その通りだし、反論も出来ない。また、お面の材質によっては「ちょっとの力で簡単に欠けてしまう」ことも多く、もともと良質の材料が手に入らない我が能面塾では「欠けてしまうのが当然」でもある。

結局は、最大限の注意をしても「欠けてしまうことは当然である」という原則で、作業を進めるしかないから、ま、余計な心配はしないで「欠けたらその時は補修をしつつ、前進するのみ」かな。このため、今週で作業開始一ヶ月ではあるものの、どうもまだかなりの作業時間が必要になる気配である。