8月に入り、これまでは彫る気もなかった分野のお面を彫り始めている。これは、能面の主流でもあったこれまで彫ってきた多くのお面とは、若干の位置づけの違いがありそうなことと、そもそもお面として好きではない分野のお面だから。
これまで彫ってきたお面は、いかにも能面らしかったのだが、今回は老人の顔の模写みたいな感じであり、好きではないお面の種類でもある。もっとも、前回には老人のお面として「小町老女」を彫った。ただ、この場合は「能面教室」の課題でもあり、やむをえず彫ったといういきさつがあった。課題だから断れない・・という理由だ。
で、今回、これに決めた理由は「彫るお面がなくなった」「まだ彫っていないお面を」という程度の理由である。従って好きで彫っているわけではない・・と、へりくつをこねているところでもある。
さて、参考になる「痩せ男」の画像を検索した。ネットでは多くの痩せ男が登場しており、そのなかでも鑑賞に堪えられる程度の、ほどほどの画像を選んだ。それが下の写真だが、結局は2枚目の写真を参考にする事とした。この2枚は当然、作者は別の方であるが、私は下の写真を参考にすることにした。
下が今回参考にした痩せ男の画像だ。、もちろん、作者の承諾を取った訳ではなく、全くの個人的に利用するためのものなので、このあたりを了承して欲しいところ。
よく見ると「頼政(よりまさ)」に似ているかな・・・
ここから私が彫っている「痩せ男」を紹介しよう。下は8月10日の段階であり、自作した図面を元に材料を切り取ったところ。作業開始日だ。
下は11日。顔の表面を写し取り、様子を見ているところかな。
下は12日。目のあたりや鼻の形の大まかな位置、更には頬の部分をいくらか彫って、大体の形を整えていく。
下は14日。このお面の特徴は、深く窪んだ目や深く掘り下げた頬骨の表現だ。それを表すために2日をかけて慎重に彫っていったところ。ただ、横顔の画像や図面がない環境のため、正面を向いた画像や、過去に彫った、似たようなお面(頼政など)を参考に横顔を想像し、頬の深さや目のくぼみを決めているので、実物とはずいぶんと違っているかも知れない。これは今の段階ではやむを得ないであろう。
下は17日。ここまで来れば、かなりの完成度であろう。上の写真から3日も経ってはいるが、この間には裏彫りも2度ほど行っているから、それなりの時間はかかる。
下は18日だ。このあたりになれば、全体的な形を決めながら細かい部分の修正がメインになる。従って表情に大きな変化はないものの、かなりの進み具合だろう。8割方出来上がっていると言っても良いぐらいだぞ。
で、今回の最後は下の写真だ。23日の姿だが、上の写真と比べてもそれほどの変化は見られない。8割方出来上がったお面に紙やすりを掛けて、いくらか滑らかにし、彫り残しや形の細部修正を行っているところ。もちろん裏彫りも最終段階まで進んでおり、裏に関しては9割方の出来具合だ。
ここから次は、口の中を裏まで貫通させる作業と眼球を彫る作業が残っている。それらを含めてまだ数日は必要だが、一応の素彫り完成は今月いっぱいと見込んでいる。ただ、今回も黒目部分には「真鍮製の目玉」を入れるつもりなので、それも含めた場合は、9月4日に予定されているの能面教室まで完成予定を延長するつもりだ。
今回は、作業途中にお盆の連休を挟んでいたものの、遊びに来ていた孫たちもすぐに帰って行ったから、作業日程には支障はなかった。
あーあ、疲れたぞ・・・
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