「翁(おきな)」を作ることにした。十六の素彫りが完成したことですることが無くなり、ちょっと時間を持て余していた時に、何時間もパソコンに向かっていたら身体に悪いだろうと思っていたのだが、草取りも一段落したことから次の能面を作ることにしたのだ。
5日の教室で、他の生徒の十六の出来具合を観察したところ、一番進んでいたのが私であり、他の生徒の出来具合はまだまだだった。そのため、彩色を少しの間中断し、ほかの作業をした方が良いと考えたので、新規に(余っていた)材料を購入し、2個目の十六の作成をしようと思っていた。
ところが手に入れた材料の大きさが、ちょうど「翁」に合うものであり、この材料で十六を作る場合は、大きく切って捨ててしまわなければならない。これではちょっともったいない。そこで、この材料にあったものを作る方が良いだろうと言うことから、翁を作ることにしたのだ。
ただ、十六はまだ1個しか作っていない。本当は最低でも2個は作ってみなければ、その能面を理解できないと思っていたが、まあ面の表情は「小面」や「若女」と同じだから、それを考えるとすでに6個ほどの制作経験がある。彩色の部分で若干の違いがある程度だから、それらを考えれば十六が1個でもいいか・・・・と言う話になったのだ。
これは今日の作業。前にも書いたが、能面の制作過程はいろいろあって、始めにどう切り込むかも師匠によって違ってくる。今回は今の先生のやり方で進めてみることにした。だから、まず材料の表面を山型に切り込んだ。本当はノミやのこぎりできちんと切った方が良いのだが、いいかげん10年近くも能面制作に関わってきたから、最近では電動工具を使うことにしている。何と言っても早くて楽ちん。ましてこの夏場の作業であれば、のこぎりなど使っていれば汗がどっと出る。もっとも、電動工具を使っても汗が出たが、のこぎりよりは効率的だ。
翁の制作過程は、前にもブログで紹介しているのでそれを見ると良いかもしれない。上の写真の作品は前回自分が作ったものだ。このほか2個有り、計3個所有している。参考とした翁の作者がみんな違っており、それぞれ表情も違っていたので、今回はどれにしょうかずいぶんと悩んだが、結局、「面打ち入門」の参考書にあるものを見本にした。だから、上の写真とはちょっと違ったものが出来るはずである。
ということで、とりあえずは新しい能面の作成が始まったのだ。