わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

般若その後-2

2008年01月30日 | 日記・エッセイ・コラム

Blog158 さて、般若も制作の後半に入ってきた。これは、完成した角と真鍮板の目玉で、これを取り付けると2枚目の写真の状態になる。

角は2本とも同じ型紙で作っているのだが、微妙に形が違う。もっとも、違って当たり前であって、これが寸分違わない事の方が異常である。目玉にも当てはまるから、左右で形の出来が違うのは当然。人の顔でも、左右が対称であっても同じ形ではない・・・と、屁理屈をつければ、「これが手作りの良いところだ」ということになる。

Blog159 素彫りが終わった姿。ここまでくるのに約3週間だから、これまで最も早い作業過程である。面の種類によっても手間が違うのだが、これは比較的手間のかかる部類に入る。何と言っても「角」や鋭く突きだしたあごや深く彫り込まれた口の部分など、他の面にはない特徴があるのだ。

のっぺりした「小面」であれば、もっと早くに出来上がるだろうが、まあそんなことを言ってもしょうがない。細工が細かければ、それだけ気合いも入ると言うことなのだ。

Blog160 上記の素彫りに、胡分で下地を施したところ。前回の反省を込めて眼球をはめたまま下地を塗ってみた。

前回は胡分下地のあとに眼球を作り、はめ込んだから、目の周囲の胡分が剥がれててしまった。その反省をもとに、今回は前もって眼球を作っておいたから、それを実践したところ、うまい具合にいったようだ。このあたりはやはり経験が必要なのだ。その外にも、化粧が完成したあとに古色を出す作業を、実施したのを、今回は初めに軽く古色を出して、そのあとに化粧を完成させて、更に本格的な古色を出す作業をやった。そうすることで、古色によって化粧が隠れてしまうのを防いだのだ。

この部分はうまく行ったと思うので、失敗が生かされたと思う。が、まだ他にやり方があるかも知れないし、これに満足しないで上手な生徒に聞くことも必要かも。

Blog162 さて、完成した「般若」だ。一応の出来映えだと思うが、上級者から見ればまだまだ未熟かも知れない。今回は、紙ヤスリできれいに磨いたすべすべの表面(前回までの作品)から、梨地肌のつもりで表面に凹凸をつける手法を使った。だから、肌の感じがざらざらしており、怒りを表した般若の形相に近づいたと思うが、どうだろう。

写真では分からないものの、よく見るとその肌の表面が感じられると思う。このあたりも、他の生徒の作った面を参考にするなど、工夫が現れている。だから一人で作業をしていたりすると、自分本意で納得し、進歩がなくなることもあるから、いろんな作品を見ることが大切だ。それを参考にして、自分の作品に取り入れることも、技法を進歩させる過程では必要になる。

Blog163 2面を比較してみる。右が今回完成した般若。左はもともと数年前に作った面で、12月頃に彩色した面だ。同じ図面から作ったものだが、その作業の過程で形や大きさが変わってきているのが分かる。

面の大きさ、あごの形、目の位置、角の角度や向き、色合いなどが違っているが、いずれも自分としては気合いを入れて作成をしたつもりだ。それでもどうしても違ってくるのは、その時の気分で「このぐらいで良いかな」などの妥協が入るから。

額の角度が違えば、角の取り付け場所の角度も変わってくる。そうすると、角の角度が上に向いたり手前に向いたり、広がったり狭くなったり・・・と言う具合に、ちょっとの妥協のために全体の形が違ってくることになる。「これが手作りの良さだ」と言い切るのには、ちょっと無理があることは十分理解しているものの、まあ、素人の趣味であればやむを得ないことであろうと、勝手に解釈しているのだ。なに、その程度、許す、許す!!

今月の9日に材料を入手(前回のページで材料の入手は8日としたが間違い)して、10日から作業を始めた。昨日29日に完成したから、本当に3週間で完成したことになる。12月に完成した般若は4ヶ月かかった事から考えれば、今回は早くてすごいね。

何事にも今に満足していれば進歩はないのだ。だから不満や手直しをしなかければという部分を残して、次の「やる気」を維持しておかなければ。