わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

生成り その1

2012年08月12日 | 日記・エッセイ・コラム

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さて、いかずちや黒式尉が終わり、一段落したところで次の課題を考えていたが、また難しい能面を選んだのだ。これは「生成り(なまなり)」と言われる能面である。これは数ある女面でもちょっと異質のもので、怨念を抱いた女性を表現していると言われる「般若」になる途中の表情を表した面と言われている。従って顔の表情は恐ろしく、角がまだ延びきらない状態だが、これが進んで行き、角が延びきったところで般若になるらしい。もちろん般若の面相も恐ろしいが、それにも負けないぐらい恐ろしい・・・女が怨念を抱くと表情だけでなく、全部が恐ろしいのだ。

この生成りは、口の部分が難しいという。写真は先生の作品だが、口が小さい割に牙や巻き込んだ舌の部分、舌の奥が空洞になっているなど、彫刻刀が入りきらない場所もあるようで、特に細工が大変だったという、作った人の感想も聞いた。しかも不鮮明な図面しかなく、先生の作った見本をよく観察して、慌てず無理をせずに時間をかけて彫っていくつもりだ。

ま、講釈はこのぐらいにして、完成したいかずちを先生に見てもらったが、あまり宜しくない講評をもらった。もちろん、元の資料が不鮮明だったこともあって、彫る段階からうまくいかないことは予想していたものの、今回は先生のところで彩色をしたいかずちを見ることが出来て、それと比較したのだ。

これは先生の先生(いわゆる先生の師匠)が作ったものだが、とても比較にはならないほどの作品である。こういった「完成品」と比べることすらおこがましいのが、私の作ったいかずちだったので、「2個を比べてもしょうがないし、(私のいかずちも)単品で見たら何とか見られるかも」という言い訳をしつつ講評を終えたというところだ。

コメント
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